スノーホワイト


 むかしむかし、あるところに、とてもきれいなお姫様がいました。
 名前はファトラ姫。
 この世で自分より美しいものなどいないと思っているファトラ姫は、毎日魔法の鏡をながめては、こう尋ねるのです。
「鏡よ鏡、この世で一番美しいのは誰じゃ?」
「ウニャニャ、ソレハふぁとら姫ダニャ。」
「はっはっはっ、そうじゃのう。わらわが一番じゃ。」
 ファトラ姫のわがままには、魔法の鏡だけではなく国中のみんなが迷惑していました。


 今日もファトラ姫は鏡の前に立っています。
「これ、鏡よ鏡、この世で一番美しいのは誰じゃ?」
「ウニャニャ、ソレハ白雪まこと姫ダニャ。」
「なにぃ!?白雪マコト姫!?誰じゃそれは!?」
「コノ娘ダニャ。」
 魔法の鏡に映し出されたのは、ファトラ姫にそっくりな、とても可愛らしいお姫様でした。
「なんじゃ、わらわと同じ顔ではないか?」
「デモ心ハ白雪まこと姫ノ方ガヨッポドキレイ。違イガ顔ニモ出テル。」
「このどくされがああぁぁッ!!!」

 ガシャン

 怒ったファトラ姫は鏡を叩き割ってしまいましたが、そんな事では腹の虫はおさまりません。
「うぬう・・・認めん、わらわより美しいものなどぜったいに認めん!!」
 一計を案じたファトラ姫は、知り合いの魔女ミーズに白雪マコト姫を暗殺させる事にしました。
「で、どうやって始末するのじゃ?」
「おまかせくださいファトラ姫。この毒リンゴを食べさせればイチコロです。」


 さて、自分の命が狙われているなどとは思いもよらない白雪マコト姫は、今日も森の中でお花をつんでいます。そこへ毒リンゴを手にした魔女ミーズがやってきました。
「そこのおじょうちゃん。」
「なに?おばさん?」


「何?毒殺ではなく撲殺してしまったじゃと?」
「だってあの娘、私のこと『おばさん』なんて言うんですもの。」
「・・・まあよい。それで死体はどうしたのじゃ?」
「放ってきましたわ。今頃クマのエサにでもなってるでしょうよ。」
「そうか。これでまたわらわがこの世で一番美しいわけじゃな。あっはっはっはっはっ。」


 ファトラ姫がゆかいそうに大笑いしているその頃、魔女に殴り殺され横たわっている白雪マコト姫のところに、白馬に乗った七三分けで目つきが異様にギラギラした旅の王子様が通り掛かりました。
「ややっ!?これは!女の死体ではないか!?」
 馬から下りて白雪マコト姫の死体を覗き込んだ王子様は、大喜びで飛び上がりました。
「おおッ、おおおおッ、おおおおおおおぅッ!死体!死体死体死体死体死体!!素晴らしい!なんと素晴らしい死体だ!!ウヒャ、ウヒャヒャヒャッ、ウヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャッ!!」
 そうです、この王子様は女性の死体に激しい性的興奮をおぼえると言う「死姦マニア」だったのです。
「えええい!『そっとくちずけ』などという児童文学的表現などやってられるか!もう辛抱たまらん!!」
 そう言うと王子様はズボンのベルトをカチャカチャとはずしだしたではありませんか!いけません!これは児童文学なのです!!
「う・・・ううん・・・?」
 この王子様の異様な気迫に、殴られて気を失っていただけの白雪マコト姫は、ようやく目を覚ましました。
 でも、そこで姫が見たものはとても口では言えないようなものだったのです。
「ひぃやああああぁぁぁぁぁぁぁッ!?!?!」


 こうして、生きた女性には興味が無いという王子にむりやり責任を取らせた白雪マコト姫は、王子様と手を取り合って、ファトラ姫や魔女ミーズに仕返しをするのですが、それはまた後のお話。



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