第14回のアマチュアCGAコンテストの入選作品の感想です。 以下は、あくまでも、私が思っている感想でして、これを読んで、 制作者は作品をこうすべきだったと主張しているわけではありません。
それから、毎年同じこと書きますが(笑)、 自分の過去の作品のことは棚に置いて、感想書いてます。 そうでないとなかなか書けないもん(苦笑)。
まぁ、感想ページで、そんなことを言い続けてはや数年。 いい加減に、自分も作品を完成させなきゃならないと思って、日々作業中です(苦笑)。
日頃のアニメ感想と同様、評価点っぽいのを付けています。 ★が1点、☆が0.5点です。
面識がある制作者も多く、勇気がいることでもあるような気がするんですが…(おいおい)。 もちろん、この評価点は、全くの独断的、主観的なものであり、そして、多分、その評価は、 常に揺り動いています。これを書いた翌日はすでに変わっているかもしれません。 それから、特にど〜も納得いかないな〜と思ったところには、×や△を付けました。 納得いかない度というのかな。×が1点、△が0.5点です。いいなぁと思うところが多いけど、 それと同時に納得いかないところも多いというものもあるので、 そういうやり方にしてみました。まぁ、作品ってのが安易に点数化できるものとは思ってませんが、 かといって定量化することに意味がないとは言えないと思いますが、どうなんでしょうね(←誰に聞いてるのやら)。
なお、作者名は敬称略です。
キャラの動きが勢いがあって気持ちいい。水の表現もいい感じ。 南極の話をした時のうにゃうにゃした線が出てきて、 そこから絵ができていく効果も面白い。
ただ、やっぱり、この作品は全般的にぬるいという印象を受ける。 最後の宇宙空間の中の1つの星だったというオチもちょっと弱い。 もう少し、勢いのあるシーンがあった方が良かったかもしれない。 例えば、ほのぼの路線なら、このペンギンはカワイイなと感じるような演出とか、 ギャグ路線なら、もう少し突っ走った演出とかがあった方がいいかもしれない。
あとは、上映会では、とにかく字幕が小さすぎて読みにくかった。 この作品は、声優に頼っても良かった気もする。
なんか、私がこの作品をこの程度の評価点としたというのが意外と思う人がいるかもしれない。 ほんとにほんとに、あと、もうちょっとで、★★★★な作品。
物語は伏線の張り方とかがうまいし、変身シーンや、ああ、死んじゃうというシーンなど、 見所を過不足なく盛り込んでるし、短い作品時間をうまく使った、 非常によく練られた話だなぁととにかく感心。 お約束という言葉で済ますのはちょっと申し訳ないほどのよく出来た作品。 キャラクターもモデリングとかリアクションのタイミングとか、リップシンクの合い方とか、 とにかく手間をかけて、非常丁寧に作られていて感心するばかり。
でも、これくらいの高い完成度の個人作品には、必ずどこかにありそうな、 何か強く光るこだわりのようなものが不足している気がする。 やっぱりいわゆる「お約束」と言われるような、 どこかの作品から借りてきた演出を使いすぎてるのかなぁ。
それと、キャラのかわいさの方も、今一歩踏み込みが足らないかなと感じる。 モデリングとかコスチュームデザインはとてもいい感じなのだが、 多分、セルシェーディングは、この作品の場合は、しない方が良かった気がする。 なんとなく絵が汚くなってしまって、キャラのかわいさが半減していると思うのだ。
で、一番ウマくないなぁと感じたのは、ヒロインの女の子が涙を流すシーン。 なんとなく、こういう風に涙のつぶを正面からマトモに撮る演出はしない方がよかった気がする。 物語的にはなかなか盛り上がってるシーンなので、 なんか惜しい。
それと、ステーションに待機してた女の子が、緊急事態発生の通信を受けるシーンが、 なんだか離れたところにいるという感じがしなかったのも気になった。 確かに主役の男の子が、 言った後のシーンだから、論理的にはつながっているんだけど、 感覚的にはいまいちなような気がしてならない。 こういう場合、テンポを失わずに、離れたところにいるキャラだということを、 印象として感じさせるのはどうしたらいいんだろうか。
