特別企画  ファトラ×ルーンの耽美小説 (98/10/27)


§1

 ある日。ファトラはルーンとバルコニーで茶を飲んでいた。アレーレが二人のカップに甲斐甲斐しく茶を注ぐ。
「ファトラ、貴族のご令嬢達と遊ぶのもいいですけど、政治上の都合のことも考えて遊んで下さいね」
 ルーンができる限りやんわりと話す。
「まつりごとに支障が出るようなことはしていないつもりですが…?」
 怪訝な表情のファトラ。
「いえ、今の所はそうですけど、事態がこじれるということもありえますし」
「そういった可能性はきちんと考えてますから、心配しなくて大丈夫ですよ」
 やんわり微笑むファトラ。
「そうですか。それならいいのですが…」
「まだ何かあるのですか?」
「いえね。怒らないで聞いてくれます?」
「もちろんですとも」
 ファトラのその言葉に、ルーンは緊張を緩くする。
「その……なんでそういうことばかり好きなのかなと…。分からなくもないですが、もっとリスクを考えた方がいいんじゃないかなと…」
「貴族の娘たちは遠出などなかなかできませんし、わらわが異国の話などしてやるととても喜びますよ」
「そうですか。それならいいんですが…」
 釈然としない様子のルーン。
「姉上」
 ファトラは改まった顔をして姉を呼ぶ。
「何ですか?」
「わらわは自分の好きなように行動していますが、姉上や国のメンツが立たなくなるようなことはしないつもりです。……そりゃまあ、ときどきそういう事態も起きますけど、そういう時はきちんとわらわの方で事態を収拾してるじゃないですか」
「そうですね。――では……」
「何ですか?」
 今度はにっこりと微笑むファトラ。
「私にも異国の話をして貰えますか?」
「え?」
 ファトラの表情が一瞬にして凍る。
「あら。私何か変なこと言いましたか?」
 微苦笑するルーン。
「え、いえ。そんなことはないです」
 ファトラは取り繕うように茶をすする。
「では、今晩来て下さいね」
「え、あ、はい!」
 ファトラは思わず大声で返事をしてしまった。
「ふふ…。じゃあねファトラ」
 茶を飲み終えたルーンは公務へと戻っていった。後にはファトラとアレーレだけが残る。
「ファトラ様、ルーン王女様は睦み事のことを言っているのでしょうか」
「…………」
 ファトラは妙に思い詰めた表情をしている。
「ファトラ様?」
「アレーレ。風呂の用意じゃ」
「は?」
「風呂の用意じゃ!」
「は、はいぃ!」
 アレーレはぱたぱたと走っていった。

 ファトラは念入りに風呂に入り、念入りに化粧し、新品の夜着を着てルーンの部屋へと向かった。
 そこで初めて、ファトラはルーンがただ単に異国の話を聞きたいだけだということを知ったのだった。


