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■数の個性・子どもの個性  詳細トップ (2013年2月16日)

 『数の個性と子どもの個性そしていろいろな現場での手法』

   児童健全育成指導士 田中 純一

  始めに
 10人十色といいますが、子ども達の個性もいろいろです。いろいろな子どもがいるのですから、一口に子ども理解などと簡単に出来ることなどできません。同様に、数もとても個性的であると私は考えています。このことを理解すると算数数学嫌いが少なくなるのではないかと思います。FBに書いたものをまとめて、かつ数の個性を子ども達と楽しむための活動の手法を紹介したいと思います。

  数の話 1 1番を目指して
 民主党の仕分けで『何で一番でないといけないのですか?』と言った人がいます。男心を理解しない人だなあと思いました。男は一番を求めて頑張っています。学校から児童クラブに帰ってくるときに一番になりたくて争います。女の人から見ればあほらしいことでしょうが、男の子はそういうことが好きなのです。といって一番を目指すわりには、一番にそんなに固執して根にもつわけでもないのが男の子です。
 写真は一番を目指して周回するのですが、はたして誰が一番かは難しい問題です。楕円のコースで追いかけっこをすると、相手に追いつくまで続けなかればならない。途中でやめても良い。そんなレースも取り入れるのがよい。
 言うまでもないことですが、人間の手の指が5本と5本で10本なので10進法を採用しただけのことで、10進法が一番数学的に使いやすいとは限らないことは事実だと思います。船に荷物を積み込むときを考えると10進法より12進法が使いやすい。電気のことを考えれば2進法が使いやすい。また210回かければ1,024となるので1キロビットは1,024ビットだし、1メガビットは1,048,576 ビットとなる。
 10進法が必ずしも数学的に使いやすいかどうか別としても人間は10進法に慣れている。だから小学校も基本は10進法で学習している。そこで10進法での数の個性を考えてみたいと思う。
 10進法を使おうが、2進法12進法あるいは8進法を使おうが1はいつも1である。1は単一なとの意味で、ギリシャ語ならモノとなる。1は個性的で独立的でかっこいいなあと思う。けれど孤独ですね。1であるのは難しいなあと思う。

数の話 2 2は怖い数と私は思う 物の分け方の工夫
 1は孤独な数でなかなか辛いこともある。結果責任は自分でとらなくてはならない。
 2は怖い数だと思う。見た目は2の中の1と1で一緒である。でも現実世界で一緒ということはめったにない。どこかが違う。そこでトラブルとなることが多く、難しい。
 仕事をやる場合で考えてみると、一方が圧倒的に権限のあるときはそれほど難しくない。ところが同等の権限だと、誰の指示で動くかとの権力争いが生じる。権力争いにエネルギーが奪われて、やるべきことがやれないことがよくあるものだ。
 2人で仕事をして、失敗すると相手のせいにし、成功すると成果の横取りをすることも多い。ですから、2人よりは3人で関与するのが良いと思う。3人なら21になるから、どちらかに決まる。よほどのことがない限り、一般的には3人目は11になった時にどちらかについた訳で、決定の結果責任を負うことを拒否は出来ないだろう。
 2が怖いのは、平等に分けてもどうしてもちょっとした差がつくことはあるだろう。この微妙な差が諍いのもとになることは多いものだ。カステラを分けるときでも、ジャンケンをして買った方が半分にし、負けたほうが先にとるとかの、反対に負けた方が半分にし、買った方が先にとるとか工夫が必要ですね。
 2という数字はトラブルがついてまわると考えておいたほうが楽かなと思います。二人の話し合いは怖いから、3人以上にしておくことがベターと思いますね。でもまあ『一人口は食えぬが二人口は食える』との諺もあるので、上手い助け合いをすれば1+1が3になることもあるものですが。
 ちなみに2はツーでツィン(Twins)=双子が語源とか?

