「DRIVIN' BLIND」 松本嵩春

「そりゃマズいって!!綾波さん」 松本嵩春 ☆☆☆


 終電を逃し、綾波の部屋を尋ねるアスカとシンジ。
 三人はトランプを始める。深夜大声を出してはマズイというアスカに、ここに住んでいるのは自分だけだ、とレイは語る。
 アスカは、いないはずの隣から人の話し声がしたり、来るはずの無い新聞配達の足音がしたり…と冗談めかして怪談話を始める。レイはそれを否定するが、ラップ音がしたり、別の人格が降霊したりはする、と冷静に告げた。その答えにひきつるアスカとシンジ。
 深夜、レイと同じベットで横になるアスカ。爆睡するレイの横で、アスカはレイの話が気になって眠れなかった。ちなみにシンジは床。
 突然アスカの脚にレイの脚が絡み付く。そしてレイの指が…
「止めてよね!」
 しかしレイにはすでに別の人格が降りてきていた。アスカの体をまさぐるレイの指…
 はたしてアスカの運命は!?

 アスカとシンジの様子から、第拾弐話〜第拾六話あたりのエピソードと思われる。
 ところでレイはトランプのルールを知っていたのだろうか?いや、トランプに限らず、他人とのコミニュケーションが必要な行為(遊び)を彼女が知っているとは思えない。おそらくアスカが額に血管浮かべながら教えたに違いない。なぜって?アスカが提案したとしたら、レイの「知らない」の一言にそのまま引き下がるとは思えないからである。(とするとあのトランプはどこにあったのだ??)とりあえず一コマでもいいから、怒鳴り散らしながらレイにルールを解説するアスカ、というコマが欲しかったな。

 話としては「魂の入れ物」というネタを上手く料理している。このネタを使用した話はアンソロジー集の中でもいくつか見られるが、やはりギャグとして使うならば、このくらい軽い話のほうがよいだろう。
 突出した出来というわけではないが、全体がバランスよくまとまっている秀作である。落ちがもう一つ切れが悪いのがおしい。

 星3つ。
 

[中央図書館の入り口へ|「ALL'S RIGHHT WITH THE WORD」へ]
(c)Takahiro Hayashi
Last Updated:Sunday, 09-Sep-2007 18:42:44 JST