高学年受け入れの手法(2014年12月15日)

児童健全育成指導士 田中 純一

 

  高学年のアイデンティティ 1 クリスマスツリー作りから

 放課後児童クラブに高学年を受け入れる場合の手法開発を考えてみたい。狭い場所でも、高学年が自分たちの存在意義を発揮できることが必要ではないかと思う。

 中越地震の後、私は有明児童センターの子どもたちと手作りクリスマスツリーを作って、避難所に出かけた。

http://www1.tlp.ne.jp/tomoyan/jisin/kasetuvo.html

 これを作るのには低学年では色画用紙を折るのにたいへんである。小学校3年生以上なら折ることが出来る。クリスマスツリー作りの色画用紙折りなどを高学年の子どもを中心にやったら良いのではないかと私は思っています。

 なおクリスマスツリーの作り方は以下にあります。

http://www1.tlp.ne.jp/tomoyan/origami/xmas.html

 なお色画用紙はダイソーで昨日、B4サイズ10枚108円で購入してきた。B4は257 × 364 ミリである。茶色と薄緑色の色画用紙を257ミリ×257ミリの正方形に裁断する。次に薄緑色を150ミリ×150ミリと207ミリ×207ミリの正方形に裁断する。茶大1枚・薄緑色大1・中1・小1枚の合計4枚がB4サイズ3枚で作ることが出来る。1セット当たり32円40銭で作ることが出来ることになります。これに飾りをつけても何とか50円程度で手作りクリスマスツリーが出来るのではないかと思います。

 高学年の活躍の場を提供してみたいと思います。

 

   高学年のアイデンティティ2 利他的行為について

 クリスマスツリー作りなどで低学年の出来ない部分を高学年が手伝ってあげるというのは利己的行為だけではありません。他の人が喜んでくれることが嬉しいと思う利他的行為であると私は思います。高学年になると、体力もついてくるので、自分のためだけではなくて、他人のために体力を使うということもとても大切なことです。

 実は働くとは、はたを楽にするが語源の和語のようです。この和語にちょうどあう漢字がなかったので、人のために動くとの造語として国字を日本人が作ったものです。日本人にとって働くとはお金を稼ぐこととは直接関係がないようです。利他的な行為をすることが働くとの意味があるようです。

 高学年になって、体力的に力がついてきたら、利己的行為だけではなく、利他的行為を行い、それを評価されることで、自尊心が高まり、アイデンティティが確立し、将来的にも安定することがあると私は思います。

 

   高学年のアイデンティティ3 草取り落ち葉拾いなど

 利己的行為と利他的行為が比較的一致するのが環境整備である。草取りや落ち葉拾いは自分の利益になるだけではなくて、他者にも喜ばれる。児童館や放課後児童クラブなどでは簡単な草取り・ゴミ拾い・清掃・落ち葉拾いなどの環境整備活動を意識的にしかも日常的継続的に実施することが大切であると私は考えている。

 実は小学校低学年に草取りや落ち葉拾いをさせることに実質的メリットはあまりない。箒は振り回すし、鎌を持たせたら危ない。けれど、低学年の時にたいへんでも経験させておくことが、高学年になって役に立つことになる。低学年のお手伝いはプラスにはならないと思いながら、先行投資と考えておくことが必要ではないかと私は思っている。

 高学年になると、少しは役に立ってくる。この時にきちんと評価してあげれば、子どもの自尊心は高くなっていく。 低学年の時に勤労経験をしなかったもしくはさせなかった子どもは利他的行為を必要であることがわからず、集団の中で利己的行為だけが多くなり、仲間から孤立する場合もあるようだ。

 

   高学年のアイデンティティ4 飛車落ち

 将棋をやる時に実力差がありすぎるときは、飛車落ちとか角を落として戦うことがある。こうした考え方を取り入れることが必要である。高学年と低学年ではあきらかに体力差・運動神経・学力差がある。これをカバーするルールを考えることが必要である。

 オニムをやる時に、低学年はサイドに入れても良いが、上手い子どもは反対の角にしか入れることが出来ないなどのルールを上手くとり入れることは大切である。

 ユニバーサル的な折り紙であるユニット折り紙も、3枚でダイアモンドユニット、6枚で立方体ユニット・12枚・30枚・90枚でくすだまユニットそして2枚ゲジゲジ2次ユニットを使ってもっと複雑なものが出来る。基本的なユニットは一緒だが、難しいものへとどんどん発展させることが出来る活動を増やして、高学年でも低学年でも楽しめるようにすることが必要だと私は思う。

http://www.na.rim.or.jp/~tomoyan/origami/saikorohennkei.html

 