他には海賊兄が妹のことを説明するシーンが、 セリフが聞き取りにくいこともあり、わかりにくかったな。
最後の、遅れて駆けつけた時に遅いと言われるシーンも、数回観ると、ちゃんと解るのだが、 一回だけだと何か頭に入ってこない感じ。私がボケてるだけなのかな(その通りだとここで叫ぶ人多数)。
まぁ、アニメばっかり観ている私は、カフカを知らないし、 今回の詩の意味もほとんどわからなかった。以下はそういう前提での感想。 詩のナレーションはとても聴きやすかったし、情感があった。
で、映像は、特に建物の造形がいい雰囲気。 老人や少年などの自然なデフォルメ感のあるモデリングにも感心。 人物のリップシンク等も含め、モーションも丁寧。 構図とかもいいんだろうな。特に、引きの映像とかがうまく使われてるなと思う。 でも、映像シーンがそれぞれどういう意味を持っているのかがよくわからないので、 あまり集中して観ていられなかった。最後の少年が斬りかかるシーンもよくわからない。
この作品のように、一個人が、ある一つの世界設定を使って、 次々とシリーズ作品を制作できるエネルギーは驚嘆すべき。 そのこと自体が高く評価できることと思う。 シリーズものだからこその面白さというものもある。
しかし、全体的には相変わらずよくできているの確かだが、 映像的に言えば、過去の2作品と比べて、 あまり、新しい特徴がないので、どうも、物足りないなぁという気持ちが残るし、 一方、物語の方はと言うと、前作、および、前々作に比べると、 うまく構成できてないなぁと思う部分が目立った。
例えば、この日が何の日だか言わずにおく演出については、いくらなんでも、 サクラの誕生日だと言うことはバレバレ。意外性という面で不足しているので、 Happy Birthdayが空に現れるオチ以外にも、 別の意外性のあるクライマックスシーンを作った方が良かったかもしれない。
それから、地面に落ちたアクセサリーを見て、両親が死んだのではと悲しむサクラが、 元気を取り戻すまでの描写や、 母がアクセサリーを「せっかく探したのに」と言ったときに、 ナデシコが、町を壊させたのが両親だったと気づく部分などはかなり強引だった。
まず、音楽が過去の曲に比べて、ちょっとインパクトがないかなぁと感じた。 東京の上映会では、スピーカーの音があんまり良くなくて、聞きづらかったのも不運だった。
映像は1シーン、1シーン、よく作り込まれていて、 過去のメテオールの作品と比べても、 さぞや気合いを込めて作った映像だとは思うが、 その過去のメテオール作品の「赤い自転車」とか「グレートファイブ」などと比べると、 映像を観た後に、頭の中に、あまり、その映像と音楽が浮かびあがってこない作品だと感じた。
そこで、なぜ、そういう印象を抱いたのか考えてみた。
まず、第一に、曲と映像の、リンク感が不足していたと思う。 それは、タイミング的にシンクロしているかということと、 歌の詞の内容が、映像とリンクしているかということの、2つの要素があると思うのだが、 過去の作品に比べると、今回の作品は、そのどちらも希薄だったように思えるのだ。
第二に、音楽だけでなく、映像の方にもインパクトが足りなかった気がする。 カワイイネコにふられる(?)とか、たくさんの敵ネコに囲まれるとか、 面白く情感のある描写はいくつもあったのだが、その描写に気分がのってくる前に、 次の別のシーンに入ってしまう…そういう感じがする作品だった気がする。
それから、曲に合ったテンポのいい映像を、 何回か繰り返して見せると頭の中にもっと残りやすい作品になったのではないかとも思う。
ところで、今回の作品で、一番、曲とのシンクロ感があったなぁと思った部分は、 後半の「それい〜け、あらもう終わったのね」いう部分で、 ここは、インパクトがあって、良かったと思う。
