11月2日(『正法眼蔵』「佛経の巻」の教えるもの

『正法眼蔵』「仏経の巻」の教えるもの
道元禅師の『正法眼蔵』の中の「仏経の巻」は、科学技術発展途上の現代に生きる私たちに重要なことを教えてくれています。「仏経」の「経」という文字の意味は「教え」とか「真理」とか「教典」と解釈すべきでありましょう。「仏経の巻」の中に次のように書かれてあります
「いはゆる経巻は、尽十方これなり。経巻にあらざる時処なし。勝義諦の文字をもちゐ、世俗諦の文字をもちゐ、あるいは天上の文字をもちゐ、あるいは人間の文字をもちゐ、あるいは畜生道の文字ををもちゐ、あるいは修羅道の文字をもちゐ、あるいは百草の文字をもちゐ、あるいは萬木の文字をもちゐる。このゆゑに、尽十方界に森森として羅列せる長短方圓、青黄赤白、しかしながら経巻の文字なり、経巻の表面なり。これを大道の調度とし、佛家の経巻とせり。」(谷口清超先生著『正法眼蔵を読む』下巻P158より)
ここに現代の地球環境汚染破壊の問題に対する警告が発せられていると思われます。山川草木国土悉皆成仏・有情非情同時成道の釈尊の教えが、自然界の姿が実は「経巻」として私達に教えを垂れてい給うのであると思われるのであります。それはまた三十三身に身を現じて衆生を済度し給う観世音菩薩様の御慈悲であると察せられるのであります。
地球上の環境は地球に住む私たち人間に、「このようなことではいけませんよ」「もっと自然を大切にしなさいよ」「人間は自然界のすべてのものの恩恵によって生かされているのですよ」「自然界の恩恵に感謝して生活しなさいよ」「あなた達の孫や曾孫や、ずうーっと子孫の次世代の人のことを考えて科学技術を使いなさいよ」と教え語って下さっているのであります。
谷口清超先生著『正法眼蔵を読む』下巻を拝読して、道元禅師の『正法眼蔵』の御教えが現代に生きる私たちに、まことに尊くも偉大なる真理を告げ給うものであるかをしみじみと感じ取ることができました。頓首頓首感謝合掌再拝