03九州、沖縄一人旅、その3。

27(金)

波浪注意報、波高3メートル、ここ屋久島一奏港付近は何も無い所なのでもう一日留まる気がしないから、行け行けで!

朝5時、45マイル先のトカラ列島(薩南諸島)最北端の口之島、西の浜港向け出港。

今日もマノボリの機帆走を強いられるが、雨も降らず、薄曇で28度でも涼しく7ノット前後で快適。

口永良部島のメガ崎と屋久島の永田崎の間から口之島向け変針、トカラ海峡&黒潮本流を横断です。

波浪注意報はやはり本物でした、警報は出港を取り止めるが注意報なら!は、やっぱりいけなかったね。

トカラ海峡中間位の口之島14〜5マイル手前から、風、波共に厳しくなって来て快適な気分は中止。

黒潮本流と南西の強風が、ぶっつかっているからか?しかし考え様によっては、心配したり驚く事は無い、

冬の三河湾でも経験出来る程度のものですから。13マイル南西先に島が見えた時は、若干ほっとしましたが、

反面まだ3時間以上この状態が続くのかと少々嫌な気分、だってこんなに荒れて来ると、オートパイロットも正常に作動し難い。

ここは腕の見せ所でえ〜い!ってな気分で誰も見ていないのに、空手のサンチン立で舵を握る。

サンチン立は前後左右に船が揺れても、体は安定してふらつきません、何が役に立つやら。チャートからは、西之浜港は

見付け難い港口でしたが、運良く「フェリーとしま」が入港アプローチ中でした、その後を追っかけて、赤灯台と防波堤を見つけ

やっと14時入港、入って直ぐ左の荷揚げ岸壁に舫おうとしてにエンジンをニュートラルにしようとしたら、エンジンストップ!

しかもギアが噛んでぎゃ〜!ニュートラルにならない、再指導するも言う事を聞かず、当然エンジンも再始動しない。

南西の強風は直接は港内に入らないものの、回り込んだ風が結構強く、ヨットが流され始める。

しかし強運のなべさん、偶然にも隣に舫っていた黒潮丸の船長の肥後さんが、私が投げたロープを受け止めてさっと

岸壁のビットに素早く舫って下さる、又素早く艫のロープも然り。流石プロの漁師!着岸時の緊急時に助っ人がいて、

しかも素早いロープ捌きが出来る漁師で、こんな偶然が重なり合う何て事は、どれ位の確率でしょうか?

