相変わらず精巣の話で申し訳ないが。
鳥の精巣というのを見たことがあるだろうか?

彼らは空を飛ぶわけであるから、まさか妙なもんぶら下げておくわけにはいかない。あのあたりにそういう出っ張りがないのは皆さんご存知のことと思うけど。

んでどこにあるかというと。

腹んなかにあるのである。
背中側、腎臓と仲良く並んで背骨にくっついている。

哺乳動物の場合、精巣が体の外に飛び出しているのは、体温よりも低い温度でないと精巣の中身が元気がなくなるからである。
鳥の場合はもろおなかの中なのだが、一応いろいろ考えはあるようで、とりあえず一番皮下脂肪の少ないあたりに位置している。

さらに。

でかい。体のサイズから予想される大きさの1.5倍は楽にある。

でかいが中身は哺乳類のものに比べ、やわらかい。
被膜をちょっとつつくと、中身がでろれんと流れ出してしまうくらい、もろい。
哺乳類の場合は、中身は少々顔を出すが、流れ出すには至らない。

なぜかを考察してみた。
中身がゆるいということは水分が多いということである。前にお見せしたように、精巣には精細管という管があるのだが、この精細管の周りを満たしている体液(リンパ液)の量が鳥類の場合、哺乳類よりも格段に多いのである。
そして、精巣に入っていく血管は無駄に蛇行している。

こうして、少しでも血管をとおる血液の温度を下げ、さらに水分で満たすことにより、急激な体温上昇があった場合にも、精巣の温度を上げないようにしているらしいのである。

でかい理由をさらにもうひとつ思いついた。
昔、肉屋さんで、鳥のモツ、ってのを売っていたが、あの中に卵巣が入っていたのを覚えている。今でも食うのかどうかは知らないが。
大小いろいろの黄身がたくさんぶどうの房のように集まってるシロモノ、あれが卵巣である。
鶏や鶉のメスは、長日条件の繁殖期なら、とりあえず毎日という勢いで卵を産む。
卵の黄身、あのサイズの卵が、少なくとも5日分くらいは、雌鳥のおなかの中では常に成長している状況である。
よって、雌鳥の卵巣はものすごくかさばる。おなかの中一面卵巣といってもいいくらいである。

んで。鳥という生物を形成するにあたって、骨格や、体のバランスそのものを雌雄で分けて作るのは大変面倒くさかったのだろう。大体空を飛ぶということをする時点で、体の形や、重心の位置はかなりの制約を受けるのである。その上、メスは卵巣が大きいから、下半身でかくして・・・なんて考えるのはしちめんどうくさい。
だからといって鳥をやっていく手前、雌は飛ばなくてもいいというわけにもいかないから、それなら問題の多い雌にあわせて体のデザインはとこうか、ということになったに違いない。
そうすると、ごろごろした卵のない雄の腹の中は、スカスカになってしまうのである。
スカスカになると、飛んだり動いたりするときに、内臓に落ち着きがなくてしょうがない。だからといって脂肪でとりあえず充填しようなんて考えたら、雄鳥はみんな高コレステロール血症で死に絶えるに違いない。
腎臓とか肝臓とかいたずらに大きくしたところで、血液貯留が多くなって心臓に負担をかける。

そったらとりあえず精巣あたり水ぶくれにしといて、バランスとりゃいいじゃん。

こうして鳥類の精巣は意味もなくでかくなったに違いない。

注:学術的根拠まったくなし

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