ジャマイカ・モンテゴベイ



ジャマイカは、キューバの南、紺碧のカリブ海に囲まれた常夏の島である。
冬の無い暮らしやすい気候のためか、そこに住む人々は大変おおらかであった。
挨拶は「Yeah,man」、「No problem」の連発。
何か言うと、すぐに「Yeah,man」、「No problem」と返ってくる。

ジャマイカでは「モンテゴベイ・ヨットクラブ」に船を置いた。
船の予備燃料タンクの修理を依頼した時のことである。
交渉を重ね、出来上がり幾らと契約がまとまり、次の日から仕事が始まることになった。

「マニャーナ(では、明日から来るよ)」
「明日、何時から始めますか?」
「マニャーナ、マニャーナ(明日、明日)」




修理の様子&遊びに来た修理屋さんたち


翌日の朝10時頃になると、彼らは道具箱を担いでやって来た。
「頼んだところをちゃんとやってるかな?」と思い、現場へ監督に行くと、船はほったらかしで外で何やらゴソゴソやっている。

「なかなか始まらないね、今、何をやってるの?」
「工具の調子が悪いので、直しているところだ。」

とまあ、こんな調子であった。
その工具を直し終わると昼になり、

「じゃあ、これから食事と昼寝の時間だから、ちょっと休憩。」

実際に修理が始まったのは3時過ぎのことであった。
午前中に直した道具を持ってくると、

「ありゃ、これはどうもサイズが違う。」とか言って、「マニャーナ、マニャーナ(明日、明日)」

どうやら我々の常識からは、かなり隔たった時間感覚のようである。
仕事をやる気が無いのか、良い加減というのか、もう阿呆らしくなってきた。
後で聞いたところによると、この辺りの人はほとんどが、こういう感覚だとのこと。

彼らにしてみれば、仕事の契約をしてしまった以上、あくせくと仕事をする必要はない。
自分たちのペースで仕事をして、完成した暁には約束した報酬はもらえるのである。
彼らは港まで自転車で3時間もかかってやって来る。
しかし、これは彼らにとっては苦痛でも何でもないらしい。
自動車を欲しがっているわけでもない。
生活費以外の出費、子供を学習塾に通わせる費用、芝居を見に行く費用などは必要としていないのである。
つまり、お金の要求度が我々とは全く異なるのである。

私もだんだん慣らされてきて「それほど慌てることないや、いつかは完成するのだから。」とのんびり構えるようになってしまった。
こうした生活も悪くない。


そんな彼らでも「ヨットで遊びに行かないか?」と言うと、ちゃんと時間通りにやって来るのである。
どうやら、ジャマイカでは「仕事の時間」と「遊びの時間」は別々に流れているようであった。

ある日ビーチで「日本語が聞こえる」と女房。ニューヨークの銀行に勤める、休暇旅行中のAさん5人ご家族。
私は、修理等で余り遊べなかったが、Aさんご一家のお蔭で、女房はあちこち観光見物が楽しめた様です。
ニューヨークへ戻られる日、余った日本食を全部頂きヨットへ積み込みました。嬉しかった〜有難う!!


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