地球は小さいが、世界は広かった

港の岸壁で現地の人々と酒を飲み交わす。
2年間の航海中、「酒と笑顔はパスポート」をモットーに
世界各地で友人を作った。



ヨットで「単独世界1周」というと、何か大変なことをしたように思われますが、自分の気持ちの中ではちっとも大変なことではなかったと思っています。
たいへん不遜に思われるかもしれません。
しかし、世界各地で会った長距離航海をしているヨット乗りは、皆そんなふうに肩に力が入っていない人々ばかりでした。
私の場合は、社長の椅子を退き、肩書きが無くなった一人の人間に何ができるのか試したかったのと、地球という星を自分自身の力で回りたかったから思いついたことにすぎません。

そもそも私の場合は「冒険をしよう」というのではなく、「遊ぼう、エンジョイしよう」と思って出た旅でした。
とにかく、のんびり世界を回って楽しみたかった。
普通は飛行機で行くところをヨットで回ったというだけです。
寄港した先々で家族と合流し、様々な観光地も回りましたし、色々美味しいものも食べました。

日本へ帰港した時、「私の遊び」のために多くの人たちが出迎えてくれ、嬉しいやら恥ずかしいやらというのが実感でした。
出迎えてくれた方々には本当に感謝しています。


「遊び」ですから、決して無理はしませんでした。
天候の悪い時は出航せず、「安全第一」をモットーに航海してきました。
平均速度4〜5ノット、自転車ぐらいのスピードで世界一周をしてきたのです。

そんなスピードでも、2年あれば地球を一周できてしまいます。
しかも途中の寄港地で道草ばかりしてきたのですから、実質もっと少ない時間で回ってしまったわけです。
つくづく「地球は小さい」と思いました。

しかし、訪れた国々の文化、風習、考え方は実に様々で、日本の常識が通用しないことを痛感させられました。
2年間の航海で回れたのは、わずか23ヶ国。
たったそれだけの国でも、言葉が違えば民族も違います。
豊かな国もあれば貧しい国もあります。
しかし、それぞれの国で、人々は生活をエンジョイしています。
日本を基準とした「幸福」は、決してワールドワイドなものではありません。
あらためて「世界は広い」と考えさせられました。

というわけで、「地球は小さいが、世界は広かった」、これが私の世界一周の感想です。




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