石川氏の作品というと、作画一枚一枚の丁寧さより、 アニメーションの勢いや物語の面白さを重視しているという印象が強かったのだが、 とにかく今回の作品については、 一枚一枚の作画に関しても、期待を上回るクオリティでびっくり。 通常、女の子系アニメ、マンガにはまる人は、その性格からか、 あまり、大規模な作品を制作できない傾向がある気がしているのだが(私もその一人。笑)、 彼は例外だなぁと思う。
作品の観やすさも今年の作品中ピカ一だと思う。視点の誘導がうまく、 ストーリーの流れもスムーズなので、作品を観ていて集中が切れない。 アニメーションとしての面白さについても、階段を下りる描写とか、 靴箱から靴を出し履く描写とか、下校シーンで、別れ際に、 ココちゃんがちょっと声をかけて、手を振るシーンとか、とにかく、 言い出したらきりがないほど、こだわりを感じさせる丁寧なシーンが多く、 テレビアニメーションでも、 あんまりこれだけ丁寧にやることはそんなにないよな…思う部分が多い。 ふられて残念がるサブキャラの女の子にも、なんだか魂込めてるなと感じるもんなぁ。すごい。
物語的にしても、こうして、こうして、こうなった…というつなげかたに無理がなく、 テンポもよくて、ほとんど文句の付けるところがないが、ただ一つ、 あの嘘の魔法のチョコレート、本当に先輩に渡してしまったら、 どうなるかについてはココちゃんは全く考えなかったのかなぁという点だけは 気になった。ただ、そこがこの作品の肝の部分なわけで、なかなか、 物語を作ってことは難しいことだよなと思う。
最後のナレーションっぽいところで、魔法のチョコレートの話が嘘だったのに、 それでも、まみちゃんは「魔法を信じる」と言いきるところが、 なんだか、理由はあんまりよくわからないんだけど、すごくいいなと思った。
そんなわけで、この作品はコレでいい! 今回の入選作、外伝含め、当然コレが一番だ…と思うのだが、 どうして、単なる入選なのかについて、いろいろ、 仮説を立ててみることにした。
なんか、後半の仮説は、完全に与太妄想になってしまった…。
それはともかく、もう一つ、どうしても、 言っておかなければならないのは、森田俊輔氏による音楽の完成度があきれかえるほどに高いこと。 各シーンすべてに於いて、絶妙な曲作りで、とにかく感動した。 作品を盛り上げるのに大いに貢献していると思う。
コミカルなキャラクターの造形が非常に良い。いい感じにデフォルメできてるなぁと感心。 顔の表情変化も非常にいい。 映像もテンポが良く、特に、煩悩キャラが煙となって消える映像が面白かった。
物語的には、前半は、煩悩が現れては消えるというパターンが、 ちょっと繰り返されすぎていることもあって、オチも付けてすっきりまとめているものの、 全般的にはちょっとモノ足りないかなぁとは感じた。 主役の心の中の気持ちをすべて煩悩キャラで表現してしまい、、 何度も殴られてイライラするという、本人自身の心の描写が抑え気味だったのも、 物足りなさを感じた理由かもしれない。
それから、軽やかな音楽がいい感じ。 特に小休止的に風景が映っている部分の音がなんか良かった。
ハイコントラストな映像感がとてもいい感じ。 小路をすり抜けていく映像とか、ぼ〜っと観ていて気持ちがいい映像が続く。
私は、通勤の時、毎日、高架の線路を走る列車の窓から、 夕暮れの名古屋の町並みが、遠近法の原理に従って、流れていくのを、 ぼ〜っとしながら観るのを、至福の楽しみとしているが、 それと似たような感覚を、この作品に感じた。 しかし、ちょっと作品が長すぎる気もする。 何かこの映像を通して、訴えたいことがあるのか、ないのかもちょっとわからなかった。 音楽はとてもうまいなぁ。
ハイコントラストではない時に、これらの映像がどう見えるのかにもちょっと関心がある(笑)。
やや荒っぽい部分もあるが、この作品の勢いを買いたいと思う。 特に、ロリータちゃんという名前を、看護婦キャラに、 臆面もなくつけるセンスがすばらしい(←おいおい)。 ロリータちゃんはシンプルなモデリングもいい感じで、 とにかくやたらかわいい。
3DCGアニメではやや食傷ぎみの戦闘シーン風の映像も、こういう風に、 ユニークな設定や、コミカルさが加わると、面白さが増すと思う。 映像の見せ場をうまく演出しやすいコンセプトをよくぞ思いついたと思う。
