新米社員の社会人生活(4)
君は会計課をつぶすつもりかね? 
平成20年2月06日


勘定があわないっ!

最初に書いた様に与えられた仕事は 売上伝票の金額を取引先別に転記する事であった。
一日分の転記が終わると 伝票の合計金額と帳簿の合計金額の付け合せが行われる。正確に記入されていれば 両者が一致するのが当たり前だ・・・が 入社一日目から うろうろで転記したんだから 一致したら奇跡に近い・・と転記した本人が思っているのだから 一致する筈が無い!算盤の計算違いか転記ミスかそのチェックにまたもやベテランのN先輩のお出ましとなる。

新米の記入した取引先別の帳簿を文字通り流れるように目視検査を進めると・・・
 N先輩

「おい、このA取引先のこの売り上げ金額をチェックしろ。」


「ハイハイただいま、 え〜〜っと 123,400円です。」

 N先輩
「馬鹿もん、1,234,000円と 記入されているぞ。」


「エエ〜〜?  ありゃあ・・・桁違いだあ、すんません!」

先輩は長年の経験からどの取引先がどの位の金額になるか大体見当が着いている。新米の帳簿付けで一番多いミスは桁違いの転記である事を知っていたので あっという間に 不一致の原因解明した次第だがその当時の私にしてみれば、ヘマやった恥ずかしさと原因解明の早さにただ呆然としていただけ。それ以降 度々不一致のへまをやらかして皆なに迷惑かけたが 何処で間違えたか自分でも見当が着くようになり先輩から「少しはものになってきたか」とほめられる?ようになって来た。ま 失敗は成功のもとと申して置きます

このN先輩は算盤の名人でした。
算盤師範の資格をもっておられたとの事ですが とにかく何百枚あるか 沢山の売上伝票を 左手でめくりながら右手は指が算盤の玉を動かす仕草だけでハイ 合計はこれだけと 書き出す、帳簿も同様にして金額を算定してハイ合計はこれこれと神業の様な速さと正確さで答えを出された。また暗算も神業であった。7桁8桁の数字が記入されている売り上げ一覧表を 黙ってみてハイ合計はこれだ。新米社員はただ口をポカンと開けて見ているだけ。世の中にはすげえ〜〜達人が居るものと敬服、あまりにも桁違いの達人で俺も努力して頑張ろうなんて気にはサラサラならなかった。

ところで 算盤の練習結果はどうなったか?
K女史の指導で 何とか格好だけはつきましたが 早さと正確性は問題外!三回算盤入れると三種類の答えが出てくる・・・K女史も辛抱強く見ていてくれるが最後にはもう見ちゃおれません。算盤貸しなさいってなてな事になって随分助けて頂いた。本当にK女史には会計課にいる間中迷惑かけてお世話になりっぱなっしだった。

不渡小切手で創業以来の危機に

今から思うとこんな新米の訳わからず屋によくまあこんな仕事を任せてくれたと思うのだが、とんでもないヘマ文字通り会計課をつぶすのか! ど叱られたへまをやらかしたことを書いてみよう。

当時、定期的に全国各地から送金してくる金額をまとめて製造会社の経理に小切手を発行する事になっていた。当時の取引先銀行は三井一行だけで、電話で残高を確認して小切手発行するのだが、何がどうなったかとにかく私の作った小切手で製造会社の経理が三井に確認したら残高不足で「不渡り」です!との知らせ。

K課長も N先輩も青くなった。会社始まって以来の「不渡り」発行の不祥事!現在なら販売会社の部長クラスが首を並べて「誠に遺憾に存じます」とやってその担当者は即懲戒免職とでもなる所だがそこは親会社子会社のよい所ですぐ製造会社から逆に銀行に入金してもらって不足額を穴埋めしてくれてこれで一件落着。後でK課長からH君!君は会計課をつぶすつもりか とどやされただけで、小切手発行の仕事はそのまま私が続行すると言う誠に信じがたい状態が続いた。


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