  数の話 3 3はたくさんの意味だとか 二つ以上の指示をしない
 1はワン・2はツー・3はスリーですが、ツーはツイン=双子が語源だとか。そしてスリーはスライスが語源でいっぱいとかたくさんの意味のようです。
 子どもとくに男の子に何かを教えたり話をするときに、1・2、1・2でやって欲しいと小学校の先生や放課後児童クラブや児童館の指導員研修会で、私はいつも正座をしてお願いしています。私及び私に似た男の子は二つまでは覚えられるけれど、三つはスリーですから、どれかを忘れてしまうのです。出かけるときに
「ハンカチ持った。携帯持った」次に
「サイフ持った。鼻紙持った」と言って欲しいのです。『ハンカチ・鼻紙・携帯・サイフ』なんていわれると真ん中の鼻紙と携帯を忘れてしまいます。
 動物の中で人間がオスは狩猟・メスは採取の道を歩んだようです。狩猟に集中した人間のオスは集中力や瞬発力はあるのですが、全体の注意力と持続力は劣るようです。ですから、1・2、1・2と確実にやっていけば、なんとかクリアが可能です。1・2・3まで言われるとストレスが溜まってイライラするように思います。子どもが危険な行為をした時に
「どうしてそんなことをするの?あなたは昨日も今日もそうでした。明日やったら許さないからね。」などと言われても『昨日のことは忘れた。明日のことはわからない。今のことは定かでない』私たちとしては困ってしまうことが多いのです。昨日と明日のことはなしにして、
「石を投げたこの手は悪い。それがわかったあなたはよい子」でおさめていただけるとありがたいと思います。
 なお3人寄れば文殊の智恵と言われる様に、3人はやりやすい数です。私は自分の関与する団体の会長3人制度を実施しています。私のやることはほとんどボランティア的なことですので、責任者3人で相談して物事を決定するのが良い手法と考えています。またそれぞれの人が自分の特技を活かして活動すると上手くいくのも事実です。放課後児童クラブの職員が1クラブ2人の体制が多いけれど、ある程度人数が多くなっても良いから、3人体制にするのがよいと私は感じています。

  数の話 4 4も難しい
 2は対立しやすい数ですが、4はそれ以上かもと感じています。4人になって、3対1なら問題なく決まるのですが、3の内の2は日和見的に動くこともあり、2対1の時の2の内の1よりも結果責任があいまいとなります。
 4が2対2となるともっとまずいことになることがあります。主張の違う2と2が争うのですから、どちらも譲れなくなってしまいます。そんな意味で4は難しい数だなあと思います。
 東西南北は四方ですが、北と南は反対方向の磁力で動いているし、東西も太陽が昇り、太陽が沈むから反対の力です。このような関係においては、4はお互いにケンカをする必要がないから、上手くいくのかなあと思います。
 お金を包む時も難しいですね。4は死に通じるからなのか、4万円を包むことは出来ません。すると3万円か5万円となるので、この2万円の差は大きいように思います。身内でないので5万円でなくてもよいけれど、3万円というわけにはいかないみたいなことがあります。
 算数の世界でも3角形は辺の長さが決まれば、三角形の形と面積は決定します。でも四角形は辺の長さは決まっても形も面積も滅茶苦茶です。
 
そうは言うものも大学も4年制だし、オリンピックやワールドカップも4年に一度ですね。野球も4番打者が一番ですし、四天王と言えば強いものを指すし、4もいろいろですが。 そうだ。生・老・病・死の4苦もありますね。
 四季の中では秋が一番かな。写真は秋の平島公園です。

 数の話 5 5は面白い数  グループワークは5人の小グループがよい
 5は面白い数ですね。グループワークで1グループは5人くらいが一番ベターです。手の指が5本なのかもしれませんが、安定しています。何かを決定する時でも3対2になれば上手い決定が出来るし、賛成の3人にそれぞれ意味があります。一人は提案者一人は提案に賛成する人・もう一人は最終決定の力があります。反対の2人も1人で反対するよりは2人なので孤独でありません。2対1の1人の反対はなかなか孤独です。
 5が3対2なる時と4対1になる場合がありますが、4対1になれば、1の反対派も流れの中で賛成派となり全員一致となります。私は12人の会議で11対1の1になってしまって孤独になったことがあります。全体の状況が見えなくて滑りやすい集団浅慮に陥ったことが原因でした。この場合の反対1は未来に対する投資かもしれません。5の中の4対1の1も孤独ですが、未来に対する投資と考えれば、反対を通すことも必要な時もあると思います。

 5といえばギリシャ語ではペンタですね。アメリカの国防省の建物の形が5角形なのでペンタゴンと呼ばれているのを思い出します。ペンタゴンは5角形5階建てだそうです。5かい建ての各床に環状の廊下があって、一番遠い所からでも10分で行けるとのことである。

