§9 一発芸
「はい。今回は一発芸をやりますです。SSのテーマとはずれてますがね。では最 初の人、どーぞー」 ステージの上でアレーレが景気よく司会をする。 「はい。1番、誠です。シンクロやります」 誠は先エルハザード文明の装置を一つ取り出すとシンクロしてみせる。 装置は鈍く光ると、影に幻燈のようなものを映した。 やんややんや 「2番、シェーラ。火の方術やります」 シェーラはランプを起動させると、炎で絵を描いてみせた。 やんややんや 「3番、菜々美。見抜きをやります」 菜々美は見抜きの芸をやってみせる。 「はーいあなたキライアさん、あなたはナハトくん、そっちはガレスさーん」 やんややんや 「4番、アフラ。風の方術やります」 アフラは風のランプで紙飛行機を自在に飛ばしてみせる。 やんややんや (ナンカテンションヒクイナア...) 「5番、陣内。バグロムと会話します」 陣内は一緒に連れてきたバグロムたちと向かい合う。 「グゲギョグゲ」 「ふむふむ。----皆さん、カツオは陣内様ばんざいと言っています」 「ゲギョゲギョ」 「ふむふむ。----皆さん、イクラは腹が減ったと言っています」 そそうそそう 「うおおぉぉーーっ! なぜ私の芸だけウケないのだぁーーっ!?」 「6番、藤沢。怪力やります」 藤沢は大岩を持ち上げ、投げ飛ばしてみせる。 やんややんや 「7番、ミーズ。水の方術やります」 ミーズは水のランプを使って、水芸をやってみせる。 「ぶわっ! 冷てえじゃねえか!」 「わー、すごーい!」 やんややんや 「えー、では次の人。ファトラ様ですね。では、どうぞぉ!」 「…………」 ファトラは困ったような顔をして、ステージに出てこようとしない。 「ファトラ様、ファトラ様の番ですよ」 アレーレはファトラの手を引いて、強引にステージの上に連れてきた。 「では、8番、ファトラ様でーす!」 「……わらわは誠たちのような特殊な芸は持っておらんのじゃが…」 ファトラは眉をつり下げ、不安な顔をする。 「だめですよ。何かやらないといけません」 「しかし…」 「じゃあ、ストリップでもやったらどうです?」 「そんなマネができるか!」 「じゃあ、どうするんですか?」 「うぅぅむむ…」 口をつぐんで悩みファトラ。 「こらー! 早く何かやんなさぁーい!」 「てめえ、早く何かやれえ!」 客席から容赦ないヤジが飛ぶ。 「ううううう……」 「さ、ファトラ様。何かやって下さい…」 「ううううう……。よ、ようし。 8番、ファトラ! 神の目を使います!」 「げええ!」 ファトラは神の目を使う。 次の瞬間、会場は吹き飛んだ。(ナンデ ファトラダケデ カミノメガ ツカエルノカハ キカナイヨウニ...)