ボヘミアンIII回航記(碧南→紀伊水道→瀬戸内海→播磨灘→玄界灘)

*三つの海峡を走り抜けた三又の矛*                                           投稿者、旧ボヘミアン新オーナー深谷 幸雄

2005年1月22日 03時、ファーストマリンの関口氏と私の乗ったボヘミアンIIIは渡辺さんとそのフラッシュに見送られながら、
碧南ヨットハーバーを出航した。伊勢湾に関しては大きなチャートしか用意できなかったので、
本船の行く方向について行きながらの航行であった。 神島を右手に観て行く頃にやっと夜が明け始め、
本船の提灯行列に加わっていった 舳先をまっすぐ潮岬に向けスターボードのブロードからビームリーチで機帆走する。
本船の方がむしろ岸沿いに行っているが、漁網にも本船にもあたらないのでかえって気楽に航行できる。
鳴門海峡の潮に合わせるために、ややエンジンに負担をかけることになるが速度を維持して航行した。
そのためか予想以上に燃料が減ってしまい、串本港に寄港して給油することにした 薄暗がりの中をアプローチし、
ガソリンスタンドの明かりを頼りに着岸すると、スタンドの明かりが消え始める。
やっと駆け込んで給油をしてもらえることになった、ラッキーである。
給油しながら目の前の食堂で晩飯にしようぜと話していたらこれもまた電気が消え始めてしまう急いで駆け込んだが、
こちらの方はいつもはもっと遅くまでやっているのだが、急用ができてどうしてもだめ、ということだ。
仕方がないのでしばらく歩いたところの食堂に入った 餃子と野菜炒めとキムチオムライス(何という取り合わせだろう)
これがまたうまいときたラッキーラッキーですぐ出航。紀伊水道を一路鳴門に向かうが、
向かい風の結構な波でバンバンパンチング、鳴門の潮に合わせるため速度を落とすわけにも行かず無理をさせてしまう、
しかしこのトリマランはなんて安定しているのだろう 大きな波に果敢に切り込んでいくトライデント(三又矛)
にほれぼれとしてしまった。

鳴門海峡
鳴門海峡に近づくと波も風も収まり、夜明けの薄もやの中を鳴門大橋をくぐり抜ける

それでも結構な流れの中で、右に左に振られながら無事通過 第一関門突破である 次は備讃瀬戸航路 
やや靄のかかったべた凪の航路を本船に混じって航行する、時間があれば寄ってみたい島が次から次へと現れる。
寒さの中で飲む熱燗がこれまた最高!!もう病み付きになりそうである。

宮の窪瀬戸

そうこうするうちにそろそろ来島海峡に近づくが、このままの行程では逆潮で通過不可能。
その上明日の朝まで燃料は持たないと来る 急遽伯方港に入港し給油することにした。
渡辺さんやスタンドに電話をかけ、閉店をしばらく待ってもらうことにしてエンジン全開!港に滑り込む。
指示されたフェリー埠頭にアプローチしようとしたら、後ろから恐ろしい勢いでフェリーが入ってくる。
その上どけどけのものすごい警笛であおられてしまう やっとこさ脇にどけて、フェリーが着岸したのでやれやれと
その先の桟橋に着けようとしたらもうフェリーが出航してくる。これもやっとこさ避けて開いた埠頭に着岸した。
あのフェリーはタッチアンドゴーの競技でもしているのだろうか?そのあと来た高速艇も着岸したと思ったら、
客が乗るとすぐ出航してしまう 舫はしていないような速さである びっくりびっくりである 我々も給油が終わるとすぐに
離岸して、来島海峡の隣の宮の窪瀬戸海峡に向かう 潮止まりの30分前に入っていったが、すごい向かい潮で、
全開にしても4ノットがやっとである その上狭い海峡を本船が全速で追い越していく、その上向こうからも本船が入ってくる。真っ暗の中を本船の「この船は何だ」のサーチライトに照らされて目くらましされ、波に翻弄されながらやっとの事で
海峡を通過した、もうここは通りたくない超びびりまくりの海峡であった。それでも第二関門突破である

関門海峡

これから先は夜の本船の提灯行列に加わり一路関門海峡である。航路の中央をスターボードのビームリーチで進む、
本船はスターポートサイドを追い越し、ポートサイドをすれ違っていくのでかえってストレスがなく、順調な機帆走であった。
朝靄の小雨の中を関門海峡に近づいていくと、警備艇が後ろから追いついてきて伴走する 何か不審に思っているのか、
セイルをあげたままなのが気に入らないのか、仕方がないので外に出て手を振ってやった、
そうしたら安心したのか知らないが追い越していった。関門海峡の入り口でセイルダウンしいよいよ海峡通過である。
靄の中を追潮で13ノットほどの速度で通過する。

海岸沿いの道を走る車にそれほどの差もなく、気持ちよいスピードである。海峡を出たところでセイルを揚げて
一路博多に向かう 第三関門突破である
一路西に進路をとり、玄界灘から南に下りて夕闇の博多港に入港し、
マリノアヨットクラブのハーバーにドッキングした。
こうして三つの海峡を一気に駆け抜け碧南から博多への回航は終わった。
これから上架し化粧直しである(下の写真) そしていよいよ先島諸島、西表島へのシングルハンドが待っている

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