 数の話 6 6は安定の数
 6は安定の数と私は思っています。グループワークの小グループの人数は5人〜6人が上手くいくし、小グループも6グループくらいあると切磋琢磨があって面白い。そこで6人×6グループの36人前後(つまり32人から45人くらいまで)の人がいると、子ども同士や大人同士の助け合いや切磋琢磨があってよいと私は思います。
 この観点から30人学級の提案は間違いだと私は思っています。もし40人の学年があったら、20人・20人の2クラスを作らないで、1クラスにして1学年と2学年にまたがって、教員を複数配当にするのがよいと思います。1年生1クラス40人・2年生1クラス38人にして、1・2年生担当の副任(1・2年の学年主任を兼ねるとか)を1人つけるというやり方です。30人学級とは31人になると15人と16人なるので、6人のグループは2グループか3グループしか作れないことになります。
 6が安定系なのは、ペンゼン環が炭素6ヶに水素6ヶで安定していることもあるように思います。
写真は新潟県の南魚沼の塩沢にある北越雪譜を江戸時代に書いた鈴木牧之の記念館です。江戸時代に牧之が書いた雪の結晶も6角形がほとんどです。鈴木牧之を知り、私は日本人と江戸時代のすごさと日本人のよさを学びました。ぜひ見にいく価値のあるところだと思います。
http://www.na.rim.or.jp/~tomoyan/osusume/suzukibokusi.html 

数の話 7 魔法の数 7±2 おはじきで遊ぼう
 人間が一度にどれだけの数を記憶できるかとの実験によると7±2とのことです。おはじきなどを机の上にばら撒いて、すぐに隠し、数えさせないでいくつあったかを言ってもらう等の実験をやります。するとたいてい人は7つくらいまで認知できるとのことです。もちろん±2ですから5〜9までの巾がありますが、7はそんな意味でも面白い数字です。試しにおはじきでやってみませんか?なお、子どもには長時間みてもらい、大人は一瞬にすれば、ユニバーサルで遊ぶことができます。

 カラスの数の認識は4まで位だそうです。お城で悪さをするカラスに不意打ちをかけるために、塔の中に入っていて待ち伏せをしたのですが、4人入って、3人出てもカラスはわかったのですが、5人入って4人出たときに、カラスには理解が出来なかったとのことです。人間がこの点ではカラスより少し賢いかもしれませんね。
 なお写真のおはじきのようにたくさんになってしまうとまったく数の認識は出来なくなりますね。

数の話 8 飛んでる8
 四方八方というように8は飛んでる数のように私は感じます。東西南北までは緊張感があります。でも北東・北西・南東・南西と4つ増えて八方になるとどこに行くかわからなくなりますね。ふと考えたのですが、方角を表す時は北や南が先ですが東北地方は東が先ですね?東南アジアとも言うし、都の西北には早稲田があるし、西郷隆盛は西南戦争を戦ったようです。純粋に方角を表す時が北や南が先で、間違えると困るからそれ以外の表現は東西が先に来るのかなあとも思います。

 八方破れとは隙だらけの意味と常識破りの 型破りの 無鉄砲な 破れかぶれの 出たとこ勝負の 「当たって砕けろ!」 などの意味があるとのことです。そんな意味からも飛んでる数字のように思います。私も八方破れの仲間かな。
 8は1と7・2と6・3と5・4と4に分解が出来ます。数の分解と合成と意味で考えてみても9と同じように分けることができます。9はすぐに5と4分けられるのに、8の方が分解の仕方がたくさんあるように思います。9は平等に分けるには一つずつか、1人で9ヶでしかないのに、8は4と4もあるし、2と2と2と2もあります。そんな意味からも飛んでる数のように私は思います。もし、タコが知的生命体として発達したならば、8進法を使うでしょう。また、8は2の3乗で2進法の仲間でもあるので、コンピューター上では使いやすい数ですね。

