ヴィヴァルディについては、前々から、 一度は書いておきたいとは思っていたので、ちょっと長くなったが、 いろいろ書いてみた。
私のことをよく知っている友人達の多くは、 私がヴィヴァルディのファンであることは知っている。 でも、私は彼らにあまりヴィヴァルディについて長々と講釈をたれたことはない。 ヴィヴァルディの曲をあまりにも知らないからである。
クラシック音楽(…という言い方は、実はあんまり好きじゃないが)関連で、 他にも好きな作曲家が全くいないわけでもない。
しかし、他のクラシック系作曲家の所有CDをすべてあわせても、 ヴィヴァルディのCDの枚数には決して及ばない。ヴィヴァルディ関連のCDは、 50枚近い数なのである(しかし、アニメサントラはその枚数をはるかに上回るが。笑)。
なぜ、それほど、ヴィヴァルディばかりにハマったのか。 それを説明しようとすると、結構、長い話になってしまうのである。
ヴィヴァルディと言えば「四季」を連想される方がほとんどだと思う。 毎年のように来日するイムジチ合奏団も、ほとんどのコンサートホールで、 「四季」ばかり演奏している。 名古屋にも良く来るが、曲目は「四季」ばかりである。私も2回ほど聴きに行った。 私が言うまでもなく、素晴らしい演奏なのであるが、いつも「四季」ばかりというのには、 物足りないと感じているのも、事実である。
私が最初に聴いたヴィヴァルディの曲はやっぱり「四季」だった。 それは、多分、中学の音楽の授業で聴いたのが初めてだったと思う。
そもそも、私がクラシック音楽自体に興味を持ったのは、音楽の授業のおかげである。 当時、家族や、友人に、クラシック音楽に、特別関心がある人が全くいなかった。 もし、学校の音楽の授業で、クラシック音楽を流すことがなかったなら、 私は、決して、ヴィヴァルディファンになっていることはなかったと思う。 そういう意味でも、なんだかんだ言っても、やっぱり、学校教育は、ありがたいなと思う。 ちなみに、高校時代は、美術部所属(しかも、2年の時は部長だったし…。笑)の私は、 もちろん、美術を選択したので、音楽が履修できず残念な思いをした。
そんなわけで、ヴィヴァルディの曲に遭遇したのも、学校の授業のおかげなのであるが、 その「四季」については、確かに名曲だとは感じていたが、他の曲と比べて、 特に素晴らしいと思ったかといえば、そうでもなかった気がする。 一番有名な「春」については、今となっても、私がヴィヴァルディの協奏曲の中では、 それほど好きではない方の曲である。
私がその頃、学校の授業で聴いてよかったなと思ったのは、スメタナの「モルダウ」だったり、 サラサーテの「チゴイネルワイゼン」だったり、 ムソルグスキーの「展覧会の絵」だった。展覧会の絵については、冨田勲の、 シンセサイザー版に興味があったことも関連がある。
高校に入り、ステレオを買ってもらって、 最初に買ったクラシックのLPは「展覧会の絵」だったと思う。 「モルダウ」も、カセットテープで買った。そっちの方が先だったかもしれない。 でも、実は、これらの曲は、さほど、私のお気に入りにはならなかったが…。
当時住んでいた浜松の家には、わざわざFMアンテナを立てていたこともあり、 FM放送はとても良く聴いていた。FM静岡が開局したばかりで楽しい時期でもあった。 歌謡曲も非常に多く聴いていたが、クラシックも聴いていた。 「チゴイネルワイゼン」とか、ベートーベンの「田園」とか、 そして「四季」とかは、放送されたものをテープに録音して聴いていた。 しかし、当時、ヴィヴァルディは、私にとって、特別な作曲家ではなかった。
ところで、その頃の私は、PCM DIGITALというキーワードにも関心を持っていた。 当時、日本コロムビア(デンオン)のLPのうち、デジタル録音をしたものに、 そのマークが付いていた。
「展覧会の絵」のLPにもその記号が付いていたような気もする。そこから、デジタル録音のことを 知った気もするが、そのLPは無くしてしまったので、よく覚えていない。記憶違いかもしれない。 その頃、FM放送で、デジタル録音についての特集をした番組を聴いた記憶もある。 とにかく、デジタル録音というものにとても興味をそそられていたのである。
そんなわけで、PCM録音の曲を集めたサンプル的なLPを買ってみることにしたのである。 そこにはクラシックの曲が多数入っていた (でも、その中に、ヴィヴァルディの曲があったわけではない。 出会うのはまだ先のことである)。
