世界一周へ出発

愛知県蒲郡市「名鉄西浦マリーナ」を出港



1990年6月4日、いよいよ出発の朝である。
前日の壮行会で飲み過ぎ、二日酔いで最悪の体調であった。
多くのヨット乗り、またヨットに全く関係の無い友人まで駆けつけてくれた壮行会であるから、泥酔で最悪の体調になることが分かっていても最後まで頑張ったのだ。

出国手続のため、入管と税関の職員が船まで来てくれた。
パスポートに判を押してくれ、これで出航できる。
月曜日だというのに想像以上に多くの人々の見送りを受けた。
たくさんの方から花束を貰う。
女房からも結婚以来初めて花束を貰った。
「元気で身体に気をつけてね」と言われた時には、我が女房の優しさを再発見した思いであった。
漁協の人も、3〜40cmもある大きな鯛を持ってきてくれた。ありがたいことである。

午前10時30分、西浦マリーナを出港。
天気快晴、4〜5mの風、波静か。
仲間のヨット12艇が伊良湖水道・神島沖まで伴走してくれた。
どのヨットも私の船を追い越したりはしない。
今まで、レースに出てもトップを走ったことがない私が12艇のヨットを従えての行進である。
トップを走るマラソンランナーのごとし。体調は悪くても最高の気分であった。

鯛を持ってきてくれた漁師さんも、大漁旗をなびかせた漁船で見送ってくれた。
狭い三河湾の中で漁をする漁師さんにとって、日ごろ我々ヨットは煩わしい存在であったろうに、海を愛する者としての共感を得られたことは嬉しいかぎりであった。

九州、北海道などの無線仲間も私の門出を無線で祝ってくれた。
以後、この無線仲間たちが気象状況を伝えてくれたり、一人で困った時の私を助けてくれると言う。
ただただ感謝あるのみ。           日本&皆さん、さようなら〜!




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