突然の異動命令
平成21年5月29日


 出営業課でのアイルランド向けの部品輸出も軌道にのり現地生産も順調にその成果を挙げ、西ドイツの大手通販会社よりの注文も一挙に倍増してきて現場は活況を呈して来た。その頃の本社事務所は、夏暖房冬冷房完備の建物で大きなワンフロアーで全員が机を並べていた。 8時始まり4時終業で、4時以降残って仕事しているのは輸出営業の連中と決まっていた。 夏は暑くてたまらぬので窓を開けて仕事すると「やぶ蚊」が入ってくる。 そこで窓を閉めて「蚊取り線香」を じゃんじゃん燃やすと「蚊」ではなく人間のほうが悲鳴あげて窓開ける・・「蚊」が入ってくるの悪循環で苦労した。 冬は襟巻きやコートを着て何とか寒さを凌いで来た 。
こんな建物から解放されて 昭和36年7月地下一階地上6階の壮大な事務所ビルに移った時は将に地獄から天国に来た感じだった。 輸出営業課は二階の西側で外の景色も良く見え特に鈴鹿の山々に沈む夕日が何時見ても素晴らしかった。

 ころが秋も深まった11月のある日突然社長室から直接電話があって「すぐ来るように」との事。 普通の会社ならこんな事はありえないが当時のK部長は必要と思う報告は相手が誰であっても自分でするようにと指示されていたので今度も最近のアイルランド状況の質問だろうと想像して、資料を持って社長室に入ったら前置きもなにもなく突然

君、来月から資材部に異動だ」との話。 

これにはいくらノーテンキの私もびっくり仰天、「は〜〜あ?」
 「君 以上だ」で態よく追い出された感じ。

早速K部長の所に行って、社長から異動だと言われましたと報告したら、今度はK部長が驚いて「何だと〜〜、俺は知らんぞ、そんな馬鹿な」と言ってすぐ社長室に入っていった。
暫くたって「あかんわ、君すまんが12月21日付けで資材部に行ってくれ」との話になってしまった。この会社にいると色々びっくりする様な事が多いが何十年 たってもあの時の「君 資材部へ異動だ」のショックは鮮明に記憶している。 

当時の資材部は本社ビルの一階で窓も何も無い部屋で、この素晴らしい眺めの部屋から 異動するほうが余程ショックだった・・・やはり何処まで行ってもノーテンキは変わりません。