小説(単発もの)


「ないしょのプリンセス」
宮沢ぷりん (原作: 水沢めぐみ)

『りぼん』で連載されていた水沢めぐみの「ないしょのプリンセス」のノベライズ。 小説版独自の設定や、 一歩踏み込んだ描写があり、 コミックとの違い、 宮沢流の解釈を楽しむことができる。 出だしは読んでてもイマイチつまらんって書き方なのだが、 読んでるうちにだんだんよくなってくる。

奏 (鈴木奏[すずき・かな] 本編のヒロイン) の独白部分に若干違和感があるものの、 原作の雰囲気はよく保存されている。 航生 (柴田航生[しばた・こうき] 奏の思い人) の心理描写の大部分は、 原作に(は直截的な表現は)なく、独自に追加されたものである。 この辺は賛否の分かれるところだろう。

遥 (安東遥[あんどう・はるか] 奏が恋のライバルだと思い込んでいる女王様タイプ (だと回りからは見られているが実は...な) 女の子) がバスケット部のマネージャーになった経緯は、 原作(といっても番外編として描かれた部分であるが)通りの方がよかった。 それを除けば、 遥に関する描写はまずまず。 特に、 最後の投票箱の話(これも小説独自の話)はなかなかよい。

今回の話は原作の前半部分 (学園祭のベストカップルに選ばれるところまで) のノベライズなので、 この後のごたごたとその解決というクライマックスが楽しめないのが残念。 小説版はこれで完結のようである。
(1996年9月11日、記す)

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Last Modified: Wednesday, 29-Aug-2007 03:11:04 JST