そのLPの中で衝撃を受けた曲が1つあった。 それは、1stヴァイオリンを、ジャン=ジャック・カントロフが演奏する、 バッハ作曲、「2つのヴァイオリンのための協奏曲」(BWV1043)であった。 もう一つ気になったのは、ハインツ・ホリガー演奏の、 テレマン作曲のオーボエソナタ「忠実な音楽の師」である。 どちらも一部分だけが収録されていたが、とにかくいい曲だなと感じていた。 しかし、結局、その曲を全部収録したLPは購入しないままに、大学時代に突入した。 (ちなみに「2つのヴァイオリンのための協奏曲」は、FM放送で全曲流れたものを、 録音して聴いていたが、全然納得がいかなかった)。
大学時代、デジタル録音に関心があった私は当然のごとく、 CDにも非常に興味を持っていた。CDも最初の頃は、かなり高価だったが、 段々、CDプレーヤーも個人で購入できる価格になってきたので、購入した。 そして、そこでまず買ったのは、マクロスのサウンドトラックと、 カントロフのバッハの協奏曲集だった。PCM DIGITAL録音のカントロフのバッハは、 当然CDになっていた。CDで聴いたデジタル録音の演奏はやはり素晴らしかった。 FM放送で聴いた他の演奏のものとはまるで別物だった。今も良く聴くCDである。
そんなわけで、まず最初はバッハだった。オルガン曲集も買った。 管弦楽曲も買った。しかし、それらはあまり気に入らず、 結局は、バッハの中でも、協奏曲の類が好きなんだと気づく。
そして、カントロフのCDの解説に書かれていた、2つのヴァイオリンのための協奏曲のような スタイルはヴィヴァルディのスタイルの影響が大きいという記載が気になった。
それから、これまた日本コロムビアのバロックの曲を集めたCDを買った。 前から気になっていた、 ホリガーの「忠実な音楽の師」が入っていたのだ。 収録されていた曲は、 バッハ、テレマン、ヘンデル、アルビノーニ、そして、ヴィヴァルディ。
そのCDを聴いた頃から、バロック音楽系が一番自分に合っている、 その中でも、ヴィヴァルディの協奏曲が一番しっくり来ると感じていた。
話は変わるが、そもそもヴィヴァルディの協奏曲の雰囲気は、 どこかで聴いたことがあった。それは、もちろん「四季」でもあるのだが、 もう一つあった。どうにも気になっていた曲だ。 それは、私が浜松に住んでいた頃、 わりと観る機会があった静岡第一テレビの、 放送開始と放送終了時に流される映像のBGMであった。 シーソーが動きながら春夏秋冬と季節が巡っていくアニメーションのバックグラウンドに、 その曲は流れていた。
私はそれをヴィヴァルディの曲ではないかと思い込んでしまったのだ。 その曲を見つけ出したいと思うことも、 何枚かヴィヴァルディのCDを買ってみようという気になった大きな理由だ。
ちなみに、実はその後、私はこの曲が何なのか、静岡第一テレビに問い合わせたことがある。 はっきりした答は得られなかったが、オリジナルの曲であることは間違いないようだった。 いかにもヴィヴァルディのような曲だが、そうではなかったのだ。 今になってインターネットで調べてみると、どうやらこの映像は、 今も放送されているらしいので、興味のある方は静岡にお寄りになった際にでも、 どうぞご覧ください(笑)。
ところで、当時、同じ下宿に住んでいた友人は、ちょっとしたオーディオマニアだった。 アキフューズのアンプ、マランツのCDプレーヤー、そして、 オーラトーンのスピーカー(それは今は私のもとにある)で、 モーツァルトやマーラーやテラーク社の様々なCDなどを聴いていた。 私はモーツァルトはいまいちピンとこないし、マーラーなどは、聴きたいとすら思わなかったが、 彼に影響されて、CDを紹介する雑誌などは読むようになっていた。
その中で、ヴィヴァルディ関連で、優秀録音として紹介されていたものを買ってみることにした。 イムジチ演奏のPhilipsのCD(当時西ドイツ製)と、 ホグウッド指揮エンシェント室内管弦楽団演奏のDeccaのCD(イギリス製)などが、 しばしば紹介されていた。
まず買ったのは、イムジチの協奏曲集作品3「調和の幻想」か、ホグウッドの作品8「和声と創意への競演」(「四季」を含む)のいずれか。どちらが先か思い出せないが、ほぼ同時期だと思う。 今まで、私が全然知らなかったヴィヴァルディがそこにあった。 「和声と創意への競演」は、むしろ「四季」以外の曲に心を惹かれた。 それらCDが、私はヴィヴァルディが好きなんだいうことを再確認させたのだと思う。