   高学年のアイデンティティ5 一つの活動を発展させる

 折り方をきちんと伝えれば、小学校低学年でもけっこう紙風船などは折ることが出来る。

http://www.na.rim.or.jp/~tomoyan/origami/kamihuusenasobi.html

 紙風船が出来て終わりにしないことが必要であると思う。出来た紙風船に絵を時間をかけて描く子どももいるであろう。大きい風船・とても小さな風船に挑む子どももいる。紙風船ヨーヨーで何回つけるかにチャレンジする子どももいるだろう。一つの活動をそれで終わらせるのではなくて、次々と発展させていくことが必要である。

 基本的なこと(物を大切に扱う、暴力を振るわない、指導中の話をきちんと聞く)などは守らせるけれど、それ以後の発展は子どもたち自身のものである。職員は逆に子どもたちからしっかりと学ぶことが必要となる。またどのように発展するかを職員はある程度予測しておくことも大事である。しかし、その予測通りにならなくても、コロコロコロリンで臨機応変に活動を発展させることが必要であると思う。

 児童館や放課後児童クラブの活動はその点、許容範囲が広い点が良いと言えるのではないだろうか。国社算理音図体と科目に限定されている学校よりは自由である。

 

 

   高学年のアイデンティティ6 短い時間での充実

 学校での活動が長くなる高学年は児童館や放課後児童クラブでも滞在時間は短くなる。活動をある程度特化して、短い時間で充実したものにすることが必要ではないかと私は考えている。学校とは違って絶対にやらなければならないものはない。そこで施設施設で特色を持って、折り紙・ダンス・けん玉・カプラ・詩の朗読・ボール遊び・自然観察・工作などと特定なものに特化することが可能である。また集団としての特化だけではなくて、個々人での特化も可能である。写し絵が好きな子どももいれば、一輪車・あやとり・世界の都市を覚えるのが好きな子どももいる。それに特化することも面白いのではないかと思う。その意味で児童館や放課後児童クラブの職員はいろいろなことに興味があることが良いと思う。でも出来なくても子どもの興味に付き合ってあげることは出来ると思う。

前の職場はローラースケート場があったので、ローラースケートをかなりの時間やっていました。

あることに特化すると他のことが見えなくなる傾向に陥ることがあります。けれどたとえばローラースケート・けん玉・ダンス・剣道・ランニングなど結局は基本は一緒のようです。ですから、特化しても他のスポーツや書道・華道など違った分野のことへも興味は広がるものだと私は思います。カプラも折り紙もきっとペーパークラフトもある意味では一緒だと思います。ただ放課後児童クラブはそんなに時間がないので特化が必要と思います。

私自身はいろいろなことが自由に出来る放課後児童クラブ・児童館の特性をいかして、ボール遊び・カプラ・折り紙・ダンス・海水浴・オニム・バックギャモン・ローラースケート・サッカー・ドッジボール・日記・散歩・社会見学・山野草を食べる会・学習タイム・どうぶつしょうぎ・料理つくりなどいろいろ特化してやってみました。それが長い夏休みなどの活動にメリハリをつけることになりました。

いろいろなことをやるには地域の方々との共催が必要となります。地域の方々の協力が地域の仲間つくりになったようです。悪いことをしている子どもがいれば、自分の子どもでなくても連絡をいただけるような状況が出来ました。今は平島公園でも一緒ですが、無関心でない地域を作ることが防犯上も大切で、子どもの健全育成にも大切ですね。地域と共催行事があるクラブや児童館や学校の子どもたちは極端な危険な行為が少ないように私は思います。人が一人では生きていなくて、他人の温かい目があることを子ども自身が身を持って経験しておくことが大切ですね。多くの仲間が餅つきにはお手伝いしてくださいました。このような中で自分の子どもだけではなく、他人の子どもにも気配りをしてくれる大人が出来ていったように思います。

海水浴は指導する方も命がけでした。それだけ保護者も協力してくれました。自分の子ども他人の子どもとの概念はこの時にはなくなりました。みんなの子どもの命を守ろうとの気持ちでした。考えてみると子育ての仕事はある意味では子どもの命をある時に自分の命よりを救わなければならない状況も考える必要な仕事であるように思います。
 こんな可愛い子どもの命を自分の命より大事と思うのは当然ですが。若かりし頃の写真です海水浴は25年やりました。25年経ったある時に『私の子どもは障害児です。障害児には海水浴は有用ですから、子どもは必ず連れて行ってください。しかし叱らないでください。怒鳴らないでください。私は働いていますから手伝いません』と言われてやめました。時代の変容です。自分のことのみを考えるのが正しいとの傾向が日本にも出てきました。これを突破していく必要があると思います。でも一時中断でした。

代わりにプールへ行くようにしました。プールも危険性があります。でも海と比べれば3分の1以下でしょう。医療機関もすぐそばです。