Evamgerion科学講座1 陽電子砲

エヴァンゲリオン科学講座

陽電子砲

出演:赤木リツコ&伊吹マヤ



「と、いうわけで今回は陽電子砲についてよ」
「陽電子砲と言っても我がネルフ純正開発の物と戦自研のプロトタイプをベースにしたものと2つありますけど」
「そうね、マヤ。今回は戦自研ベースの物を例にしましょう」
「この陽電子砲はネルフ純正の物に比べてケタ違いの出力ですよね。なぜこんなに差が出たんです?」
「それはね、ひ・み・つ」
「…あの私、女なんですけど…」
「冗談よ。戦自研は作戦能力は無能だけど兵器に関しては専門家よ。材質や細かいノウハウの蓄積はさすがに馬鹿にできないわ」
「なるほど、腐っても鯛、というわけですね」
「さて、陽電子砲の特徴は?」
「一見するとレーザーみたいなんですが、根本的に違うんですよね」
「そう、レーザーとも荷電粒子砲とも違うわ。この両者が自らの持つ高エネルギーを相手にぶつけるのに対して、陽電子砲は陽電子が標的の体を構成する電子と反応して発生する対消滅エネルギーで相手を破壊するの」
「レーザーや荷電粒子砲が自分の持つエネルギーを使用する鉄硬弾に例えると、陽電子砲は炸薬を詰め込まれた砲弾みたいなものですね。」
「いい例えね。対消滅によって、相手の体を侵食しつつ、発生する高エネルギーで相手を破壊する。砲撃兵装としては今のところ最強の兵器よ」
「…でも大気中にも電子は多く存在しますよね。標的に到達する前に対消滅反応が起こってしまうんじゃないですか?」
「いい質問ね、マヤ。ライデンフロスト現象は知っているかしら」
「前世紀に日本で一世を風靡したテクノミュージックですよね」
「それはRYDEEN」
「じゃあ、旧帝国海軍の極地戦闘機」
「それは雷電」
「漫画家の竹本泉氏がそれを見てアニメファンになったという…」
「それは勇者ライディーン」
「それじゃあ…」
「それ以上ボケたら叩くわよ」
「あはは…高温の鉄板なんかに水滴を垂らすと、すぐに蒸発せずにしばらくは水滴のままでいる現象のことですね」
「解ってるなら最初からきちんと答えなさい」
「真面目すぎると視聴者の方が寝ちゃうんじゃないかと思って」
「いいのよ。私は馬鹿は相手にしない主義だから。」
「あいかわらずきついですね」
「ライデンフロスト現象では、なぜ水滴はすぐに蒸発しないのかしら。答えて」
「あ、はい。水滴が高温の鉄板に触れると、その接触面が瞬時に蒸発します。この時発生する水蒸気の幕が鉄板からの高温をシャットアウト。その高熱が水滴に伝わるのを防ぎます。鉄板の上に水蒸気の幕が、さらにその上に水滴が乗る構造になって、鉄板と水滴が直接接触しないことから起こる現象ですね」
「…わかってるんじゃない」
「そりゃあ、先輩の仕込みですから」
「(私はあんなボケはしないわよ!)本題に戻りましょう。ライデンフロスト現象の鉄板と水滴、陽電子砲の陽電子と大気分子、もうわかったわね」
「なるほど、対消滅反応のエネルギーが大気中の電子と陽電子を分離させてそれ以上の反応を防ぐわけですね」
「そうよ.それにこの反応エネルギーのおかげで射線の目視が可能となって着弾観測を容易にしているの」
「ところで第五使徒が使用した加粒子砲とはどう違うんですか?」
「あれはメーザー砲と思われるわ。ヤシマ作戦の時の陽電子砲と打ち合ったときの射線を覚えてる?」
「陽電子砲と加粒子砲が干渉した事例ですね」
「あのときの射線の軌跡から第五使徒の加粒子砲も陽電子砲と同じプラスの電荷を持っていると考えられるわ。ただ陽電子ではなくて重元素イオンを使用している可能性が高いわね」
「両者の射線の色が違うのはなぜなんですか?」
「偶然よ。発光はライデンフロスト現象で生じるエネルギーが元になっているわ。陽電子砲が発生させるエネルギーは紫外粋によっていて、加粒子砲で生じるエネルギーは赤外粋によっているのね」
「…ほんとですか?」
「『お約束だから』とでも答えて欲しいのかしら?」
「あ、いえ、そんなわけじゃぁ…ははは。そういえばこの陽電子砲のベースは戦自研のものですよね。返さなくていいんですか?」
「さあ、徴発してきたのはミサトだもの。私は知らないわよ」
「…大悪党ですねぇ」
「ミサトがね」

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May.,3,1996