§2

 ある日。ファトラは風呂に入ろうと思い、王宮内の王族用の風呂場へ独り向かった。

 脱衣場で、ファトラはルーンの服があるのを見つけた。脱いだ後の服のようだ。どうやらルーンが風呂に入っているらしい。
 普通、服は侍女がすぐに片づけてしまうのだが、なぜか今日だけは脱いだ服があったのだ。侍女がいない。ファトラが風呂に入る時は侍女は使わないのでいなくて当然なのだが、ルーンは侍女を使うはずだった。おそらくは、彼女は今日は侍女を使わなかったのだろう。
 実姉の服は脱衣篭に無造作に入れられている。風呂の方からは水音が聞こえてくる。きっと彼女のものだ。
 ふいに、ファトラの頭の中にある種の欲求が起こった。いけないこととは思いつつも、服を手に取ってしまった。ほのかな温もりが感じられる。脱いだ直後らしい。
 いったん服を脱衣篭に戻すと、自分の服を脱いだ。全裸になると、まだ温かい姉の服にくるまる。素肌に直接、ほのかな姉の温もりが感じられる。精神が昂ぶる。
 ファトラはそのまま絨毯の上に寝転がった。
 自分は性的に興奮しているということが、ファトラ自身にも分かった。たかが服にくるまっただけで興奮してしまうというのが変でおかしくもあったが、むしろ姉の服にくるまっているという事実に自分は興奮しているのだと思った。
 姉に抱きかかえられるのとは別の種類の昂ぶりがある。鼻腔に香るほのかな姉の香りは嗅いだだけで頭がくらくらする。理性がひどく鈍り、感性が精神の大半を支配する。
 鼻にかかった甘いうめきをあげ、絨毯の上でのたうつ。自分の女の部分が濡れているのが分かった。“自分は実姉と交わっている気分でいるのだ…!”と残り少ない理性が分析する。そしてまた、「誰かに見つかるかもしれない。姉に見つかったらどうしよう」という背徳的な気持ちが気分をより高揚させた。両足をもじもじさせて、女の部分を刺激する。すぐにそれだけでは足りなくなり、指を使った。
 押し倒す相手ならいくらでもいるというのに、そんな自分が自慰行為をするなんて、間抜けで馬鹿馬鹿しいことのように思えた。いや、相手が大切な実姉だからだ。それ以外の人間だったら、こんなことをするなんて考えられない。大切な実姉を思って流れた液で指がぬるぬるする。絨毯の上でのたうって、姉の服を素肌にこすりつける。姉に触れられているような気がする。気分がさらに高揚する。
 体がびくびく震えた。指の動きが速くなる。甘いうめきが鼻から漏れる。
 と――
「誰かいるの?」
「っ!!」
 自分でも驚くほどの速度でファトラは飛び上がった。
 声の主はルーンだった。風呂の方から聞こえる。
「わ、わらわです。姉上。ご一緒してよろしいですか」
 努めて平静を装いつつ、声を出すファトラ。その一方で、くるまっていたルーンの服を素早く脱衣篭に戻す。
「ええ。いいですよ。入ってらっしゃい」
「はい」
 とりあえず危機は去ったと、ファトラは一安心した。なんだかひどく間抜けな気もするが、仕方がない。
 念のため、ルーンの服を確認した。
 服にはさっきの液がついてしまっていた。うかつ…とファトラは思う。仕方がないので、それができるだけ目立たないようにしながら服を脱衣篭に戻した。太ももをつたっている分は湯浴み着を着てしまうので問題ない。
 自慰を途中で中断させられてしまい、むずむずする。しかし、今はそれどころではなかった。
 ファトラは湯浴み着を奇麗に着込むと、風呂へ足を運んだ。

 当然のことながら、風呂にはルーンがいた。しかし、ルーン以外には誰もいないようだった。湯気のおかげで紅潮した顔のことは言い訳できるし、さっきまで自分がしていたことを悟られるような理由は一切ない。
「失礼します」
 自分も湯につかるファトラ。隣にはルーンが自分と同じような湯浴み着姿でいる。
「ファトラ、今は二人っきりなのですから、そんな言葉遣いでなくてよいのですよ」
「わ、分かりました」
 横目で実姉の躰をちらちらと盗み見る。濡れた湯浴み着は肌にべったりとくっつき、想像をそそる。形の整った乳房や足を見ると発作的に触れたくなる。自慰を途中で中断したせいだ…と、すぐに分かった。どうにも妄想が止まらない。自慰を最後までやり遂げるか、冷水でも浴びないことには止まらないような気がする。
 湯船の中で、いつの間にかファトラは指を内股に這わせていた。幸い、湯船の中だし、湯浴み着を着ているおかげで姉にそのことは分からない。
「ファトラ、こうしていると、昔を思い出しますね」
「そうですね」
 姉に触れてはいけない。触れれば、発作的に襲ってしまう。危機的な気分になる。
 ルーンは自分の唯一の肉親だ。大切な姉だ。彼女のためならなんでもできる。彼女のためなら死ねる。――そんなことを考える。もし姉に不貞な行いをする輩がいたら、そんな奴は叩き殺してやる。そうしてやる。そう決めた。


§3

 数日後。
 ルーンに借りていた髪飾りを返そうと、ファトラはルーンの部屋の前に来た。ノックして、ルーンを呼ぶ。しかし、返事はない。どうやら留守らしい。
 なんの気もなしに、ファトラは扉を開けた。姉の部屋に入ることはよくあるし、さほどいけないという気はしない。もっとも、普段は姉がいる時に入るのだが…。きっとこの前のことのせいで、克己心が鈍っているのだとファトラは思った。

