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バラツキの対処法
品質を最大限引き出す数学


<目的>

 バラツキがあっても精度の良い数学を実現する

 数値演算を使った既存方法は近似ばかりで誤差が大きい、厳密に処理するために数の定義を拡張した数学を導入


<既存方法のみっつの誤差を解消する>

 @分布を仮定しない、ありのままの分布を活用する

 A複数バラツキ要因を含むデータは、個々のバラツキの範囲(情報)をカバーできない。その原因を解消する

 B数値の比較では微妙な判断できない、分布による指標で確率的に判断する


<対策>

 以下の方法によって数値やベクトルを分布に拡張した

 @A個別のバラツキ要因を正とする分布を定義(頻度分布ベース、範囲がある、データ数に応じて離散的)

 AB分布を対象とする演算や関係指標を定義(四則演算、積分、比較、接近、均衡等)



 ばらつきを扱う場合、従来から良く使われている標準偏差の場合、バラツキが正規分布であると仮定しているので、実際の分布との違いが誤差になります。バラツキの対処法では、頻度分布に沿った確率分布や、頻度分布そのままを確率分布として利用します。その分布を、演算の全てのステップで数値と同じ様に演算対象として扱い、結果として元データの確率情報を反映させた厳密な形状の分布を生成して、分布によって判断を行います。従来の設計や解析では、平均やノミナル値を対象のパラメータとして、バラツキはその値にプラスマイナスするものとして処理しますが、バラツキの対処法では、数値ではなく分布が様々な演算子の対象パラメータとして扱います。つまり、数の定義を分布に拡張して、その分布を対象とする演算子(四則演算や積分、比較、接近、均衡など)を定義しており、ツールでは1〜3次元までの分布を処理する関数を用意しています。全ての分布は、データ数に応じて離散的で、最小値から最大値までの範囲を持ち、そのような配列でも精度が確保できる演算子を定義しています。

fig1

 @バラツキの対処法では、図2ー1の様に、データの最大値と最小値の間を微小に分割して、その頻度分布に沿った分布をパラメータとして演算対象とします。分布はインスタンスとして、パラメータの値と、それに対応する分布の値を配列として持ちます。パラメータと分布の値は、2次元以上ではpython/numpyのmeshgridとして値を持ちます。(図2−2)このように、正規分布など分布を仮定しない、ありのままの分布を活用します。
fig2

 A複数バラツキ要因を含むデータは、個々のバラツキの範囲をカバーできないことが多い。図3−1の様に寸法がAとBのふたつの構成部品を持つ製品の寸法A+Bのバラツキを考えてみよう。図3−2に、寸法AとBで構成するAB空間を示す。AとBは図の様に範囲をm0個に分割して、±2σの範囲の正規分布に従ってデータが枠に配置されたとして、相互に独立だったとして、データの組合せを配置してみる。AB空間の枠mp個を三角形の辺とするオレンジ領域にデータが存在しない確率は、オレンジ領域以外のAB空間にデータが配置される組合せ数を、AB空間全体にデータが配置(AB空間はピラミッド形状の立体枠)される組合せ数で割った値になる。図3−3は、データ数を横軸として、50%の確率でデータが存在しないオレンジ領域の大きさをプロットしたものだ。青破線はm0個に分割した微小枠の大きさで、オレンジ線が50%の確率でデータが存在しない領域の大きさを示す。
 図から、データ数を10000個まで増やしても分布の両端にあわせて数%の領域に50%の確率でデータが存在しない。更に増やすと、この領域は少しずつ小さくなるが、データ枠に対する大きさの比は拡大していく。つまり、この分布から確率値を求めると、両端がバラツキ範囲をカバーできないので、どうしても誤差が残る。これは、モンテカルロ法で分布を求めた場合や、複数バラツキ要因を含むデータから分布を求めた場合、例えば生産工程の全数データや市場から収集したビックデータなどを含み、よほど大規模なデータであったとしてもバラツキ範囲が保証されないことを示す。
 バラツキの対処法では、このような誤差を解消するために、個別の要因毎に分布を生成して、その分布の範囲から演算後の分布の範囲を求めて、その分布範囲を微小分割したパラメータ毎に演算後の分布の値を求めていく。この方法によって、最も少数データで、分布の形状を保証でき、演算毎に正確な分布を得ることができる唯一の方法だと考える。
fig3