後で聞いたところ、又、マタ偶然にフライングの水野氏も肥後氏の「釣り船&民宿 黒潮の宿 рO9912―2−2410」

に何年か前に、宿泊されたそうです。又、また、マタ、偶然、沖縄の帰りに鹿児島の火山巡りレースに行くと言ったら、

鹿児島に知人がいるから照会してみて紹介して上げるとの有り難いお言葉、ところが聞いた名前が私の知っている人、

谷山の「さち」オーナーの肥後氏でした。こんなに偶然が有るんですねえ〜!恐ろしい位です、普通でしたら作り話だろうって、

嘘付き人呼ばわりされるでしょう。荷揚げ岸壁に舫ったのは良いが、ここは約80世帯人口150〜160人の島、

修理屋なんかいる筈も無い、漁師も肥後氏の54歳、後72歳に75歳の3人しかいない。後は遊魚船の方が数人。

魚は獲れても、新鮮な内に市場へ運び出す輸送手段が無いのです。「配送したよ」「はいそうですか」とはいかないらしい。

警察官もいない、ガソリンスタンドも無い、交通信号機、映画館、パチンコ、タクシー、銀行、コンビニも無い、無い無い無〜い

何にも無い。車のガソリンは各家の横にドラム缶が置いて有る。それにしては広く立派な、ガラガラの港ですが

何に使うのでしょうか?少なくともワシャ知らん。結局「黒潮丸」肥後船頭に、「漁師なら商売で修理屋をやっていなくても

直せる方がいるでしょう、紹介して下さい」とお願いしたら、(漁師が3人しかいないのは後に肥後氏から聞いた、

その時は知らなかった)島で船の修理は俺しか出来ないとの事。それではと甘えてお願いし、緊急修理して貰いました。

その間色々故障の原因を考えていましたが、だって故障の根本原因を探さなくては又何処で、どんな条件下で、

再び故障するか不安ですから。

やっと見つけました、根本原因を!プロペラに魚網がグルグル巻きに大量に絡み付いていました。

これでエンジンが急にストップして、ギアに急激にショック圧がかかりギアとギアが噛んだと判断。

早速自慢のスクリュー覗き窓を外しゴリゴリ取る筈が、魚網の量が多過ぎるのとカチンかちんにプロペラに絡み付くだけでなく、

シャフト迄巻き付いているので簡単には除去出来ない。漁師に飾り窓!って笑われてしまいました、本当に恥ずかしいやら、

情け無いやら苦笑いの私。それではと生温い海へ、どっぼ〜ん!魚網除去作業する事約10分。

我ながら思いたくないが、歳かなあ〜カッチン、かっちんで、取れそうで取れない。それを見ていたプロ漁師の肥後氏、

見ちゃおれんとばかりに自分の包丁を持ってドッボ〜ン!数回約10分かけ、「OKだ!こりゃ素人には無理だよ!」

有り難いと同時に慰められた感じでした。
、両腕に余る程の吃驚する位の、大漁歌い込み「ヤ〜レン!取〜れん!ト〜レン!

と〜れん!レンレン
」の状態でした。しかし考え様に拠ってはこれも運が良い、沖縄の入港時の、珊瑚礁のところで故障したら

最悪でした。ありがとう!お礼に今晩、お神酒でもって誘いましたが体を壊し、今はは止めたそうで酒席をけられた。

ヨットを係留した荷揚げ岸壁の前に、民宿「はまゆう荘рO9912−2−2477」が有ります。修理作業&魚網除去中から、風が

どんどん強くなって来ました。直ぐ隣の奄美地方は今日梅雨明けですが、トカラ列島海域は明日も強風波浪注意報ですから、

出港以来ずっとヨットの中で寝ていましたが、2〜3日は出港出来そうも無い様子なので、出港出来る日迄、民宿「はまゆう荘」に

泊まる事にしましたので、宮崎以来のお風呂です。体を清潔に保つだけのシャワーじゃ駄目、やっぱり古い日本人は湯船に

じゃぱ〜ん!と浸かる方が、本当にリラックス出来ますから、。今でも風がひゅるるヒュルル(森昌子)と唸り声を上げています、

風速計を見たら30ノット前後表示していますし、

港外の防波堤を潮の飛沫が吹き上げています、

今にも高波が乗り越えて来そうです。

やっぱり2〜3日は駄目かな?民宿で自分の部屋の窓から

アルコールの効いた頭で思っています。因みに民宿の

女将さんの心配りで、目の前にヨットが見える部屋に泊めて

貰っています。とても素晴らしいとは言えない民宿の建物、

窓が強風でガタガタと音を立てています。

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彼の漁船「黒潮丸」
        

28(土)

出港以来の民宿泊まり、ぐっすり寝る。但し夜中の干潮時にロープを点検に行きましたが。

8時、フライングの水野氏より電話有り、天草の牛深に強風波浪注意報の為、3日間缶詰状態だそうですが、でも良いよね〜

温泉三昧なのだから。私も今日は島の温泉に行くつもりです。目の前は荒れた海でも、12日振りの陸上での睡眠、風呂、

エアコンが効いた部屋で天国です。朝飯を食べて船内乾燥の為ハッチを全部開け、又お寝んね後、起こされたら昼飯でした。

寝てばっかりで殆ど体を動かしていないのに、昼ご飯をぺロット平らげる自分が怖い。運動のつもりで、商売では無い

地域住民が管理運営している、コミュニティセンターに併設されている、天然温泉「いこいの湯」へ約20分歩いて行く。

広々と雄大な東シナ海が白波を立てて、風がビュ〜びゅ〜と唸り声を上げて吹き付けます。瞬間30ノット以上の様な気がします、

だってぐぐっと体が押されそうになる時が有ります。
途中道の脇のジャングルに、野生のバナナがなっています、

小さいのでモンキーバナナでしょう。又、南国特有の根っこが剥き出しで沢山地表に出ている、ガジュマルの木も多くある。

温泉に着いたら誰もいない、湯船に温泉も入っていない、近くにいたオバアサンに聞いたら湯船の中に入り、湯を出して、

扇風機を付けて呉れ、至れり尽くせりでとても親切です。鉄錆の匂いがする、とても良いお湯でした。暑くて喉が渇いて何か

飲み物はと探しましたが、この島の中で飲み物の自動販売機は見かけた事は有りません、多分無いのでしょう。

帰りは喉が渇くし、折角体がさっぱりしたのに汗は出るし、と思いながら歩き出したら、西の浜港の港湾工事をしている、

吉留建産のダンプカーが止まって、「乗って行かんかい?」やったあ〜!最近のダンプカーはエアコンが付いているなんて

知らなかった、涼しいし港まで3〜4分で着いてしまった。この島へ来てからは、人の好意に助けられてばっかりみたい。

今船に行ったら、焼酎2本、リポビタンDを1ケース、缶ジュース等を黒潮丸の肥後船長が差し入れて下さる。

雑貨屋らしき店が一件しかない物資調達の不便な島で、これじゃあ逆でしょう?

