「DRIVIN' BLIND」 松本嵩春 ☆☆☆☆☆
第1回機体相互互換試験において、碇シンジの搭乗する零号機が暴走した。
シンジへの精神汚染の後遺症は無し、彼自身も何も覚えていなかった。アスカはそんな彼に、本当に何も覚えていないのかとつめよる。「におい」も覚えていないのか、と。
シンジは「綾波のにおい」だけが記憶に残っていることに気付く。
アスカはそんなシンジを罵倒する。そしてふと尋ねる。「自分のにおい」は覚えていないのか、一緒に弐号機に乗ったとき、自分のにおいには気付かなかったのかと。
アスカの様子にどぎまぎするシンジ。そのシンジにアスカは、思い出せないなら、いま嗅いでみてもいいのよ、と提案する。自分は、シンジのにおいが判る。そう言ってアスカはシンジの胸にその顔を埋める…
絡み合う二人の指がえっち。
第拾四話直後の話。この後第拾伍話のキスシーンへとつながる伏線として、非常に上手な話創りである。
シンジの胸に顔を埋めた後のアスカのリアクション、この落ちも第拾伍話と見事にマッチする。そして最後のページの衝撃的なラスト。
10ページという短い中で単体の話としてきちんとまとまっているという点、そして本編のストーリーに対する位置付けが明快な点、アンソロジーとしてのまとまりは非常に高い。
そして短編作品として見ても、その「すでに終わった事件」から盛り上げてゆく構成、一つ目の山、そしてラスト、無駄な要素はまったく含まれていない。短編の創りとしても非常にレベルのは高い作品といえる。
文句無しに星5つ。
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(c)Takahiro Hayashi
Last Updated:Sunday, 09-Sep-2007 18:42:44 JST