数の話 9 9は泣き虫 泣き虫算数
 原子番号9はフッ素ですね。全元素中もっとも大きな電気陰性度を持ち、反応性が高いため、自然の中では単体として存在しないとのことです。原子のK殻には2個の電子が入りますが、2個入るとヘリウムで安定です。次のL殻は8個の電子が入るので原子番号10のネオンも安定で不活性ガスと呼ばれます。フッ素は9なのでもう一個の電子が入るので極めて不安定になるとのことです。
 同様に数字の9も後
1ケで10という安定した形になるので、とても泣き虫な数だと私は子どもに教えています。そして子ども達に『9はなんと言って泣くと思う?』と聞きます。子ども達は『エーン・エーン』とか『ギャーギャー』『シクシク』などといいます。私は『残念。9はね1くれ1くれと泣くんだよ。』すると『2というよい子がいてね。2から1をあげて21になり、910になるんだよ』そして『二つは一緒になって10111になるよ』と教えています。
 9の次に泣き虫なのは8です。『8はなんと言って泣くでしょう?』しばらく考えて子ども達の中で『2くれ2くれ』に気づく子どもが出てきます。そこで8の泣き方の練習をします。
 この次がポイントです。『次に7はなんと言って泣くかを考えますが、答えを絶対に言わないでください』『しっかりと考えましょう。お友達とこそこそ話をして教えあっても良いけれど、私には聞こえない程度で教えあったください』『それではみんなで7の気持ちになってみんなで泣いてみましょう?』と言った感じにします。すぐに答えを求めるのではなくて、遅い子ども早い子どもがいますから、各々が考える時間を待ってあげる手法をとることが必要です。
 人間の指が10本なので910直前なので極めて強い個性があると考えることが出来るでしょう。そして87の個性がわかると子ども達の数に対する理解は深まります。

原子番号と原子の関係で考えてみると、1は水素で2個のK殻に1ケしか電子がないから、すぐに他の原子にくっつきたくなります。2は安定したヘリウム、He単体で存在しています。一番軽い気体ですね。3はリチウムLiL殻に一つの電子です。リチウム電池に使われています。4はベリリウムでよくわからない金属の仲間です。5はホウ素B6は炭素C7は窒素N8は酸素Oで、9がフッ素F10はネオンNeとなります。例えば酸素OK殻に2個の電子が入って安定、L8ヶ電子が入るのに、6ヶしか入っていないので、電子2ケを欲しがっています。そこで原子番号1の水素電子が電子を酸素にやるのですが、電子が二つ必要なのでH2Oで安定な形となります。また原子番号6の炭素はL殻の4ケの電子を放出し、酸素二つの酸素と結合します。そこでCO2が安定します。

数の話 10 10の分解と合成 お風呂で数遊び
 10の数の分解と合成をしっかりと把握することは小学校低学年までにとても大切なことです。10010192837465564738219100と考えることが出来るようにしておくことは、算数教育の基本かもしれません。1991は数学的には一緒ですが、必ずしも子どもにとっては一緒ではありません。順序が違うと違うものになるかもしれないと思うからです。
 同様に2から9までの数の分解と合成も感覚的に理解できるようにしておく訓練も必要と私は感じています。何回も何回も何回も何回も同じことを訓練することは単純作業と馬鹿にすることは間違いと思います。100回、1000回、1万回とやると脳の中で質的変換が起きて、考えなくても物事がわかるようになるものです。このことをおろそかに最近の教育はしているのではないかと私は危惧しています。基本を何回も積み重ねることはとても大切なことなのです。
 子どもとお風呂に入って、親が手を後ろにして23をつくり、子どもに見せて隠します。子どもに『いくつだった?』などと聞いてみる遊びをやってみると定着が図れます。またいつも関係性は相互関係であることによって発展するものです。親が教える立場、子どもが学ぶといった一方的な関係は面白くありません。そこで子どもも同様にするのですが、見せる時間を一瞬にするようにします。大人は脳トレになります。両手の指を後ろ手に隠して、数えている時に子どもは数にどんどん興味と親しみを持っていくものです。