ただ、映像のつながり等の荒っぽさ等、 もう少し整理した方がいいと感じるシーンは多かった。 特に冒頭の患者が運ばれるシーンは、声が聞き取りにくいことも加わって、 どういう事情で運ばれたのか、頭に入ってこなかった。
オチについても、悪くはないと思うけど、ちょっと普通すぎたかなと思う。 それにしても、魚型潜水艦が妙にローポリだったのはなぜだろうか。
世の中、文字だけで結構成立しちゃうものだなぁと感心。 車の表現とかが面白かった。 フォントを固定したかったようだが、多彩なフォントでの世界の表現させるのも、 とかく広告の看板ばかりのこの世の中の雰囲気が出て、面白かったかもしれない。
映像の迫力の面で、町中の雰囲気の方が面白いので、 最後のシーンは、図書館よりも、もう少しインパクトのあるシーンに 置いた方がよかったかもしれない。電車通学などをさせると良かった。 お札がなかなか入らない描写は、会場でも笑いは取れていたが、 文字だけで世界を表現するというテーマからは、ちょっとずれている気がするので、 別の面白い演出を考えた方が良かったかも知れない。
最後の本の文字がだんだん消えていく演出は、あまり面白くないなぁと思った。
リップシンクとかちゃんと合ってたり、眼球の動きにまでこだわったり、 動きの表現などで、手が込んでるなと感じる部分は多かったが、それでも、 この作品は、なんだか3DCGが演じているという雰囲気が、 抜け出せない印象を抱くのはなんなんだろう。 この作品のように、映像がゆっくりだと、どうしてもそうなっちゃうのだろうか。 自信があるわけじゃないが、人間を表現するのに必要な動きが、 この作品ではな、何か省略されてしまっているのためなのかもしれない。
それにしても、彼の前の作品でもそうだったんだけど、 どうしてボーカル入りの歌を、セリフと重ねちゃうのかなぁ。 セリフを喋っている時だけ、ボーカルに休んでもらったって、いいじゃないかと思うんだけど。 この作品はセリフも重要なはずだけに、どうして、毎回そういうことをやるのか、 私には全く理解できない。
それと、解説書読むまで、主人公の命が残りわずかなことに気が付かなかった。 私が鈍感なんだろうけど、そういう鈍感な人のためにも、そういう背景は もう少しわかりやすく説明してもいいんじゃないのかなぁ。 タイトルに使われている月というキーワードも、作品では十分生かされてないように感じた。
カーテンの描写とかはいい感じだと思った。他仁尾、 ちょっとした小物をシーンに差し込むやり方はうまいなと思った。
冒頭の雪の降る描写とか、風景描写の雰囲気は非常にいい感じ。 キャラクターの動きは、ちょっとぎこちない感じがある。 男の方は勢いがある動きがメインなので、ほとんど気にならないが、 女性が料理の味見をした後のリアクションとかが、 微妙な動きが表現されなくてはならないシーンは、やっぱり気になった。 いや、難しいのはよくわかるんだけど…。 それから、歌っている女性の口の形がなんか違うなと感じた。 女性、男性のモデリングは非常に良くできているなと思った。
この作品は回想のシーンに、手書きのイラストを使っているが、 やはりその部分には違和感があったが、でも、味わいのある映像ではあった。
合成がうまい作品。3DCGとの実写合成というとビデオカメラで撮影した動画映像に、 合成するということを考えがちだが、実はデジカメで広角で撮影した静止画に うまく合成した方が、色味も合わせやすく、構図も調整しやすく、 レタッチもはるかにしやすい。それでいて、ビデオカメラで撮影した場合に比べても、 リアリティはさほど落ちない。その点を非常にうまく使っているなと感心。 (実は私もちょうど似たような技術を研究中。笑)
ヘリで運ばれてくるロボットの映像感が特にいい感じ。 テレビ特撮では、ミニチュアを使うことが多いせいもあって、電線が実世界より少なく、 傾向があるから、この作品のように、電線がいっぱいの空に飛来してくる映像には、 なんだか、やっぱり、テレビ特撮の映像より、リアリティを感じる点もあるのかもしれない。
