【資材部編】資材管理の講義の思い出

平成21年7月4日


◆資材管理講義の居眠り防止案
東京や大阪での講義で、10時から夕方まで昼食をはさんでの終日の講義の日があったが経験者はすぐお分かりになると思いますが、昼食後の「眠い事」! 黙って机に座って聴いていると自然にまぶたが重くなって、ついコックリコックリが始まってしまいます。黒板を背に前から40人位の受講生を見ますと不思議な位、居眠りをしている人が目につくのです。傾向としては、大体後ろの方に座られた方にその傾向が良く見られますが、中には素晴らしい豪傑もおられて、講習が始まる前から机に頭つけてテキストの上で堂々と寝られた方もおられました。こう言った講習会は一方通行に成り勝ちですので、受講生を巻き込んで居眠りが出来ないように作戦をかんがえました。

◆その1:価格見積もりの実習
参加されている方々はいずれも著名な企業の資材関係者ばかりです。勿論業種は千差万別ですが基本は同じと考えて、ある時講習会の机の上に置いてある金属製の灰皿を全員に見せて、この製造コストはどお位でしょう? 電気、薬品 化学等全く金属製品に関係ない方も居られましたが、その方々にも見積もりに参加してもらいました。 ヒントもアドバイスも一切無でその金額を記入してもらい、受講生の方に手伝って頂いてその見積もり金額を黒板に書いていただきました。全員の結果が分かりますと、教室中から「へえ〜〜え」の声が挙がりました。それだけ「バラバラ」の見積もり結果が出たのです。出席者はいずれも日常業務で原価見積もりの作業は経験済みで素人ではありません。そのベテランの方が推定した製造コストの見積もりがこんないにばらつく事実を目の前にして、皆な驚いていました勿論、通常はこんな突然の白紙状態の見積もり作業はありえません、原材料の分析から 製造工程や量産効果までしっかりと調べて見積もりしますが今回は全くの経験と「勘」での ばらつきの実態をお見せして、納得していただいた。その後で私が事前に入手しておいた資料を基に算定した製造コストの説明をしましたが、その時にはもう誰一人居眠りする方はおらず、熱心に聴いていただけました。時にはこんな全員参加の講習方法も役立ものです。この時の貴重な説明状況の写真が一枚だけありましたのでお見せします。


◆数字はうそを言わない?
先ほどの例に見られるように、経験や勘は大切ですがそれは個人差が大きすぎて危険な事がよくあります。 その道何十年の超ベテランの方が機械の発する音を聞いただけで欠陥や問題点を指摘した話を良く聞きますが、その名人が居なくなったらどうしたら良いのか?やはり誰にでも理解できる様に数値で表現されたテキストが必要かと思います。勘では理解出来ない現象を数値で置き換えることで、多くの方が早くベテランの域に達する事が出来ましょう。  それだけに数値とその表現方法の意味している事を正確に理解する事が要求されます・・・・・・と説明すると殆どの方が納得の表情・・・・そこで質問です

◆その2:この発表は「うそ」かほんとか?
かって米国とソ連が冷戦時代、ある時の競技大会で双方から次のような発表がありました。
米国: 
この競技でわがアメリカは堂々の優勝を勝ち得たがソ連は最下位の惨敗であった。
ソ連:
この競技でわがソ連は堂々の準優勝を勝ち得た。わが同志に感謝を。
結論として双方ともに真実を発表したのですが、皆さんはどう理解されました?

◆その3:数字はウソを言いません。
数字は絶対に正しいものです。それでは質問です。
貴方一人で、家を建てようとしています。建設日数は一人の時は100日です。
友人が手伝いに来て二人で作り始めました。これで日数は50日に短縮です。
・・・・この説明に殆どの方が疑がわず納得の表情。
さらに作業員を4人にしますと建設日数は25日です。
・・・・少しの方が何となく半信半疑の姿勢だが残りの方は納得。
さらに作業員が50人の時には建設日数は2日で終わりますね。
・・・・ここまで来ると殆どの方が「そんな馬鹿な」の表情。
さらに作業員を100人にするとこの家は一日で出来上がる計算です。
・・・・この説明では全員が「ありえない、ばかばかしい」の表情。
さらに作業員を1000人にしたらこの家は3時間弱で完成ですね。
この数字に何処が「ウソ」なんでしょう? 理論的に間違いを指摘してください。
みんなこれは間違っていると頭では理解しても、どの様に間違いを指摘するか頭抱えました。

◆最後の質問
その4:数字は「ウソ」を言いません、では次の質問ですと言いますと全員こんどはだまされないぞの顔で真剣に質問を待ちます。
では質問、 太平洋を一隻の船で渡ると横断に7日間かかります。それでは7隻の船で横断したら一日で出来ますね? 数字に「ウソ:いつわり」はありません。納得されましたか?全員大笑いしました、その計算が間違っているとすぐ理解できるのですが、何処が間違っているのか 考えてくださいと聞きますと全員渋い顔・・・・・。この例題は有名な数学の文庫本からの引用で、ご存知の方も居られたでしょうが、とうじは眠気覚ましの恰好の種でありました。の質問をお読みの方で正解はこれだと思われる方は是非その内容をご一報下されば幸甚!