■登場人物 上田満(51)、麻見順二(32) リー・ジョルジュン(34)、アントニオ・カルミレッリ(30) ●日本のクリスマス、夜のショッピング街。たくさんの人々が 街を歩いている。ショーウィンドウにはサンタの人形と クリスマスツリー。 ナレーター「クリスマス。宇宙戦争が終わり、10年ぶりに平和が 訪れた日本。街にも活気が戻ってきている」 サンタクロースの格好をした人がビラをまいている。 ナレーター「地球でのクリスマスと言えば、サンタクロースだが、 宇宙コロニーでのクリスマスのマスコットキャラクターは サンタクロースではない」 ●宇宙コロニーのクリスマスの風景。地下街のような商店街が ならぶ光景。楽しげに歩く人々。 ナレーター「宇宙コロニーの人々にとっては、西暦12月24日、 宇宙暦で12月23日にあたる日は、クリスマスイブというより、 地球からの独立を勝ちとるきっかけになったベリル港戦開始の 記念日として、親しまれている」 ショーウィンドウには緑のふくろうのぬいぐるみ。緑のふくろうを あしらった帽子をかぶる子供達。 ナレーター「その記念日のマスコットキャラクタが、緑のふくろう。 それは、ベリル戦での宇宙コロニー軍の勝利を決定づけることに なった、戦略コンピューターフォルグのトレードマークなのである」 タイトル表示「戦争を変えた、戦略コンピューター『フォルグ』の驚異」 ●テレビスタジオ、地味な机、その両端に上田と麻見が向かい合って すわっている。中央にテレビモニタ。 麻見「今回のあんあんTVドキュメンタリは、フォルグ、戦略コンピュータ の特集です。宇宙コロニー軍を勝利へ導いたというこのフォルグとは いったいどんなものか探っていきます。ということなんですが」 上田「実はですね、その宇宙コロニーからクリスマスプレゼント をもらったんですよ」 上田、電子手帳のようなフォルグを見せる。 外には、緑のふくろうのマーク。上田、それを指さして、 上田「ほら、ここに緑のふくろうのマークがありますね。これが 携帯型のフォルグ、戦略コンピュータなんです。 そもそも、フォルグというのは宇宙コロニーの言葉で、ふくろうを 意味するんだそうです」 麻見「よくそんなすごいものを手に入れましたね」 上田「いや、実はこれ、宇宙コロニーの子供向けに売られている模造品、 なんですが、そうはいうものの、非常に良くできていまして」 上田、フォルグのフタをあけて、電源を入れる。カラーの立体画像が現れる。 麻見「これは本格的ですね」 上田「この画面もきれいでしょ。これ、ちゃんと屋外でもはっきり 見えるんです。で、キーボードはわずか、8つ、これで文章とかも 打てるんだそうです。宇宙コロニーの言語は、電子化しやすいように 開発されたから、容易にできることなんだそうですが。 それから、音声認識もします」 上田、フォルグを口に向ける。 上田「ダシネ、エアカサホ、イマ、ハイト、デスカ」 フォルグのディスプレーが変化する。 麻見「ほぉ」 上田「宇宙コロニーの言語は、音声認識にも向いている んだそうです。単語認識率は平均99.999%だそうです」 麻見「99.999・・・となると、誤認識は10万語に一回ですか?」 上田「そうなんです。軍事用のだけでなく、このおもちゃでも、 その認識率なんだそうです。日本語とか、英語の場合、そこまで の認識率は出せないそうです。で、ここがカメラとセンサー、 これが通信アンテナ、で、これが、電源」 と言って、電源のフタを開ける。 麻見「え、乾電池ですか?」 上田「いえ、これはコロニー軍に特別に乾電池で動くように 作ってもらったんです。いつまでも、地球上で使えるように・・。 そもそも、電源は機密事項で教えられないようなんですが」 上田「で、この装置の計算能力なんですが、地球の一般的な デスクトックコンピュータの50倍ぐらいあるそうなんです」 麻見「軍事用のがですか?」 