物語はちょっと説明が足りなさすぎな感じ。異星人が、 あの花にこだわる理由はなんなんだろうか。 Japanというタイトルの意味からすると、西洋タンポポに比べて、 日本タンポポが少なくなっているので、 そのわずかな日本タンポポの種を守るために来たということなのだろうか。
とにかく、勢いがある作品だし、味のある絵がまたいい。 ストーリーはあまりにも単純だが、観ている人たちが大喜びする絵とかを随所に挿入し、 飽きのこない映像に仕上がっている。 その観客たちのいいオッサンぶりにも好印象。
この作品はセリフは吹き替えず、文字で表現されているんだけど、 それにもかかわらず、例えば、冒頭、麻雀をやってる父親を非難する女の子は、 本当に感情をこめて喋ってるなと感じる映像に仕上がってる。手書き文字の字体の感じもいいのだろう。 それから、効果背景(…といったらいいのかな)がすばらしいなと感心。 特に、終盤に出てきた巨大ロボットを操る敵の登場シーン。派手な効果背景から、 ロボットのコクピットがばば〜んと変わるシーンがキマってた。
さらに、ノリのいい音楽も最高に良かった。
人物の首を振る動きなどに、独特なキビキビとした動きがあるのが特徴的で、 それが人物を生き生きとさせている。 それから、本棚に囲まれた部屋の奥行き感がいい感じで表現されている。 常にカメラを揺らしているのも奥行き感を出すのに役立っているような気がする。 指さしの動きもいい感じ。 電車が通り過ぎたような演出の部分は、特に迫力がある映像だなと思う。
でも、内容については、やっぱり、よくわからんな〜という感想。 それと、本棚の部屋以外の映像は、なんか脈絡がない感じがする部分が多く、 なんか映像に集中しづらくなる。
まず、個人作品として、人物の動きのスムーズさが驚異的な領域に達している作品だと思った。 最近、3DCGアニメーションでも、 モーションキャプチャーに頼る作品が増えてきているようだが、 人物の動きを描くのに習熟したプロのアニメーターが、 3DCGアニメーションキャラクターのモーションデザインをしたら、 さぞや自然な感じになるのでは、むしろ、モーションキャプチャーよりも、 生き生きとしたものになるのでは…と前々から思っていたが、 その通りだったという好例。 無重力表現などもいい感じで、 重力発生装置を動作する瞬間とかの動きがなかなか面白い。
物語の方は、環境破壊で住めなくなった地球を離れた移民船が、 漂流している間に、地球が自然再生したので、移民船に乗り込んで、 地球に帰還するように航行プログラムを書き換えるという、小作品を作るのには、 なかなか良さそうなエピソードなのだが、 そんな作品を観終わってた後に残ったのは、納得いかないなぁという気持ちだった。 それは、技術的な問題とか、ありがちかどうかというような事ではない。 作品が描き出している物語自体がマズイと感じたのである。
マズイと思った点はただ一つ。移民船を救助する2人の人間としての描写についてである。 特に、男が、「300年前の船をどうして回収させなきゃならないんだ。もう生存者はいないんじゃ」 などと言い出すのにはびっくり。遠く地球から任務のためにやってきたというのに、 今更何を言い出すんだ。
おまけに、生存者の有無を疑問視していた男は、コールドスリープしている人たちを見て、 「まるで集団墓地だ」と言ってるのに、「彼らは眠っているだけよ」などと、 女が、その場で生存の確認をして見せないのが納得いかない。 移民船の人たちが生きていたことへの女の喜びのリアクションが欲しい。 重要なことだ。省略していいシーンではないと思うのだ。
そもそも、本当は全員死んでいるんだけど、それでも、 地球に戻したいという物語にした方が、話の収まりがよかったかなぁとも思った。。
結局、この作品は、ロボットとのバトルシーンを描きたかったために、 適当に物語を用意したのではないかという印象がぬぐえないのである。 これだけの自然な動きが作れる技術があるのだから、 もっと人間を描いて欲しいものなのである。