 Bバラツキを持つパラメータの場合、数値の比較だけでは正確な判断ができない。例えば、実力が目標を上回っているかどうかは、そのバラツキの範囲内の微妙な差あった場合に上下逆転している可能性がある。従って、実力を示すパラメータの分布と目標を示すパラメータの分布を、分布による判断指標で確率的に判断する必要がある。
 図4−1は分布の比較を行った例で、平均129の分布が平均305の分布を上回る確率が2.4%であることを示している。左の確率分布と右の累積分布を並べて、分布の値の積の分布を求めると、その面積が左の分布が右の分布を上回る確率を得ることができる。この分布の比較は、非常に応用範囲が広く、様々な設計に利用できる。例えば、アクチュエータや部材にかかる生涯負荷の分布が、強度分布を上回る確率を求めると、それは故障率になる。通信などのトラフィック分布がキャパシティ分布を上回る確率は通信遅延が発生する確率になる。様々なシステムの性能分布が前提能力分布を上回る確率は、性能達成率となる。ツールでは、これの3次元までの比較が可能で、複雑な状況での判断を可能にする。
 図4−2はふたつの分布が所定距離以内に接近する確率を求める。例えば、移動物の確率分布シミュレーションを行い、ふたつの移動物が衝突する確率や回避できる確率を求めることができる。分布演算では、先ほど説明したモンテカルロシミュレーションの誤差を解消した分布によるシミュレーションが可能で、その結果の分布から正確な衝突確率演算が可能である。
 図4−3はふたつの分布の均衡点や、任意のポイントの影響割合を求める。図は経済活動の需要と供給のバランス点を求めたものだ。左の分布は所得分布や購買意欲などを表現した分布から求めた価格に対する需要分布。右の分布はコスト・設備投資や供給意欲などを表現した分布から求めた売値に対する供給分布。左の分布をマイナス方向に累積した分布と、右の分布をプラス方向に累積した分布を併記して、その交点の横軸は均衡価格、高さは売上額を示す。この売上から利益、経費、償却を分布として計算して実データをつき合わせることで事業の成立性や経済の発展性が精度よく予測できると考える。
fig4

 図5はバラツキの対処法の演算ステップの流れを示す。@で、個別バラツキ要因毎の様々な測定値や統計値の分布を生成して、Aでそれらの分布から分布演算で性能や信頼性を示すパラメータの分布を求め、Bの判断指標で、分布による判断を行う。これによって初めて厳密な判断が可能になり、性能や信頼性を向上させることができる。
fig5




Toyota Technical Review 2018/5 Vol64.p95
- 市場走行データを活用した設計方法,
- アクチュエータの走行距離あたりの作動頻度分布と生涯走行距離分布の積から生涯作動回数のストレスストレングス分布を作成して、耐久条件を求める.
- レーダクルーズのリスク状態判定頻度分布と日当たり走行分布とお客様の入庫日数分布から、入庫時に記録が上書きされないメモリーと制御記録要件を設計する.

20年自動車学会学術公演会
- ビックデータを活用した制御リスク設計
- レーダー認識位置分布と車線変更制御完了時間から安全な車線変更制御設計を行う.

情報処理学会第83回全国大会セッション1B-03
- 確率分布ベクトル解析について
- モンテカルロシミュレーションと分布演算、それぞれを使って放物線運動を行う飛距離の分布を求めて比較、正確な分布を求めるために分布演算が必要であることを示す.

日本機械学会 第37回 計算力学講演会
- バラツキの対処法の概要と、いくつかのシミュレーションに応用した例について説明した。
数値演算の限界と分布演算の適切な使い方(情報処理学会第83回全国大会プレゼン内容)
- 複数のバラツキ要因を含むデータは、データ数をいくら増やしても個々のバラツキ要因のバラツキ範囲をカバーできないことを説明。
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バラツキの対処法〜品質を最大限に引き出す数学(技術評論社)
- バラツキの対処法の理論について詳細に説明した。
- バラツキの対処法を使った設計例について、演算方法の詳細を説明した。


ツールは、学習や研究目的で利用する限りフリーですが、類似品の配布や商用利用する場合は、下記メールに連絡を頂き、特許などのライセンス契約の締結をお願いします。

分布演算ツール(GUIツール)のありか
- バラツキの対処法の演算を使うことができる、windowsで機能するGUIツール。
- プルダウンメニューで様々な演算の実行が可能であるが、シミュレーションを行う機能は限られている。

分布演算ツール(scriptを実行する)のありか
- バラツキの対処法の演算を使うことができる、windowsで機能するscript用のツール。
- ユーザーが記述したscriptを指定することでバラツキの対処法の演算を行う。
- シミュレーションを実行することが可能だが、バラツキの対処法の全ての演算が可能ではない。

分布演算ツール(pythonライブラリ)のありか
- バラツキの対処法の演算を使うことができる、pythonライブラリとして機能するが、windowsでpythonバージョンが一致する必要がある。
- 指定するバージョンのpythonがインストールされていることが必要で、バラツキの対処法の全ての機能を扱うことができる。


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