 部屋の中には誰もいなかった。
 とりあえず、鏡台に髪飾りを置く。
 考えてみれば、ルーンのいないときに彼女の部屋に入ったことは最近は全くなかった。やはり悪いからだ。こういうことは久しぶりなので、部屋の中をふらふらと徘徊した。姉が読んでいると思しき本がナイトテーブルの上にある。タイトルや大まかな内容は知っているが、読んだことのない本だ。その他には寝酒らしきものもある。一杯貰おうかとも思ったが、やめた。
 もう少し歩いて、バルコニーまで来た。外の景色が見える。
 すると、突然扉が開けられる音がした。
 ファトラは反射的に身を隠してしまった。それと同時に、ドアから人が入ってくる。ルーンだった。
 ファトラは舌打ちした。身を隠してしまったため、今からルーンの前に現われたのではいかにも訝しくなってしまう。身を隠したりせずに、そのままでいるべきだった。そうすれば失礼であるだけで、訝しくはない。幸い、ルーンはこちらの存在に気づいていない。彼女が部屋から出ていった後、自分の部屋から出ていけばいいと思った。
 薄絹のカーテンを通して、姉の姿が見える。姉は独りのつもりでいるから、今見ているのは姉の完全な私生活なのだ。なんだかどきどきした。
 ルーンは鏡台の前に来て、自分の姿を確認する。と、さっきの髪飾りを見つけた。それを手に取るルーン。不思議そうな顔をしている。
 やはりまずかった――とファトラは思った。それにだいたい、今自分がしていることは、墓穴に墓穴を重ねているだけではないか。今からでもさっさとルーンの前に現われて、事情を話した方がいいような気がする。しかし、どうにもとっかかりが掴めない。いっそのこと、彼女がこちらを見つけてくれればいたずらっ子のような顔をしてお茶を濁せるのだが。
 ルーンは髪飾りのことは気にしないことにしたらしく、髪飾りを鏡台の上に戻すと、今度はベッドの方に来た。ベッドの上に乗る。
 仮眠でも取る気なのだろうかと思った。それはまずい。あと何時間もここにいなくてはならなくなってしまう。いくらなんでも辛い。下手をすれば、バルコニーから壁を伝って脱出しなければならなくなってしまう。
 が、ルーンはいつまで経っても寝るような素振りは見せなかった。その代わり、服を緩めるような素振りを見せる。
 反射的に、ファトラは姉が何をしようとしているのか理解した。にわかには信じがたい結論だったが、濡れ事には詳しい勘でもってそれが明らかであると感じる。
 ルーンは左手を自分の乳房にあてがい、右手を内股へ滑り込ませた。手がもじもじと動く。
 物凄い光景だった。姉が自慰をしている所を想像したことはある。姉と交わっている自分を想像したこともある。しかし、今まさに自分の目の前で展開されていることは、紛れもない現実であり、事実だ。事実、今まさに自分の目の前で、薄絹のカーテンの向こうで、実姉は自慰に耽っているのだ。
 心臓が信じられないほど高鳴り、血圧で耳が痛くなる。まばたきすることを忘れ、息をすることを忘れ、ただ目の前の事態を食い入るように見つめる。思わず酸欠になり、せきをしそうになったが、すんでの所でこらえた。感情は信じられないほど昂ぶっているのに、理性はひどく冷静だった。姉の様子を事細かに観察し、その全てを記憶に焼きつける。
 姉は部屋の中には自分以外誰もいないと完全に信じきっている。そうでなかったら、こんな痴態など演じるわけがない。彼女の独り遊びは実に上品で、楚々としたものだった。アレーレなどにさせると実に大胆なことをするが、ルーンはやはり控え目だ。
 姉の躰がもじもじと動く。感じているのだ。頬が紅潮している。指の動きが速い。
 気がつくと、自分も姉と同じことをしていた。床に上にぺたんと座り、服の中に手を入れている。目は姉から離さない。
 自分の女の部分は驚くほど熱く濡れていた。視線は姉に釘づけなせいで分からないが、おそらくは服にも染みができているだろう。指が滑ってしまって、刺激しづらい。雛先も赤貝も痛いほど充血していた。刺激してやらないことには血管が破裂してしまいそうだ。乳房も張り詰めているし、乳首がやはり痛いほど充血している。
 姉が服を大きくはだけた。乳房があらわになる。自らの手で揉まれている乳房は自在に形を変える。姉の女の部分も一瞬覗けた。手がかかっているせいでよくは見えないが、奇麗な栗色の恥毛だ。
 理性がとろけていく。二人の間を隔てている薄絹のカーテンは、はかない理性のように思われた。理性が紙屑のようだ。必死に自分を慰める。その間にも目では姉を凝視する。躰の感覚がおかしくなる。何も感じないようでいて、快楽だけはしっかりと伝わってくる。指を膣の中に入れた。姉を思って流れる液の源泉はとどまる所を知らない。二本の指は何の抵抗もなく入った。指を入れたせいで液が逆流している。中のひだに指が絡まり、さらに理性が鈍る。物足りなくなって、もう一本入れた。姉の上品な自慰に比べれば、酷く下品だ。しかし、そんなこと構わない。3本目の指もするりと入った。指を強く絞める。乳房も痛いくらいに揉む。呼吸が速くなり、意識すらぼんやりとしてくる。
 姉の方は絶頂が近いらしく、躰が小刻みに震え、指の動きが速くなっていた。ファトラもそれに合わせて指の動きを速くする。
 ファトラの方が先に絶頂を迎えた。しかし、気分の高揚は全く収まらない。
 姉が絶頂を迎える時には、ファトラは二回目の絶頂を迎えていた。
 事を終えたルーンは余韻を愉しんでいる。ファトラはまだ高揚が収まらない。
 突然、平静な気分に戻ったルーンは、何者かの存在に気づいた。ファトラの息づかいに感づいたのだ。みるみる内にルーンの表情がこわばり、ついで恐怖の表情となる。痴態を見られたという恥ずかしさから、ルーンは大声を出した。
「誰です!!」
「姉上!!」
 薄絹のカーテンが――はかない理性が裂ける音。
 ファトラは薄絹のカーテンを引き裂き、実姉に飛び掛かった。
 姉の悲鳴。今となってはそれすらも興奮を誘う材料でしかない。
 実姉をベッドの上に押し倒した。彼女の表情は、恐怖,驚愕,困惑,怒りなどが混ざっているようで、何を考えているのかよく分からなかった。なんだか、時間がゆっくり流れているような気がした。ふわふわする。姉が押し倒されていく様子がスローモーションに見える。ベッドの上に乗っているはずなのに、感じるのは姉の感触だけだった。
 二人とも半裸の状態になっている。ファトラは姉の躰にむしゃぶりついた。ついで、ルーンの太ももを自分の内股にこすりつける。強くこすりつけた。快楽に頭の芯がしびれる。姉が何か叫んでいるようだが、聞こえない。姉が背中に爪をたててくる。気持ちいい。痛くない。両手で姉の乳房を強く揉む。潰れてしまうのではないかというくらい揉んだ。姉の顔が苦痛に歪む。美しい。姉の手が背中から離れる。指には血が付いていた。気にならない。姉の片足を持ち上げ、胸に抱いた。お互いの女の部分をこすり合わせる。躰を介してではない、直接の快楽が頭を貫いた。やがて目の前が見えなくなり、躰の感覚がなくなり、姉の感覚だけが残り、ふわふわとした快楽だけが残り、そして全てが失われた。
 すうっと……ファトラは気絶してしまった。