そして、ヴィヴァルディCDを買い始めた日々の中、 CD雑誌に、優秀録音として紹介されているものを発見した。 それは、クリストファー・ホグウッド指揮の 「ラ・ストラヴァガンツァ」だった。
ヴィヴァルディ協奏曲集の作品4? 説明によれば、ラ・ストラヴァガンツァの意味は奇想天外だと?何だこの曲、何が奇想天外なのだ? とわくわくしながら買ってきて、 聴いて衝撃を受けた。それは奇しくも、特に奇想天外だと、 当時の音楽評論家にも酷評されたという第8番の部分だった。
こんな曲をヴィヴァルディが…という驚きとともに、哀愁を帯びた旋律の素晴らしさ、 第二楽章の不協和音を含む幻想的な演奏。こんな斬新な曲が18世紀初頭に作られていたのか…と 愕然としたのだった。でも、そんな気持ちは、周りの人間は誰もわかってくれないのだ。 そうさ、今でもさ(笑)。インターネットで探すと見つかるヴィヴァルディファンの人たちの中でも、 Op4の8番が好きだと言っている人を見つけたことがない。 そういうわけで、この曲が、今でも、ヴィヴァルディの曲の中で、 最もお気に入りなのである。 ところで、「ラ・ストラヴァガンツァ」は、その後、イムジチ版も買ったけど、やっぱ、 ホグウッド版の方がいいと思う。
そうしているうちに、オーボエや、ファゴット(バスーン)をメインとした協奏曲にもはまった。 前から気にしていたオーボエ演奏家のハインツ・ホリガーはヴィヴァルディについても、 非常に多くの曲を演奏していた。 それと共に、クラウス・トゥーネマンのファゴット協奏曲にもハマったのだ。
ヴィヴァルディはおびただしい数の協奏曲を作っていて、当時は、フルデジタルの新録CDが、 次々に発売されていたものだから、どんどん買っていった(笑)。 特にPhilipsのイムジチ版は、演奏も録音も素晴らしかった。
そのうち、気に入った系統のものは一通り買ってしまったこともあり、 ヴィヴァルディ買いあさりの日々は、大学時代でほぼ終わるのだった。 就職してからは、会社の寮に入ったので、一時的には聴く機会すら少なくなった。
そんなわけで、久しくヴィヴァルディから遠ざかっていたのであったが、 ごく最近になって、ヴィヴァルディ熱が再発してきた(笑)。 それは、赤毛の司祭というヴィヴァルディのファンサイトの影響もあると思う。 そんな中、11月には、店頭で見かけたヴィヴァルディの40枚組CD-BOXに、 手を出してしまい(笑)、 東京に出かけた時などには、ヴィヴァルディのCDも物色するようになった。 あまり深みにはまると危険だが、まぁ、細々と、CDを買い足していこうかとは思っている。
私がヴィヴァルディに最もはまっていたのは今から10年以上も前なので、 お気に入り盤も、そのころ発売されていたものが中心になっている。 今は、絶版になってたり、セットの一部に組み込まれたり、 品番を変えて廉価版が出ているものが大半だと思う。
ヴィヴァルディの協奏曲集の中では「四季」の次に有名といえるのかな。
この中では、月並みだけど、特にお気に入りは第8番。なんか哀愁漂ってるというか、
何か、失恋でもしたんでしょうか、これ(笑)。
あとは第10番、第1番とか…って大体ほとんど全部好きなんだけど…(笑)。
当時は奇想天外だったのかもしれないけど、まぁ、そんな、
現代音楽みたいな難解なものってわけではない(笑)。
上にも書いたけど、私の好きなのは第8番。作品3の第8番も悲しそうだけど、 作品4の第8番の方はもっと深刻な悩みって感じがする。第1楽章が、悲しいことがあった。 その悲しみは段々深まっていき、しまいにはあまりの辛さにのたうち回る。 そのうち、その力も失せて第2楽章ではどんどん落ち込んでいく。そしていつしか悟りの境地に…。 第3楽章は、まぁ、ともかく悲しみを背負いながらも生きていこう…そんな感じというか…。 私の解釈間違ってるかなー(笑)。特に、第3楽章の冒頭がぐっと来るなー。
他に好きなのは第7番。特に第2楽章。これは普通に明るい曲(笑)。
この協奏曲集もほとんど好きな曲ばかり。
とにかく元気のいいヴィヴァルディ。「アラ・ルスティカ」とか特に。
「コン・モルティ・ストロメンティ」は楽器を多彩に使い、とても楽しい。
ヴィヴァルディの話ではないが、ピノック指揮のCDは、ヘンデルが特にいいかも。
シバの女王の入城とかかっこいいんだこれが。
CDの紹介記事に、天国的に美しいという評があったのを覚えているが、
