新米社員の社会人生活(1)
配属先は販売会社の会計課! そんなの聞いてねえ!
 平成20年2月02日


 昭和29年3月25日は名古屋大学経済学部の卒業式の日であった。どうしてこんな古い記録を 覚えているのかって? そのわけをお話しましょう。就職先の決定している悪友たちは殆どが現在と同じように4月1日が入社式(エプリールフールじゃありません)で25日の卒業式を済んで 新米社員まで数日の余裕がありました。ところが私の就職先は3月26日すなわち翌日からすぐ8時に勤労部に出社する事になっていたので卒業式が25日である事を鮮明に記憶していたのです。

入社式
現在ならその年度に入社した新入社員は一堂に集められて社長の激励?訓示があり人事担当重役から新入社員の心得の説明等があってそれぞれの配属部門に行くか場合によってはその場から新入社員教育研修所に行って地獄の特訓を受ける・・・そんなケースが多いのだが、我々容姿端麗組三人の場合は全く違っていた。

まず第一に勤労部に集まったら人事担当者から 「ついて来い」で一体何処に行くのかさっぱりわからず道路を横断して向いの二階建ての建物に連れて行かれた。二階の応接室に入り暫く待つと今度は先の担当者とは全く別人が出て来て

開口一番
「君達の勤務する会社はここである。」
「君達三人は会計課に配属する。以上終わり」



「はいっ???」3人とも顔を見合わせる・・・

入社試験も採用通知も”N製造会社”と書いてあったのにつれてこられたの隣のビルはなんとは子会社である某販売会社だったのである。もちろん、事前にそんな説明は一切無し、我々三人とも製造会社と販売会社が別々にあるなんて事ももちろん知らずただきょとんとしていただけ。 

次に応接室から出て一階に連れて行かれたらそこが販売会社の事務室であった。現在で言う総務、営業、人事、会計の各部門がすべて一階の事務所に集まっていた。総勢で30人も居られたかはっきりしないが窓際に連れて行かれ担当者が 3人を紹介した。

「え〜、今日から入った新入社員の Y君、T君、H君です。」
「配属は会計課です。よろしく。」 
 

たったこれだけ。
我々三人は名前呼ばれたときに頭下げただけ。

想像していた社長の訓示、重役の説明など全く無し、 製造から販売へなぜ配属になったかその説明も無し。これで入社式?なるものは終了した次第。 
その時は事前の説明が無かった事、配属先が会計課である事、そんな事に対して特別にどうって感情も無く 「はいはい。そうですか」とあっさりと受け止めた記憶がある。

戦時中召集されて軍隊に入った新兵が支給された軍服 軍靴が自分の体の寸法に合わず当番兵に申告したらビンタと共に 「てめえの 体を軍服や軍靴にあわせろ」と 怒鳴られやむなく引き下がったとか。我々の心境も説明があろうが無かろうがあるがままに受け入れて行きましょう。ケセラセラ・・ だったのでしょう。
                                    54年前の新入社員より



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