上田「そうじゃないんです。このおもちゃにその性能が あるんです。軍事用のはそれよりはるかに性能がいいでしょうね。 で、今回、このフォルグを設計した人達に、地球の放送局として 裸一貫、初めてインタビュー取材できたんです」 麻見「裸一貫ですか」 ●上田が大きな円筒状の扉の前で服をぬいでいる映像。 上田(声)「そうです。ここはシャトル発進基地なんですが、カメラ、 録音機材どころか、着てるものすべて持ち込んではダメといわれました。 取材映像も、全部、宇宙コロニーから機材を借りて撮影したんです」 麻見(声)「厳重ですね」 ●シャトル打ちあげの映像 上田(声)「そして、宇宙コロニーに向けて、シャトル発進」 ●シャトル内の映像、定員20名程度の客室。不安そうな 表情の上田。 上田(声)「もちろん、私は宇宙へ行くこと自体、初めての 体験なんですが、さらに宇宙遊泳にも挑戦したんです」 麻見(声)「ほぉ〜」 ●宇宙空間、地球が下に見える。 カメラを回転させると、大きな反射パネルのある宇宙コロニー 群が見える。その数2000ぐらい。ふわふわうかぶ宇宙服を着た 8人の男が見える。 ナレーター「宇宙から見た地球。その空間の海原を泳ぐ男達」 一人にクローズアップ。ぐるぐる回っている。 無線音声から、ひゅーという叫び声。 ナレーター「彼が、フォルグのハードウェアの生みの親、 アントニオ・カルミレッリ」 もう一人にクローズアップ、にこにこ笑っている。 ナレーター「そして、彼がフォルグの戦略ソフトウェアを 作った男、リー・ジョルジュンである。 われわれあんあんTV取材部は、地球人で初めて二人に インタビューすることができたのである」 ●テレビスタジオ内 麻見と上田と、宇宙遊泳の画面がモニターに 映し出されている。 麻見「恐くなかったですか」 上田「そりゃもう、恐かったですよ。一生で最も 恐い体験でした」 麻見「そもそも、どうして上田さんが宇宙遊泳を することになったんですか?」 上田「実は今回、取材に応じてくれたのは、ハードウェア つまりこのフォルグの装置自体を開発した・・」 スタジオ内モニタにカルミレッリの顔が映る。 カルミレッリ、上田にインタビューを受けている(音声なし)。 上田「アントニオ・カルミレッリさんだけだったんです。 で、彼にインタビューをしていたんですが、 その中でですね」 ●テレビスタジオ内の映像から、 スタジオ内モニタのカルミレッリの映像に切り替わる。 研究室内、カルミレッリが椅子に座っている。 背後に立体ディスプレー装置が、幾何学アニメーションを 表示している。 カルミレッリ「私はいつも何か考える時には宇宙へ 出るのです」 インタビューの上田「宇宙ですか?」 カルミレッリ「そう、宇宙遊泳をするのです」 ●テレビスタジオ 上田「それで、私も宇宙遊泳をしたいのだが、と思い切って 頼んだんです」 麻見「えっ、上田さん自身が頼んだんですか?」 上田「そしたら、彼、大喜びしましてね」 ●カルミレッリ、インタビュー画面 カルミレッリ「エレ、イスカ、アンドラフ、コナムンディカ!」 (吹き替え)「おーい、この地球人、外に出たいってよ」 上田(声)「フォルグのスタッフがどんどん集まってきましてね。 みんなで行くことになったんです」 麻見(声)「そうなんですか」 上田(声)「その中には、フォルグの戦略ソフトウェアを 開発したリー・ジョルジュンもいたんです」 ぞろぞろやってきた男の中、リー・ジョルジュが大きく 映ったところで静止画になる。 ●スタジオ内画面 上田と麻見とモニター画面 上田「実は、彼にもインタビューを申し込んで 何度も断られてたんですが、今回の件がきっかけで、 非常に運よく、彼のインタビューも取れたんです」 麻見「な・る・ほ・ど。