2001.07.25 自衛官の独り言

F−2について(自粛版)

1.はじめに
 本文中で偉そうに語りますが、アビオニクスや、航空力学についての記述はあてにしないでください。また、
平気で嘘を語る可能性があるので、うそを発見した場合や疑問がある場合は、メールか掲示板に一筆お願いします

2.名無しの権兵衛
 
日本で開発された航空機には愛称がついていない。なぜだろう?別に手を抜いているわけでもないし、
憎いわけでもないのに。あるパイロットの方が、「XF-2に愛称を付けよう!」などと話しているのを耳にしたのですが、自分も賛成です。そのパイロットの方は「ストライク・ファルコン」と語っていて、ひねりが少し足らないと感じるのですが他に良い愛称がなければそれでもよいと思います。(昔はアメリカの航空機にも無理やり「旭光」「初鷹」等の愛称をつけていた日本ですが、自国の開発機になぜ名称をつけないのでしょうか)結局のところ名前がついていません。このような要望はどこの直訴すればよいのでしょうか?

3.オプションもそろっております 
 
アメリカのF-16には存在せず、ノルウェー用のF-16にはついているドラッグシュートですが、F-2にもついています。これは、誰かがわがままを言ったわけでなく、航空自衛隊から三菱重工に要求した「仕様書」なるものに、短距離着陸(滑走路を短くしか使用できない場合などを考慮して)があったからです。個人的にF−2のドラッグシュートは好きです(変かな?)。他の戦闘機のドラッグシュートは、コックピットからパイロットがワイヤーを引っ張ることにより作動、切り離しを実施しているのですが、F−2は電気/油圧でやっており、パイロットのスイッチ操作により作動、切り離しが実施されます。電気コントロールの油圧作動なので自分の仕事は増えるのですが、「こんな機構もあるのか」と勉強の甲斐があります。ただし、スイッチの操作性がパイロットに不評です。(------自粛------)ちなみに、ロッキードではドラッグシュートをメーカー・オプションとして用意しているので、お気軽にお尋ねください。

4.辛口(?)トーク
 
愚痴を少し。飛行開発実験団といえば航空機の開発実験を実施しており、航空機開発のエキスパート集団のような妄想を持って転属したのですが、蓋を開けてみると他の航空団と違いはありませんでした。開発中の航空機に故障が起こるのは自分では当然と考えていたのですが、飛実団で自分と同じ考えの人はほとんどいません。故障が発生すると「○○重工の造る飛行機は、やっぱりだめだ」などと言い出す始末です。システムや構造の重大な不具合及び不具合要因は、試験期間中に出してしまうのが試作機の任務ではないでしょうか?はじめから完全な機械は、この世に存在しないものと自分は考えます(そりゃぁ、はじめから完全な機械であれば、それに越したことは無いのですが)。試作機で不具合を出せば、それだけ量産機の完成度が上がっていくものと考えます。重大な不具合が部隊運用中に発生するのは、開発に携わった人間として悲しいことだと思います。
 それではF−2はどうだったのか?と聞かれそうですが、当初に設定された開発期間は短すぎました(当初3年間)。それが不具合等で5年と数ヶ月になったわけですが、5年でも短いような気がします。まあF−1の後継機ということで、これ以上時間をかけるわけには行かないのでしょう。試験の成果として大きなものは主翼の不具合や垂直尾翼の不具合、後胴の不具合などが出たので、これからどのように改修していくかが宿題として残ったものと思います。小さな問題点は数千件出たと聞いています。よってF−2の開発はとりあえず及第点を出せるものだと思っています。


5.日米経済摩擦?
 上の項目で高得点ではなく「
とりあえず及第点」としたのは、F−2は日本での新規開発ではなく、F−16をベースとした日米の共同開発でのしがらみがあったからです。F−2のシステムや構造は、ベースとなったF−16とは別物といっていいものと思いますが、日米間で取り決められたワーク・シェア(簡単に言うと60%は日本の儲けで40%はアメリカの儲けという取り決め)という決まりで、アメリカのシェア分は部品もアメリカ製であり、F−16の部品そのものなのです。日本製の部品(版権と製造権が日本にあるもの)が不具合を起こすとその部品をメーカにて分解、調査し、その結果改修の必要性があれば改修の運びとなるのです。しかしアメリカの部品にひとたび問題が発生しても「F−16では問題が起きていないので一時的な問題である。よって問題の発生した部品は交換してください」との回答が半年後ぐらいに帰ってきます。もし、問題を認めてしまうとF−2だけの問題だけでなく、世界で使用されている約5000機(だったと思う)のF−16の問題となってしまうのですが、費用対効果を考慮すると部品を交換するほうが良いのでしょう。結局アメリカ製品についてはクリティカルな問題以外は泣き寝入りということになります。

6.あまり書くと怒られそうなので..
 
F−2は高価な戦闘機です。現在では名実ともに世界一です(?)。なぜこんなに(約130億と聞いています)値段が高いのでしょうか?米軍みたいに競争試作させて、予算範囲内での研究開発をさせると良いと思うのですが、国内に戦闘機を作れる企業が1社しかないので、競争試作は無理ですね。また、航空自衛隊も値段を上げる一端を担っているのでしょうか?1種類の戦闘機になんでもかんでも要求しすぎではないかと思います。

7.支援する戦闘機
 
通常戦闘機の種類は要撃戦闘機(ファイターインターセプター)と攻撃機(アタッカー)が存在するものと思いますが、航空自衛隊では要撃戦闘機と支援戦闘機(ファイターサポート)という分類に類別されます。支援戦闘機とは日本にしかないカテゴリですが、どこの誰が見ても攻撃機に類別されるべき機種です。しかし、自分の心の中では支援戦闘機という呼び名はとてもかっこよいと思っています。ついでに言いますと、型式名称を「F−2」ではなく「FS−2」として欲しかったです(Fighter Supportだから)。余談はさておき、日本が攻撃機と言う言葉を使わないのは、アジア等の周辺諸国に対しての配慮からなのでしょうが、攻撃機としての性能を持っている航空機を配備している事は、どこの国の人が見ても明らかではないでしょうか?この問題は、自分の頭ではちょっと難しいのでお茶を濁して終わりますが、自衛隊が空母を新に持つ問題とは違い、すでに攻撃機としての航空機を保有し、周辺諸国からも認識されていると思われるので「攻撃機」と呼ぶことにアレルギーを持つことは無いのでは?

8.ちょうど時間となりました〜
 とりあえず今回はここまでとしますが、そのうち第2回目をやりたいと思います。面白くない話や、中途半端な話が多いと思いますが、次回は面白い話にしたいと思いますので見捨てないでくださいね!

注意:急遽、自粛版にしました。ご迷惑をおかけしております。

戻る