7月20日(更に「義」を超えて)

彼は 「義」のために 若きいのちを捨てた いや捨てきった しかし現実には 肉体は保持していた いや保持する命運がめぐっていたのだった 彼が 自分の いのちを捨てきった時 彼は此世で 幸せとか 競争とか 地位とか 名誉とか 裕福とか そのような現世的なものは 自然のうちに 捨てきっていたのだった 彼は さわやかであった 此世に 未練がましいものなど ある筈もなかった 

世の中が変わった 肉体の いのちを捨てて 「義」のために などという世の中ではなくなった そのような 打って変わった 世の中の現実に 彼は生きていくのであった  その現実世界は 幸せとか 競争とか 地位とか 名誉とか 裕福とかの世界である 

彼は とうの昔に その現実世界を 超えているのだった そこに更に「義」ではなく 「それを超えた義」を生きている だから 彼は さわやかである 何のわだかまりもない 

大空を 仰ぎてみれば ひろびろと
           ただ青々と さへわたりをり