ところで、先程の、カルミレッリ さんなんですけど、日本語を話してましたね」 上田「とてもうまい日本語でしょ。彼は元々はイタリア人 なんですが、日本のことが好きで、日本語を独学で 学んだそうなんです。そのこともあって、我々の日本の 放送局の取材に応じてくれたようなんですよ」 麻見「そうなんですか」 上田「で、その日本が好きな理由が・・」 上田、机の下から、ゲーム機を取り出す。 上田「このゲーム機なんです。彼は、子供の頃から日本の ゲーム機が大好きで、大学時代も、朝から晩まで 勉強もしないで、ゲームをやっていて、何度も留年。 そして、趣味が昂じて、とうとう、大学を中退し、 日本のゲーム会社に就職したんだそうです」 ●カルミレッリ、インタビュー画面 スタジオ内のものと同じゲーム機を抱えている。 カルミレッリ「そりゃもう、なんどもやった。コントローラ を何度も壊したよ。改造とかもやったなぁ」 カルミレッリ、DVD-ROMを見せて カルミレッリ「特に遊んだのは、このファイティング・ プロムナードだよ。ネットワーク経由で友人たちと 戦う戦闘ゲームなんだ。ところが、このコンセプトをさらに 面白くしたものを、宇宙コロニーの連中が作ったんだ」 ●ゲーム画面、男が戦っている ナレーション「それが、このスペース・フォーカス。 何人もの人間がネットワークで遊ぶ戦闘ゲームだ。 宇宙コロニーの研究員が、研究の息抜き用に作った ゲームである。ファイティング・プロムナードと 最も異なるのは、このゲームには人工の戦士が登場し」 ゲーム画面の、ロボット風の戦士、次々に人間キャラ を倒していく。 ナレーション「ゲーム参加者の性格とかを瞬時に 判断して、最適な戦いを挑んでくることだ。 地球のパソコン用にも、このゲームは移植された」 ●カルミレッリ、インタビュー画面 カルミレッリ「この人工の戦士をうち負かそうと、 何度も作戦を立てて遊んだね。いや、まったく やつは判断は鋭かった。ところが、地球のどんなに速い パソコンで使用しても、このゲームはスピードが 遅すぎるのが難点だった。 やっぱり、速度が遅いと、やつの作戦が正しくても 人間が勝つんだよ。 で、オレはこのゲームの本当の面白さを楽しみたくて、 自分でゲームマシンを設計したんだ。その時あった どのマシンよりも何倍も早いものをね」 ●スタジオ、麻見と上田、分解されたゲーム機が机に上に 載っている。分解されたゲーム機のクローズアップ。 CPUを指し示す上田。 上田「これが、カルミレッリがよく遊んでいた旧世代ゲーム機 の中身です。計算をするCPU、データを一時的にたくわえるRAMと いわれる記憶素子、この二つは非常に細い電線で結ばれているん ですが。ここのデータのやりとりが遅いことに彼は目を付けたんです」 ●カルミレッリ、インタビュー映像 カルミレッリ「それで考えたんだ。そもそも、はっきりと 二つの部品に分けてそれを電線で結ぶという構造が いけなんじゃないかって。もっと二つの機能をぼんやりと 結合できないかと」 ●電子素子ALSの映像 ナレーション「彼がこのコンセプトで考えたのが、 ALSシステムチップ。日本のゲーム会社で開発された。 そして、彼はこのすべての技術を持って、 宇宙コロニーへ亡命した」 ●ゲーム会社部長、高田のインタビュー映像 「ゲーム会社ナイダック部長 高田由樹夫」のテロップ 高田「ほんと彼はとても陽気で、優秀な社員でした。 そもそも、うちの会社は、ハードウェア開発は あまりやってなかったんですが、彼は貧相な開発環境で すごいものを作り上げたんです。そして、それが完成して 一ヶ月、彼は最高機密の資料とともにいなくなったんです。 ●カルミレッリ、インタビュー映像 カルミレッリ「ほんと、高田には悪いことをしたと思ってるよ。 