 数の話を書いていてふと思いました。4610は大人は基本的にわかっているでしょう。わかっていることと、子どもが理解できるように教えることは異質のこととなります。小学生を相手にすることは、子ども自身が自分で考えて、行動するように働きかけることです。保育園の年少児童くらいまでは見て学習することが多いので、ちょっと質の高い表現遊びをしてあげると喜びます。ですから小さな子どもを相手にする人たちは読み聞かせや劇や手品などをとても上手くやって見せます。ところが小学生相手は指導者が上手くやることではないので、一見程度の低そうなことをやらなければなりません。指導者研修会などで指導をしていると『その程度のことは私は出来る』みたいな顔をされる方がいます。私は『あなたが出来るかではなくて、小さい子どもにあなたが教えられるかでしょ』と思うことが多々あります。中学生くらいの学習となると大人でもわからないことが多い。高校生などはなお難しい。でも小学生レベルのことは簡単だとみんな思ってしまう。それが学校の教員以外の小学生相手の仕事が評価されない原因ではないかと考え始めている。また小学校の教員も臨時的任用や非常勤的任用も最近増えている。これも同様に誰にでも出来ると考えてしまうからでなかろうか。放課後児童クラブや児童館や学校で小学生の学習意欲を高めるための手法を地道に開発していくことが大切と思う。

 数の話 11 11はなぜJか?
 トランプは1組13枚ですが、111213JQKの絵札となります。Aも絵札の仲間になるでしょうが、1を表しています。なぜJQKは絵札になるのでしょうか?そんなことを考えてみたいと思います。まず魔法の数が7±2であることから、7までは基本的に一目で把握できる数です。次に人間の手が10本なので、10の把握も容易です。また片手が5本なので835945と把握することが出来ます。ところが11となると一目で把握することが出来なくなります。そこで111213は絵札としてJQKとなったのではないかと私は予想しています。
 トランプの遊びの中でナポレオンのゲームがあります。基本的にAJKQ10987の順に強いカードとなります。すると2は一番弱い数であまり意味がなくなります。そこでナポレオンではセーム2といって、全ての札が同じ種類(例えばダイヤのみ)のカードが出されたときは2が一番強くなるとのルールがあります。世の中はこうした逆転のルールがあると楽しいですね。つまりみんなが違って、いろいろだから楽しいとの考えです。
 トランプのカードもジョーカーを入れれば、53枚みんな違ったカードです。でも裏返しにするとみんな同じ模様なので、みんな一緒です。人間としては基本的にみんな一緒だけれど、個性はみんな違う。そしてそれぞれ、強さも違う。けれど助け合って面白くなるみたいにしたいですね。

 

数の話 12 12はやはり12進法
 121ダース、12ダースで1グロス(=144ヶ)、12グロスで1グレートグロス(1728)となる。12だと2×63×4、2×2×3の掛け算のパターンに分けることが出来る。102×5の掛け算しか出来ないのと比べると3倍のパターンが出来ることになる。荷物の積荷を作るときに物は縦・横・高さの3つとなりますから、12進法であるなら、いろいろな積み方が可能となります。また荷崩れを起こすことも少なくなります。私は20歳の頃、運送屋の運転手を燕市でやっていました。洋食器の集荷などをしていましたが、基本的に梱包はダースで入った小箱をグロス単位で大きな箱に入れたものを運んでいました。
 東西南北を考えると北北東とか南南西みたいに12に分けたほうが航海の方向性を示すのに便利ですね。10だと正反対に表現することは出来なくなり時計もこの観点から12時でしょうし、1日は24時間となっています。その意味でも12進法は生き続けるのではないかと思います。
 それにしても単位でわからないのはインチですね。親指の第一関節から先っちょまでの長さ2.54センチで1インチ。この12倍が1フィートで30.48センチ・この3倍が1ヤードで91.44センチ。ここ位までは12と3でわかるのですが、1マイルは1ヤードの1760倍の約1.6キロメートルとなるともうわからない世界になってしまいます。しかもアメリカやイギリスではまだこれで話しているので、時速100マイルなどといわれてもなかなかイメージをつかむことが出来ません。なお1760=2×2×2×2×2×5×11ですね。この数字の意味がわからないですね。

数の話 13 素数と素因数分解 13も個性的
 数にはそれぞれの個性があると覚えると楽しくなります。小学生低学年段階では、9は泣き虫・1はチョーよい子とか1055とか、853または44みたいに認識すると子ども達の数に対する理解が深まります。
 掛け算を習うようになったら、120までの数の個性を掛け算でやるとどうなるかを覚えて数の個性を深めるのが良いと私は思います。素因数分解へとつながるのですが。120までの数で235711131719が素数となります。私はなんとなく13は素数の代表みたいに感じています。別に意味があるわけではないのです。ゴルゴ13の影響かな。

