第5章 「師匠との出会い」 
必殺のスプリットショットリグですら、釣れなかったタコ星人。
だが、そんな彼に、転機と呼ばれるものが訪れようとしていた


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それは、暑い夏の出来事であった。
いつものように、近くの野池へと向かい、釣りをはじめるタコ星人。
そこに、身の丈180cmを越える、大男が現れた・・・

「釣れてますかー??」

その、恐ろしい姿とは裏腹に、気さくな態度で声をかけてきた。

「いやーぜんぜん。色々やってるんですけどねえ」
「あ、そうなんですか・・・」

そういいつつも、その大男は、タコ星人の横でキャスティングをはじめた。
とそのとき・・・


「フィーーッシュ!!」
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いきなり、その男はなかなかのサイズを、釣り上げた。

「な、なぜ!?」
「腕の差だよ、う・で・の・さ!」

いきなり、調子のよくなる大男。
タコ星人は、カチンと来たが、ここで引き下がってはいつまで経っても釣れないかもしれない

「なんか、絶対釣れる方法はないですかねえ」
「あーあるよ、これこれ」

といって、男は、タコ星人にひとつのリグを教えてくれた。
それは、ギドバグはさみであった。(詳しくはセコ釣りコーナー参照)
これは、ザリガニワームのはさみのみを切り取り、マス針にチョンがけする、それはそれはセコい釣りであった。

「ただし・・・」

大男が何かを言っていたが、タコ星人は、聞くこともなく、そのリグをキャストしはじめた。

すると・・・いきなり釣れた!!!

「うおー嬉しい!!」

ところが、あがってきた魚を見てみると、やけに平べったく、口も小さい。それは、ブルーギルだった。
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ブルーギルとは、セコ釣りをすると、必ずと言ってよいほど釣れてくる、戦隊ものの戦闘員みたいなもの(?)で、バスを釣ろうとする、釣り人のやる気をそぐ、大変な生き物である。

「だから、ギルの猛攻にあうって言ったのに」

だが、とりあえず魚の釣れた喜びに、大男の言うこともまったく聞かずタコ星人は、ギルを釣り上げ続けた・・・。

そして、日も暮れた。結局タコ星人は、延々ブルーギルを30匹ぐらい釣り上げた。


「し、師匠と呼ばせてください!」
「ああ、いいよ」
「ところで、お名前は・・・?」
「名乗るほどのものではないが。吉野泰正24歳、独身、ホームセンター勤務だ」
「は、はあ、ありがとうございます」

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この出会いが、タコ星人を新たな境地へと導いて行くことを、いまのタコ星人は、知る由もなかった。
ところで、ギルは外道なのだろうか・・・


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