お世話になったのは、私の方なんですから。お礼はどうさせて貰おうか?困った。!?「人の不幸は、蜜の味」何ちゃって

冗談を言っている私ですが、性格が正しく矯正されそうです。これからは、「人の不幸は、助け時」に変更しようかしら。

旅行から帰った私に乞うご期待!!ここ4〜5日荒れたので、明後日位からは少々風波は収まりそうと皆は言うので、

明日の夕方の気象庁、保安庁の天気、海況予報が楽しみ。結局早くても3泊4日の滞在か?今から民宿の晩飯です、

明日も出港出来そうも無いので、少し多めに晩酌でもして寝ようか。明日は車を貸すから、山の温泉に行って見ませんかと?

民宿の女将さんとオバアサンに言われる、良し明日は行ってみよう!と決〜めた。しかし酔っ払って明日覚えているかな?

明日の予報は海上風警報、波浪注意報でした、残念!

29(日)

今日から大潮、朝から風強く雨、沖の海は白兎がピョンぴょん!やっぱ駄目!

出港出来ない事は無いが宝島迄70マイル有るので、疲れる乗り心地の悪いセーリングは嫌。

贅沢かもしれないが、ワザワザ3メートル以上の波高の海に出る事は無い。

朝風呂に入り朝飯を食べて、「果報は、寝て待て阿呆も寝て待て」「待てば海路の、日和有り」の両方諺を頭に浮かべながら、

昼寝と言うより朝寝の延長でを決め込む、これで朝酒を飲めば小原庄助さんの3点セットだ。

昨日も3食キッチリ食事をとっているし、今日も3食キチンと食べれる筈、元気ガンガンに成りそう。

腹が減ったら起きて、昼飯を食べたら、フライングの水野氏に聞いた楽しみな山奥の温泉、集落で管理しているセランマ温泉へ

民宿の車を借りて行く予定だったが、トカラ列島を奄美大島〜鹿児島と運航している「フェリーとしま」が入港して来たので、

船員に気象報を聞くと、「今晩から波は少し収まって明日夕方から又、波が高くなる」との有り難〜い、ご宣託。

期間限定では「待っても、海路の日和無し?」ここに2泊していて、明日も又波が高くなるなら3泊4日どころか、

4泊5日でも出港出来る保障が無い。(結果的に、この判断は正しかった、説明は伊江島到着の章)

隣の島の保安庁の中之島灯台気象情報のダイアルサービス(099−805−0177)も、電話してみたが今日の気象情報は

テープで流していたが、明日の情報は出てこない。こりゃあ温泉どころではない、このタイミングを逃さず明日の昼までに着く様、

宝島にめざして「いざ行く兵衛〜」で、急遽15時慌てて出港。港外へ出たら確かに風警報&波浪注意報だけの事は有る、

到底楽しいクルージングは期待出来無い。波風が強い為か?15時半隣の中之島を左舷に見る頃、又オートパイロットが故障、

しかしこんな荒れている海上で操舵輪を外して修理なんか、操船不能状態になり危険だし、それに大揺れに揺れて螺子等、

外したりはめたり出来っこ無い。しかも舵が急に凄く重くなる、多分オートパイロットのベルトが切れて、中で絡んでしまったんだろう。

1時間や2時間ならOKだが10何時間もは、結構グッドエキササイズで体に良いが、手が疲れる。

宝島は口之島と同じで人口も少なく六十数世帯で集落も港から遠くめちゃ不便との民宿の女将さんの話。

海象も舵も多少厳しいが危険を感じる程では無いんだし、明日夕方から又この海象なら宝島を飛ばし92マイル先の奄美大島へ

行ってしまおうっと、予定未定で有り決定では無い!一人旅は、自分勝手の融通が利いて良いね〜!

歳を感じましたね、徹夜で一睡も出来ず舵から手が離せないので、トイレも行けず食事も取れない、

風と波が静かなら少々手放しでもOKなのだが、こう海が荒れていては一時も舵から手が離せない。

20時半諏訪之瀬島の南を通過、暫らくして悪石島灯台の青、白との交互の灯光が、波間からだが非常にハッキリ見えだした、

目標物が有ると助かるんです、長時間コンパスだけをじっと見つめているのは結構疲れて来るし、どうしてもウツラウツラとなり、

挙句の果てはハット気が付くと90度以上も方角が違っていたりして、慌てる事が有ります。

しかし、あまり細かい事にこだわると、神経が参ります。繊細にして大胆!シングルハンダーの心得です!!何とか為るさあ〜!

