地球規模の「川柳らしきもの」


「夜荒れる、飛び魚喰える明日の朝」


荒天の夜が明けると、トビウオ・イカ・小魚などがデッキやコックピットで拾えることが多い。
嵐の後の楽しみである。

「このバケツ、炊事洗濯トイレまで」
危険でワッチが中断できない時や、荒天の時はコックピットでバケツの中に雲古をしていた。
このバケツは炊事洗濯にも使うものだったのだが、背に腹は代えられぬ。

「イテテ馬鹿、ウィンチの上の尾てい骨」
二日酔いの時に、よくやった。(笑)

「逆潮(さかしお)で、ぬか喜びの2割増し」
逆潮の場合、いくら景気良くスピードメーター・ログメーターなどの数字が出ても、対地速度は大したことがなく、
実際にはあまり走っていなかった。う〜む、残念。

「助かるヨ、遭難するなら本線航路」
シンガポール北西のマラッカ海峡、スエズ運河南のグバル海峡は非常に狭く、本船だらけ。
2〜3晩の徹夜はザラだった。
しかし、これだけ本船が多いところなら、万一落水しても拾ってもらえるだろう。

「遅いはず、修理のための工具修理」
時間もいいかげん、仕事もいいかげん。「じゃあ、まぁいいか!」ジャマイカにて。お粗末。

「アッと驚くジャマイカ時間、遊びの時だけ時計あり」
ジャマイカでは「仕事の時間」はルーズでも、「遊びの時間」はキッチリ遊ぶのであった。

「ゴウグワァ、クジラ潮吹き嬉し怖し」


睡眠中、大きな唸り声に飛び起こされる。外に出てみると2〜30メートルの距離にクジラがいた。
その姿に大感激!!。
しかし、すぐ後に「もし、ぶつかっていたら」の恐怖感がジワジワ。

「親切に、嬉し嬉しが伝えられぬ」
「子供の頃の日本あり、もの有りすぎて心どこかに」
多くの発展途上国で共通して感じたことだが、貧乏だけれど親切で思いやりの心を持った人がたくさんいる。
親切にしてもらった時、英語が駄目で現地語だけしか喋れない相手に「サンキュウ!」だけでは、
もどかしくてしょうがなかった。(でも英語なんて喋れなくても、実際の日常生活になんら不自由なし。あなたは?)

「向かい風、鯉は偉いな滝登る」
我が愛艇「ボヘミアン2」は上り角悪し。60度ぐらい?

「○○国、プライド有るが金は無し」
「面子」や「見栄」にこだわるのは日本人だけじゃない。同じ人間だね。

「食べて寝る、週に一度のタッキング」
太平洋、大西洋、インド洋では当たり前。身体は鈍るし気も鈍る。(レースは別)

「ハテ不思議、赤い太陽なぜ緑」
カリブ海で「グリーンフラッシュ」を見た時の感動、今でも目に焼きついている。
(グリーンフラッシュとは、日没時、太陽が水平線から消える一瞬に緑色に輝いて見えるという現象。
よほど条件が良くないと、見ることができないとか。)

「サーフィング(追い波に乗って滑る)、家ごと(ヨット)出来る面白さ」
「ローリング(横揺れ)、コースと速さ引き替えに」
「速い楽、真上りいやね好き追って」
3句ともランニング(追っ手で風が吹く)時のもの。
少々ローリングしても、よほどランニングが好きだったのだろう。

「僕の名は、東西南、風呂が無い」
日本からハワイまでの1ヶ月半、最初の長距離航海でもあるし、万一の時の参考にしようと考え、
目いっぱい水を節約し、シャワーは2〜3回しか使わなかった。だから汚い=北無い。

「三日時化(シケ)、残しておいてヨ、凪用に」
「ベタ凪と、足して割りたい暴風雨」
「ベタ凪」、「荒天」、両方とも嫌。何ごとも「ホドホド」が一番。

「ステンレス、強い神話も風の勝ち」
時化の時、丈夫と言われるステンレス製のシャックルが壊れた。風の力は偉大すぎる。

「腹立つと、飛んで出てくる日本語」
日本人だねぇ。(笑)
でも、長距離航海をやってると、寝言を英語で喋り出す御方がおいでだとか。

「海雪隠(海のトイレ)、頭は夏で尻は春」
船尾のプレーニングボードより、お尻を出して「カレー爆弾」投下!!
見る見る後ろへ遠ざかる雲古。これが本当の天然ウォシュレット。
綺麗に澄んだ水、4〜5ノットの水流でサッと流してくれ衛生的。紙も要らないので省資源。
お尻がとっても気持ちが良い。360度の青空の下の「海糞」。
癖になりそう、あ〜スッキリ。(笑)

「ああ綺麗、星降る夜に夜光虫。これが飲まずにいらりょうか。」
袋に入れて持って帰りたいほどの美しさ。夜光虫=海蛍と書きたいな。

「潮かぶれ、どっちか分からぬ皮膚病か?」
長距離航海をしていると、お尻とか足の皮がボロボロ剥けてくる。

「すごいなぁ、いついつまでもいつまでも。風あるかぎりどこまでも、たかが布切れ2枚だけ。
俺は駄目だ、寝て喰うだけ。」
自然は偉大だ。たった一人の人間の力の何と微力なことか。嫌と云うほど思い知らされる。

「ブスおいで、今なら誰でも皆美人」
たった一人で太平洋横断中にて。
女性の皆様、特殊な環境下のゆえ、御勘弁のほどお願いいたします。

「あの世から、船底たたく閻魔様。こっちへおいでと青田刈り。
まだ卒業してない、死んでない。」
企業採用じゃないけど、地獄も買い手市場か?

「ファクシミリ、使いたいとき紙が無い。下痢のトイレと同じだな」
この場合のファクシミリとは「気象FAX」のこと。
イライラ最高!!ボーイスカウトは偉い。「備えよ常に」

「イテ、イテテ、ハーネス・靴は基本だろ」
横着をして靴を履かずにバウ作業にいったところ、波のパンチングを受け、クリートで足をケガ。
教訓:「慣れた頃が怖いよ、面倒くさがるのが事故の元」

「リーフしに這いつくばって猿回し」
「試練か罰か、早めのリーフ、遅めの解除」なぁ〜んちゃってね。
ライフハーネスって動きづらくて好きじゃない。第一、格好が良くない。
まぁ、命と天秤にかけて、よぉ〜く考えましょう。
100%の答えを付けた人には拍手!!

「フィリ○〜ン、妻を思いてゴム袋」
南のある国へ入港前日に作る。
女房には「治安の悪い国だから来るな!」と無線で伝えておいた。知能犯でしょ?!

「ちょっと待て、精子は直ぐに 止まらない」
        例の袋は紳士の身だしなみ?!

「牡蠣喰っても、鐘は鳴らない、海の上」
        松尾芭蕉が怒って化けて出るか?


「無駄なこと、時間を使う果報者」
生産的なこと、頑張ってやることを成し遂げたら、今度は逆に「無意味で怠惰な生き方」を楽しんでみよう。
長いようで短い人生だものね。
お仕事、頑張ってみえる大勢の皆さん、怒らないでください。
私の個人的考えであって、「こうあるべきだ」と言っているわけではありません。

「除夜の鐘、妹も良かった 初夜の姉」
    これはフシダラを連想させると、複数の女性の友人からは評判が悪い。

行く先は 何処へ行くにも 出発地

呑んで良し ワッチ終わって 寝る前に

ハーネスは 家族の願い 命綱


ライジャケは 無事な帰港の 保障品 

夜間には キャビン以外は ハーネスを



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