お気に入りの、もの{書き/描き}の方々




士朗正宗

 膨大な知識に裏付けられた濃い内容、非常に密度の高い情報量を 持つ絵及び文章、加えてとても美しいメカと肉体(この2つの 本質は同じものかも)を描く人である。
 年に1冊作品がでればいい方である、と言えるほどの作品 出版頻度が残念だが、その分内容の充実した作品が読めるので これは仕方がないか、と諦めている。
 とりあえず、私がこの人の様々な作品から考え方に色々と影響 受けていることは確かである。

 高校生のときに、この人の作品 『アップルシード』 との衝撃の出会いをし、何度と無く繰り返し読むことしきり。 この作品には人生の指針において多大な影響を受け、受験する 大学及び学科が決定付けられたりもした。
 が、しかし、現在の技術では100年経っても到達出来そうに ないほど目標は遥か彼方であることに気付き 大学の途中で一度針路変更を行って現在に至る(苦笑)。
 非常にまじめに描写された人体を描く人で、私が唯一 ファンであると言え、また尊敬できる漫画家である。

 ちなみに、今でも座右の銘としている 「原理は単純を、構造は複雑を極め、人は最も人らしく」 という言葉はこの人の作品から持って来ているものである。




笹本祐一

 テンポの良いストーリー展開、なかなかに素晴らしいメカニック 描写、空を飛ぶことへの思い入れ、宇宙への憧れ、等々の私の好み の要素がぎっしり詰まっており、わくわくしながら読める小説を 書く人である。
 最近は先の読めない展開、というこれまた素晴らしい要素も 加わり、ますますお気に入りの作家となる。

 高校生のときに読んだ小説 『妖精作戦』 シリーズが最初の出会い。以来 『ARIEL』 シリーズ等を端から読んでいる。




神林長平

 ハードSFな内容とコメディなお笑い路線を合わせて違和感無く 1つの小説に仕立て上げることのできるという凄い人である。 もちろん前者のみの作品もある、後者のみの作品は…(たぶん) 無し。
 人間の意識する現実,時間,等がテーマのメタな話が多く、 この手の話の大好きな私としては、この人の作品を読むことが 毎回毎回楽しみであり幸せでもある。

 高校生のときに読んだ小説 『戦闘妖精・雪風』 が最初の出会い。以来この作品には色々と影響を受け、忘れる事の できない1冊となる。
 この『雪風』の新シリーズ『ショック・ウェーヴ』が1992年の SFマガジンに連載されたが、それ以降の連載の有無と単行本化の 予定はよく知らない、どうなったのであろうか。




半村良

 お気に入りの作家というほど作品を読んでいるわけではないの だが、とりあえず高校生のときに読んだ(こんなの読むな) 『妖星伝』 の強烈なインパクトが印象に残っている。最近になって何年か振り にこの作品は 完結したはずであるが、なかなか読む機会が無く未だ未読書籍の 山の中である。
 現在の私の中にそこはかとなく流れるペシミスティックな 考え方はこの作品から来るものがあるのではないか、 とも思われる。




新井素子

 なにはともあれいろんな意味で女性らしい話を書く人、という のがこの人の印象である。
 全体になんとも言えない優しさの漂う作品も あれば、血がぼたぼた流れるような作品での「これは…!、男には 書けんであろう」という生々しい描写もあったりする。 どちらもこの人の持ち味であろうし、気に入っているのも事実。

 最初に読んだこの人の作品は…、人から借りて読んだので おぼえていない。 が、一番好きな作品は、短編 『グリーン・レクイエム』 の続編 『緑幻想』 である。非常に優しく悲しいストーリーであり、不覚にも涙を 流してしまった作品である。




菅浩江

 今、一番気になる女性SF作家である。

 大学にいたときに朝日新聞の書評欄につられて読んだ 『<柊の僧兵>記』 が最初の出会い。
 一番面白かった(と思う) 『センチメンタル・センシティヴ』 シリーズが長い間ほったらかしになっているのが気になるとこ ではあるのだが…。




流星香

 読んでいてとても気持ちのいい文章を書く人である。
 具体的に何が他の人と違うのかと聞かれると返事に困って しまうが、この人の作品はさらさらと流れるように読むこと ができるので好きである。

 新潮社のファンタジーノベルシリーズで読んだ 『魔剣伝 暁ノ段』 が最初の出会い。それまで、敬遠がちだった時代物小説 にも関らず、とても面白かったので一気に読んでしまい、 以来お気に入りの作家となった。
 ちなみに新潮社のこのシリーズはファンタジーノベル大賞で 大賞に選ばれなかった作品を並べたものだと思うのだが、 非常に面白い作品が多かったにも関らずあっという間に消え 去ってしまい非常に残念である。
 この人も、女性にしか書けないであろうスプラッタな描写が うまく、それが非常に印象に残っている。




小野不由美

 読んでいるとその作品の世界の情景が目に浮かぶような文章を 書く人である。また、韻を踏んだ流れるような文章も独特のテンポ があって好きである。

 新潮社のファンタジーノベルシリーズで読んだ 『魔性の子』 が最初の出会い。この話は今も続いている『十二国記』 (いつのまにかついた名前)シリーズの番外編とも言うべき 話である。
 このシリーズは東洋的香りのする異世界が舞台の話であるが、 非常に綿密に作り上げられた作品世界の描写によって、 まるで実在する国が 舞台の話であるかのような錯覚をおぼえるほどである。
 また、まるで水墨画で描かれたような世界の風景が奇妙な 懐かしさと共に目に浮かぶ小説で、現在一番気に入って いるシリーズである。




谷甲州

 とてもよく考えられた小説を書く人という印象である。

 コンピュータネットワークについて書かれた 『ヴァレリア・ファイル2122年』 が最初の出会い。当時はこんなネットワークなんて半分夢物語 だろう、って思ったのだが、なんだか現実のものとなりつつ あるような気がする。
 初版は1987年であるからこんな時代にこんな話を書いていたという のは凄い事では無いか、と最近思ったりもする。暇があったら もう一度読み直してみたいと思っている小説である。

 もう一つのお気に入りな 『航空宇宙軍史』 シリーズは、 巻頭に舞台の地図・惑星の運行図等が書いてあったりして、とても 緻密に組み立てられている話が多く、読んでいて非常に楽しめる ものである。
 宇宙空間での戦闘についてとても理論的に描写してあり、 まずパソコン上でシミュレートしてから小説を書いている、とい うのも納得できる話である。