でも、オレは、このALSをもっと良いものにしたかったんだ」 ●宇宙コロニー研究所の映像。 様々な機材が並んでいる。研究員はコンピューターを 操作している。 ナレーション「世界最高の技術、そして無重力下の 研究開発環境、さらにすぐれたソフトウェア技術の中で ALSはさらに性能を向上し、フォルグの中枢部、レピオンに 進化したのである」 ●スタジオ映像。ドーナツ模様のレピオンの巨大模型。 上田、模型のレピオンを指さしながら、 上田「これがレピオンを輪切りにしたイメージ模型です。 もちろん、本物はものすごく小さいんですけどね。 で、非常に簡単に説明しますと、 ここのドーナツのぼやっとした境界部がいわば、 地球のコンピューターで言えば、CPUと記憶素子の 境界なんです。で、ここが、この図の通り、レピオンでは ぼやっとつながっているんだそうです。 それによって、高速化でき、消費電力も大幅に下げることが できたそうなんです」 麻見「で、ここまでが、ハードウェアの話。続いて、 この高速なハードウェアの上で動くソフトウェアの 話なんですが」 ●ベリル戦資料映像 広大な砂漠。銃を撃ちあう軍人達、走る戦車。飛ぶ戦闘機。 ミサイル発射の映像。 ナレーション「熾烈を極めたベリル宇宙港戦。 この戦いで、宇宙コロニーは、事実上の独立を勝ち取った。 地球連邦軍は、約5000人もの死者が出たと言われている一方、 宇宙コロニー軍の死者は約200人。コロニー軍を圧倒的な勝利 に導いたのは、フォルグで動作する戦略ソフトウェア、シュメリア である」 ●スタジオ。ゴーグル状のヘッドマウントディスプレーを 取りつけて立っている上田。 麻見「上田さん、それはなんですか」 上田「これは、フォルグのディスプレーなんです。 半透明になってまして」 ヘッドマウントディスプレーの映像。 数字やら、目盛、矢印などが、麻見の姿にオーバーラップ して表示されている。 上田(声)「これも、実は子供用のおもちゃなんです。 これが無線でフォルグ本体とつながっていて、フォルグからの 戦闘指示がこのディスプレーに表示されるのです」 麻見「(手を軽く上げて)私を攻撃しないでくださいよ」 上田(声)「ははは」 通常のスタジオ映像に戻る。 上田ゴーグルを取り外す。 上田「これはおもちゃなんですが、私は本物を使う機会を 与えられたんです」 ●宇宙空間の映像 飛び回る男たち、上田、ふらふら動いている。 麻見(声)「これは、さっきの宇宙遊泳の映像ですね」 上田(声)「そうです。実はですね。これ、鬼ごっこみたいな ゲームをしてるんです。鬼ごっこというよりは缶蹴りと 言ったほうがいいかもしれませんね」 麻見(声)「缶蹴り?」 上田(声)「そうなんです。鬼になった人が、この中央の光る カプセルを守りながら、みんなを追っかけてつかまえるんです」 上田、他の男たちを追う。そして一人をつかまえる。 麻見(声)「あ、つかまえましたね」 上田(声)「実は、これフォルグのシュメリアの指示に従って動いてるんですよ。 私だけがシュメリアを使ったんです。で、その結果、 50代の私がなんと、一番成績が良かったんです。他の人は 全員20代〜30代の若者だったのにですよ」 麻見(声)「すごいですね」 捕まって笑っている男のアップ。 上田(声)「で、そのシュメリアを作ったのが、 この今捕まったリー・ジョルジュンさんなんです」 ●コロニー研究所内 リ・ジョルジュンのインタビュー映像 リー(声は吹替)「シュメリアは、周辺の状況を観て、最適な判断を 指示するんです」 ●スタジオの映像 上田「結局ですね。銃を持って走り回る兵士、戦車や飛行機を操縦する兵士達は、 シュメリアの指示に従って動いていれば、最も死なないで済むんです。 瞬間、瞬間の判断は各自が持っているこの携帯フォルグが判断しましてね」 上田、携帯フォルグのおもちゃを軽く上に掲げる。 