まさにその通りという内容で、
ホリガー、アーヨ、トゥーネマンなど、名手の素晴らしい演奏。
ところで、RV103とかには、私はなにやら、日本的な雰囲気を感じたな。なんでだろ。
ヴィヴァルディは多くのオーボエ協奏曲を書いていて(ソロ20曲,2つのオーボエが3曲など)、
オーボエファンは、ヴィヴァルディを一曲くらいは聴かなきゃだめだろと思うわけです。はい(笑)。
このCDで、私が特に好きなのはRV454(作品8内の曲)。ヴァイオリンでも良いという曲だけど、
やっぱりオーボエの方がいいな。
ヴィヴァルディは多くのバスーン(ファゴット)協奏曲も書いていて(現存するものだけでも、
オーボエより多い何と37曲)、
従って、バスーンファンは、ヴィヴァルディを一曲くらいは聴かなきゃだめだろと思うわけです。はい(笑)。
どーして、ヴィヴァルディは、当時も地味な使われ方が多かったバスーンを主役にした協奏曲を、
多く書いているのかの理由はよくわからないそうだけど、実際聴いてみると、
これがオーボエ協奏曲より面白い。
ヴィヴァルディの協奏曲というと、他にもリコーダーとかギターとかマンドリンとかあるけど、
ヴァイオリン協奏曲の次はバスーン協奏曲がいいなと私は思うのである。
ちなみに、このCDの中で一番好きなのは、RV503の1曲目。
昔、NHK-FMの「朝のバロック」で流れていたのはコレ。
なんか話によれば、この作品13はヴィヴァルディ作ではないという説が有力…どころか、
シェドウィル作でほぼ確定だそうで(笑)、
確かに毛色が違うかなと私も思うのだが、良いものはよい。
私が良いと思うのだから、やっぱりこれはヴィヴァルディ作曲ではないかという気がするのだ(←おいおい)。
どれもいいんだけど、やっぱり、「朝のバロック」作品RV56の一曲目かな。実は着メロにしている。
あと、RV57もとてもいい。優しい気持ちになる曲ばかり。
まぁ、私は「四季」ばかりがヴィヴァルディじゃないだろと思ってる派であり、 ヴィヴァルディの中では「四季」はあまり聴かない方なので、 世の中に非常にたくさんある「四季」のCDなども、あまり集めてもいないのだが、 ちょっと風変わりなものは数枚あるので紹介。
まー、昔、「スイッチ・ト・オン・バッハ」とかのクラシックのシンセサイザーアレンジにハマった人なら知ってるかもしれないシンセサイザー版。1980録音と結構古い。
デジタルtoデジタル録音などと銘打ってるけど、まぁそれほど音が良いという印象はないかも。
それと演奏の方は機械的すぎる感じがやや裏目に出てる感じがする。面白いけど。
これもシンセサイザーメインのCD。テレビ番組などで、あ、シンセ版ヴィヴァルディの四季だ、
と思う曲が流れてたら、それは恐らくこれだと思う。当然ながら、現代的なアレンジ。
緩い曲は大抵女声のスキャットになってる。そつなく仕上がってるなというのが私の感想。
シンセサイザーアレンジはグリーズンや三枝以外にも多分あると思う。
「四季」集めをしている人でもさすがにこれは知らないかも。
エレクトリックなどと銘打ってるけど、シンセサイザーアレンジではない。
ニューエイジ系というべきか。コラージュ的にヴィヴァルディ「四季」のフレーズ(生演奏)を使っている感じ。
時々、はっとするほど気持ちのいい曲もあるけど、全体的には、とっつきにくいと感じた。
で、私が良く聴く「四季」はこれ。カルミレッリ版の直輸入。
他には、ホグウッドの作品8全部が入っているのも聴くけど、
「四季」の部分については、こちらの方がいいと感じている。
でも、他にもいい「四季」はあるんだろうな。多分。
話の中に出てきたカントロフのバッハ。…ロフとか付いてるけど、フランス人。
全集というんだから、バッハのヴィヴァルディっぽいヴァイオリン協奏曲はこれだけなのかな、やっぱ。
ブランデンブルグ協奏曲はちょっと違う感じだし。
そういえば、イタリア協奏曲はかなり好きな曲。
でも、協奏曲と言いつつこれは独奏曲だけど(笑)。
そういえば、オペラとか歌のあるものは、あんまり好きじゃないこともあり、全く買ってない。 大抵、ヴィヴァルディのコアなファンは、その類にも手を出しているので、 万一、ヴィヴァルディファンの人たちと会う機会などあって、盛り上がった時に、 その辺りでつまずく恐れがある。もしかして、買っておいた方がいいかもしれない(笑)。
…と書いたが、ヴィヴァルディのMASTERWORKS CD-BOX 40枚セットを買ったので、 声楽も結構増えたのだった…。