12月19日(『正法眼蔵を読む』下巻 「他心通の巻」 今 自分は何処にいるのであるか)
今、自分は何処にいるかを問う
『正法眼蔵』「他心通の巻」
生長の家総裁谷口清超先生の御著書に、『正法眼蔵を読む』(上・中・下・新草の巻)の四冊があります。その下巻に「他心通の巻」というのがあります。これは西京光宅寺の慧忠國師が時の皇帝の勅使である大耳三蔵という名の他心通を心得ている者との対談を記したものであります。他心通ですから何でも他人の心の中を見通して読み取ることが出来るという神通力のようなものを持っているというわけです。
國師が聞きました「汝は他心通を心得ているというが本当か」
答えて曰く「ハイ多少は」
また聞きました「では答えなさい。今、私はどこに居るのであるか」
答えて「和尚さんは一国の師といわれるお方です。ですが、どうして西川まで行って、小舟の競争などを見ておられるのでしょうか」
更に聞きました「では答えなさい。今、私はどこに居るのであるか」
答えて曰く「和尚さんは、一国の師でありますが、どうして天津橋上に行って、猿回しの芸を見ておられるのですか」
さらに三度目の問い「では答えなさい。私は今どこに居るのであるか」これを聞いて大耳三蔵は何もわからなくなって、答えることが出来なかった。
國師は「この野狐め。何が他心通であるものか!」と一喝した。
この御本を読んで私が思い起こしましたのは、
谷口雅春大聖師の御在世中のことです。長崎県西彼町の九州別格本山(総本山が出来る以前)総裁公邸に引っ越して来られて数日後、「此処での練成会のありかたについて勉強するから、私の部屋に来なさい」との御指示がありました。
その時、教えていただきましたことは「祈り合いの神想観」の実修法です。
祈りの中で先導者は『眞理の吟唱』の中の「神の生命の奥殿に坐する祈り」を厳かに朗唱しなさい、
と教えていただきました。次のコトバです。
「われは今しずかに神の生命の奥殿に坐するのである。そこよりして、われを生かす神の生命はき
たるのである」(以下略)
「われは今しずかに神の智慧の奥殿に坐あするのである。そこよりして、われを生かす神の智慧は
流れ入るのである」(以下略)
「われは今しずかに神の愛の奥殿に座するのである。そこよりして、すべてを生かす愛は湧き出てく
るのである」(以下略)(全文は『新編聖光録』一六〇頁にあり)
前記、國師が「今、私は、どこに居るのであるか」と問うた時、真実の実相を悟れる修行者ならば、すかさず「ハイ、あなたは、神の生命の奥殿、智慧の奥殿、愛の奥殿にいらっしゃいます」と答える筈ですね。