上田「さらに、兵士、戦車、戦闘機など、それぞれの動きは、 ネットワークで大型フォルグのシュメリアに伝えられて、 部隊全体が、どう動けばいいかを指示するんですよ」 麻見「全部、コンピューターで指示するんですね」 上田「そうなんです。それが最適だというんですよ] ●リ・ジョルジュのインタビュー映像 リー(吹替)「すべての人間の動きを数式化して、それを常微分方程式 として解くというのが基本的な仕組みです。 人間の個性というのも瞬時に見抜きます。強気、弱気、無謀、すべて 動きだけで見抜き、その後の動きを予想します」 ●スタジオの映像 麻見「ちょっと待ってください。先程のスペース・フォーカスという ゲームに、性格を見抜く人工の戦士というのがいましたね。 もしかして・・」 上田「そうなんです。あのゲームの作者がリーさんなんですよ」 麻見「そうなると、リーにとってベリル戦はゲーム感覚 だったんでしょうか」 上田「私もそのことをリーに聞きましたらね」 ●リー・ジョルジュのインタビュー映像 リー(吹替)「確かにゲームのアイディアを応用したけど、人の命 をゲーム感覚でもてあそんだつもりはないよ」 リー(吹替)「(しばらく沈黙して)でも、寂しかったね」 ●スタジオ 麻見「淋しい?どういう意味ですか」 上田「聞いてみたんですけど、それ以上何も話してくれなかった んです」 麻見「やっぱり、大量の人間を自分の技術で殺した悲しさ なんでしょうか」 上田「う〜ん、どうでしょうね。実は、彼がどんな気持ちなのかを 暗示するようなことをカルミレッリに聞いたんですよ」 ●明るいラウンジ。カルミレッリと上田がソファーに座っている。 テーブルには酒と料理が置いてある。 カルミレッリ「宇宙遊泳は面白かったかい」 上田「いや、もう恐くてそれどころじゃありませんでした」 カルミレッリ「ははは、自分でやりたいと言ったのにいくじなしだな。 ところで、あのゲームの本当の遊び方を知ってるかい」 上田「いや、わかりません」 カルミレッリ「あのゲームは全員がフォルグを持って遊ぶんだ。 そして、各自がフォルグに自分で考えたプログラムを入れて、 その指示に従って戦うんだよ。オレは未だにリーにはめったに 勝てないんだ。ははは」 カルミレッリ、グラスの酒を飲み干す。 カルミレッリ「それともう一つ、このゲームの本当の醍醐味は フォルグの判断に逆らって、フォルグよりもいい判断ができるか ということなんだ」 上田「逆らうんですか」 カルミレッリ「ああ、人間のカンとフォルグとの勝負ってことだな」 上田「勝ったことはあるんですか」 カルミレッリ「もちろん、偶然勝つことはある。でも、今のところ 誰のカンもフォルグの勝率を越えられないんだよ」 ●テレビスタジオ 上田「どう思いますか。私が思うに、リーさんが思う寂しさという のは2つあると思うんですよ」 麻見「2つですか」 上田「一つは、自分の戦闘アルゴリズムを上回るものを作る人が 誰もいない寂しさ。そしてもう一つは、人間が機械を越えられない という寂しさ」 麻見「機械を越えられないですか・・確かに寂しいですね」 上田「実はですね。我々がもらったクリスマスプレゼントの フォルグ。くれたのはリーさんなんです。あの陽気なカルミレッリ さんはむしろ消極的だったんですよ」 麻見「そうすると、このプレゼントは、もしかして、 我々地球人に対しての、リーさんからの挑戦状なんでしょうか」 上田「そうなのかもしれませんね」 ●宇宙空間で宇宙遊泳する男たち ナレーション「宇宙コロニーの研究員らは、今日も 宇宙空間でのゲームを楽しんでいる。平和を享受する 研究員達。しかし、彼らは本当は、我々地球人が再度の 知的な戦いを挑んでくるのを待っているのかもしれない」 -完-