【出戻り営業部編】営業部長から学んだこと
平成22年2月6日


上司の事
 出戻り営業部の営業部長は1959年に私が営業部に移動した時の主任であったA氏が部長になられていた。1959年当時は後に社長になられたB氏が営業課長で命令はすべて課長から来るので、当時の主任さんとは殆ど交流は無かったが改めて、部長としてのA氏を見ると全く別人であった。まず徹底して仕事のやり方を教えていただいた
1:正確な報告
当時営業部では毎週(月)の朝部長を囲んでの業務報告会があって、担当地域の主な出来事を報告したり決済を求めたりする会合だった。その席で「今週は特に報告する件はありません」と言うものなら、ジロリと睨まれて「君の担当地域は一週間眠っていたのか? 売上げも引合も何も無かったのか、無しなら君はどんな営業活動をしたのか?」と徹底的に絞り上げられた。それじゃかなわんといい加減に売上見込みは大体こんなものですとごまかしたら、どんな製品が何台で総額幾らか、支払い条件は、信用状は銀行に来ているかと突っ込まれて目を白黒! こんな試練を経て報告が如何に正確性を要求されるものかその重要性を叩き込まれた。 その時はうるせ〜〜部長だあと腹立てたが後日自分がその立場になって見ると、報告の正確性が如何に大事であったかを強烈に認識させられた。
部門を異動する度に色々な上司先輩に接する事になったが、人によっては。自分の都合の悪い事は例えそれが事前に報告され了解や承認されたにも拘らず「俺は聞いていない」「そんな承認した覚えは無い」と責任転嫁する上司を見た事があるがこのA部長は絶対にそれは無かった。 課員の仕事に対しては実に厳しい方であったが責任転嫁や自己保全に走る行為は一切なく、本当に仕事のやり方を教えられた上司であった

2:メモと業務日誌
A部長は素晴らしい頭脳の持ち主で、私が退職するまでに接した上司や役員の中では最高の頭脳明晰の方であった。 役員会でも他の役員が見当違いの意見やいい加減な推測情報での話を始めると即座に訂正が入り実情はこうです、数値はこうですと正確な説明をされるのが常だった。 この正確性は何処から来ているんだろうとかねがね疑問に思っていたがある時そのその疑問をぶっつけて見たら、部長から「絶えずメモ用紙を持参して聞いた事や自分の話した事をメモに記入して 仕事が終わったらそのメモを見直して重要な案件は業務日誌に転記して、毎日その内容をチェックして記憶に間違いが無いかを確認している」と教えられた。 納得!!だから我々が日常業務の中で報告説明した事はきちんと部長の業務日誌に記載されており、「聞いていない」と言った類の発言はない事が理解出来た。  それ以来私もメモと業務日誌の作成は退職するまで継続した。 頭脳明晰にははるかに及ばなかったがこの方法はその後の記憶力低下や思い込みによる失敗をどの位防いでくれたか枚挙に暇ない位だった。この素晴らしい部長も現在は悠々自適で趣味の世界を楽しんでおられると聞いています