 気がついた時、背中が痛かった。ついで、躰の感覚が戻った。どうやら裸らしい。視界が戻り、隣に姉がいることが明らかになる。
 急激に、自分が姉にしたことが頭の中を埋めつくした。
「うわあっ!!」
 思わず、叫ぶ。
 寝かされていたベッドから飛び起きた。
「ファトラ!」
 凛とした姉の声。
「あ、姉上!」
 みるみる内に、目に涙が溢れる。
「あ…姉上……わらわは……わらわは姉上に酷いことを……」
 痛烈な後悔の念に襲われた。自分は姉に取り返しのつかないような酷いことをしてしまった。死んでしまいたくなる。ファトラはルーンから目を背け、泣き出した。
「ファトラ…」
 ルーンもベッドから出る。彼女も裸だった。泣き崩れたファトラに近寄り、彼女の両肩に手を置く。
「ファトラ…。いいんですよ。……その……あなたが私にそういう感情を持っていることは知っていました。今まではぐらかしていましたが、知っていました…。――ファトラ。どんなことになろうとも、あなたは私の大切な妹です。いいですか。どんなことがあっても、いなくなったりしてはだめですよ」
 ルーンはファトラの濡れ羽色の髪をそっと撫でてやる。
「それにね、今はちゃんといけないことをしたって分かってるじゃありませんか。さっきは普通の状態じゃなかったんですよ。普通の状態じゃなかったんだから、気にすることはありませんわ」
「……姉上…」


  了


あとがき

 エロ文章書きモードのなっつです。(笑) 以前から温めていた、ファトラ×ルーンのエロ小説です。(笑) 3時間ほどで書いたものですので短いですが、シチュエーションには非常なこだわりがあります。(爆) こういう手の込んだシチュエーションが好きです。使用する語彙にも注意しています。あからさまな艶めかしい描写は減らし、心理描写を中心にしています。
 一応、愛のある内容をということで、そのへんは注意しているんですが、うまくいっているかは自信ないです。(^^;
 まだ他にもいくつかエロ小説のネタはありますが、読みたいという声が多ければまた書きたいと思います。



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