このような、技術ばかりが光るような作品を観ると、 こういう作品が、ブラッシュアップされて行き着く先は、もしかして、 あの、3DCG映画「ファイナルファンタジー」のようなものではないのかと思えてきて、 なんだか、ちょっと悲しい気分になってきてしまう。
評価点は第1話を含むもの。上映会で第2話を見た限りでは、ちょっとピンとこなかったが、 第1話を見て、評価が変わった。上映会やビデオに収録されている第2話だけを見ただけでは、 この作品の面白さを十分楽しめない気がする。 …というか上映会では第1話の方を上映するべきであったと思う。 「to be continued」になっているものの、 第1話だけでも話はちゃんと一応の収まりがついているし、 第2話の方も、FlashファイルがWeb公開されているのだから、 誰でも容易にこの先の話を見ることはできるのだ。
最近、Macromedia Flashで作られた作品を見かけるようになったが、 このような比較的大作の領域に入る作品も、十分作れるものなんだなぁと、 ひたすら感心。
前置きが長くなったが、とにかく引き込まれる内容だった。特に第1話。 ストーリー的には、 さほど意外性のあるどんでん返しがあるわけでもないが、 アンドロイドquinoのキャラクターは、デザインがシンプルなのに、 すごく魅力的で、人の命を奪ってても、quinoを連れ出したいと思った男の気持ちも、 理解できる。
第1話は、quinoを連れ出すまでの描写も簡潔にまとめられており、 文句ない出来。quinoが楽しげに生き物をおっかけるしぐさ、 そして、それを食べてしまった巨大生物を、「キライ」と言って、 冷酷に攻撃してしまう恐さなどが見事に描かれた傑作。
一方の、第2話は、登場キャラが多く、それらのセリフが字幕で行われているのだが、 どうも、字幕を見ながら作品を観るには、ちょっとテンポが早すぎる感じ。 キャラの描き分けが整理されていない部分があるためか、 若干、観てて混乱してしまうシーンがあったのが少し残念。
映像技術的には今回の作品中、すべてのバランスに於いて、圧倒的にすごいと感じた作品。 コンクリート建造物の映像感が素晴らしい。 人物の映像もいい感じで、特に、女の子が、ふと反対側の男の子に気づいて、 振り向く瞬間に風が吹くという演出は見事としかいいようがない。
しかし、乱暴な言い方をすれば、私の場合、 作品を「いいなぁ」と思う上での、最優先の要素は、 その作品が描き出す、物語(1つ1つのエピソードを含め)や、世界観、登場キャラの性格描写(しぐさなども含め)などが、 どの程度面白かったり、心を動かすかである。一旦、その部分で良いと感じてしまえば、 それに加えて、作品全体の映像技術が高ければ、ますます、 作品が素晴らしいと思う気持ちが、乗数的に増すのだが、 その部分が弱ければ、作品全体に受ける印象も弱くなる。 この作品は、世界観は優れていると感じたが、他の要素については、 悪いわけではないが、なんだか弱い印象を受けた。 そんなわけで、圧倒的に映像技術がすごいと言いながらも、私の評価点はこんな結果になった。
結局、この作品は、以前、見かけたことのある、ちょっと可愛い娘への平凡な恋心を 描いたということだと思う(私が作品を読み違ってなければ…)。 別に壮大な話にせよというつもりは全くないが、 その平凡な恋心を描くにしても、もうちょっと何らかの 面白いエピソードが欲しかったように思う。 女の子の描写についても、なんか、淡々としすぎなので、 もっと生々しい人間的かわいさを描いた方が良かった気もする。
リフトで移動して通学という設定は、とっぴだが、非常によいと思う。 そんな世界を合理的に説明づけるのは非常に難しいと思うが、 そんな説明づけは一切必要ないと思う。
そういえば、男が降りるべきところで、リフトを降りずに、 そのまま乗り続けた後、何かを見て笑顔を見せたのは、なぜだったんだろう。 女の子に、自分の描いた壁の絵がうまく見えているか確認したかったということなのかな。 あ〜、そうか。そうなのかもしれない。