命に別状無い、取り返しが簡単に出来る事は適当に気を抜き、生命に危険が有る、取り返しが簡単に出来無い事は細心の注意

30(月)

いよいよ奄美海域、今年初めての入道雲!ガンガン照りつける太陽!陽の光何てもんじゃない、ジリジリと私の柔?肌を

焦がすのか?と思える程の熱光線の感じ。ああ〜沖縄に近付いたなあ〜の実感しきり。九州でもまだ梅雨が明けて無いのに!





















やっぱり緊張すると、OKなのかね?睡魔って奴は!頭ハッキリ、腹はペコペコで、徹夜航行の後、14時奄美大島の名瀬港

入って直ぐ西側の、南海日日新聞社ビルの近くの、工事中の本船用岸壁によじ登り舫いました。

大潮で、干潮の時間は本船用の岸壁はとても高く、一人では軽業師的技能が必要です。港は広くガランとして使用していない

岸壁は凄く長く、沢山有りますが、ヨットは奥の漁港に頼んで、舫った方が楽で安全かと思います、

入港後に保安庁から聞いた話ですから残念。

トカラ列島中唯一軽油の補給出来る島です、ガソリンスタンドは港近くに数ヶ所有りますが、行くのが面倒なら、

「吉田石油 0997−53−5559」へ電話すれば直ぐ?来て呉れます。

名瀬市は読めば判りますが市なのです、他のトカラ列島の島々とは全然違い賑やかな町です。飛行場だって有るもんネ!

港近くにはイワユル何でも有りますから、買い物等に不便な事は有りません。早速、オートパイロットを分解すると、

やはりベルトが切れて絡んでいました、これでは舵が重い筈です、予備のベルトに交換OKかと思いきや、今度はクラッチが滑る、

調べたら細いシャフト止めのピンが折れている。メーカーに問い合わせたら、安全ピンの様な物で代用は効かないとの事、

駄目だこりゃ〜!再び舵柱から舵輪とオートパイロットを外して、予備に持っているフライング水野艇長推薦の、

新型マークUの駆動部分全部を交換する事に。ところがドッコイそうは問屋が簡単に卸さない。取り扱い説明書が英語だったので

気が付かなかったが(馬鹿な言い訳)取り付けには電気ドリルで穴を開けなければ駄目な構造、困った、困った、こまどり姉妹

マイッタ!参った!マイルドセブンです。今から充電してても時間食うし、しかし電気ドリルを探すしか無い、

ボヘミアンは先刻ご承知だと思いますが、整理整頓を最も苦手とする船じゃなく私か?タイプ、船内を探せど探せど出て来ない

「ハートのエースも出て来ない〜」。今は亡き?無き?キャンディーズも苦笑いか?

ココ一番カレーハウス」とばかりに、早速困った時の水野参り!「水野さ〜ん!僕の電気ドリル何処に仕舞って有ったかね?」

度々水野艇長には私の船の修理を手伝って貰っているので、ひょっとしたらの甘い考えは見事、当たり前に壊れました。

「そんなの俺が知るか?!」でパッパラパ〜!人に頼った私が馬鹿だった、今頃気付きました。

ところが、水野氏の長崎からの遠隔操作手配により、鹿児島の今井氏より電話が入り「電気ドリルの手配したから、

安心して少々待て」天からの有難〜い、お言葉に聞こえました。又も地獄で仏!一人旅でオートパイロットが無いのは地獄です、

特に徹夜航行には欠かせません。待つ事1〜2分電話が有り、早速歩いて3〜4分の名瀬警察署近くの

「ヤスダバイク 0997−53−8235」へ電気ドリルを借りに行くも、ど素人がやるより私がやってあげるとの嬉しい申し出、

有難くお受けして船より舵とオートパーロット一式店まで持って行き、穴を空けるだけでなく組み立て迄、

結局全部面倒を見て頂いてしまった。しかも、帰りは暗いし荷物が有るからと言って船迄、車で送って下さいました。

水野、今井、安田さん「本当に有難う御座いました、助かりました」船に帰ってからの舵柱への取付穴が上手く合わず

30分位悪戦苦闘。
これが終わったのが20時少し前、前日から寝て無い、食って無い状態の自分にハッと帰る。

生ビール3杯に、刺身定食を近くのレストランでとり今日は2日分の睡眠7時間は取るつもりで

21時過ぎにはお寝んね!明日も4時出港予定ですから。

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