数の話 14 トランプ遊びと数 足して10
 トランプは10までではなくて、JQKまでの13まであります。私は神経衰弱が苦手で本当に神経衰弱になってしまいます。神経衰弱が記憶力がよい子には楽しくても、他の子どもがあまり楽しくないのは、待っているときに暇になってしまうことも一つのゆえんであるように私は感じています。
 『足して10』とのトランプ遊びを考えてみました。ルールは神経衰弱と似ているのですが、神経衰弱と違うのは同じカードを取るのではなくて、足して10になったら取れるというものです。1なら92なら8ということになります。このことで順番が回ってこない子どもも3が出たら、7だななどと考える必要性があり、子どもの学習に役立ちます。もう一つ工夫したのは、10JQKの存在をどうするかです。必要ないといって抜いておくのは面倒です。10JQK2枚で神経衰弱風にするのも面白くない。そこで10JQK1枚出ただけで『ラッキー』でもらえることにしました。3を引き、次にQを引いたら『ラッキー』でQをもらい、また続けます。偶然次に7が出たら、37でもらってまた続けます。2が出てまた2が出たら、ひっくり返して次の順番となります。記憶力はないのだけれど、運だけが良くて、16枚のラッキーカードを上手く引き当てる子どももいるので、楽しくなります。私は遊びの中に、知的能力だけではなくて、運もけっこう必要なものも楽しいと思います。運よく勝つこともあるのです。

http://www.na.rim.or.jp/~tomoyan/asobi/toranpuhtml.html

数の話 15 加法九九(数の個性) 数だけ集まれ
 九九というと掛け算と思いがちですが、足し算の九九も大切です。10進法における足し算が九九であり、2進法では101ですが、1110となります。5進法なら134ですが、1410となります。このように考えると18までの数の個性の中に加法九九に当たるものがいくつあるかを知っておくことは必要なことです。加法九九で面白いのは11は一通りであり、同様に99も一通りであることです。これに対して10になる数は1928374655647382199通りもあります。でも手が10本なので子ども達は覚えやすい。しかし10の周りの911とか812となるとそれぞれ8通り7通りとあります。ここで子ども達はつまずくことが当然多くなることは当たり前のことです。この点を考慮して、何回も何回も何回も何回も繰り返して学ぶことが必要となります。学校だけでは無理なこともありますから、親や放課後児童クラブの指導員などもこんな点を考慮して、楽しく学ぶことができるような手法を開発したいものです。計算カードを使うのも一つの手です。同時に日常活動の中で数の分解と合成の活動をやっておくのも一つの手法です。40人くらいの子ども達に最初は笛を吹いて、笛の数だけの仲間つくりをする。数が7つより多くなってきたら、数字を書いた大きなカードを用意して、集まる数を14とか表示してあげると楽しいように思います。18までやれば、加法九九は完成するわけですから、1920をやる必要はありません。こんな活動をやるためにも1クラスは40人以上が良いなあと思います。また体育館などで、体育の準備体操と算数の勉強と仲間つくりのためにやるのも手ですね。いくら能力が高い子どもであっても、一人で組を作ることは出来ません。自然と仲良しになれるように思います。もちろん、子ども同士の活動の中にはいざこざがあるものです。それを前提にして、活動をするのがよいと思います。アニメ『トムとジェリー』のように子ども達は『仲良くケンカをして』成長するものです。

 

数の話 16 減法九九 引き算は指を使っても良いが数えないで
 加法九九があれば当然減法九九もあります。これも同様に、18は一通りしかなく、109通りです。でも人間の指が10本なので、10の問題をクリアするのは楽です。911812713がそれぞれ876通りあるので間違いやすくなります。減法九九も18までの数ですから、二人の人が協力すれば、指を使ってやることは可能です。でもこの時にやってはならないことがあります。
 137をやる場合に、子どもが10本の指を出し、大人が3本の指を提供することは良い。けれど、13本の指から1234567と指を折り、残った指を123456と数えてしまうのは間違いです。そうではなくて、13本の指から頭の中で7本を数え、7本の指を一気に折って、残りがいくつかを頭の中で考えて(=指を折らないで)答えを6というようにすることが私は大切と思います。このことで76までの数を量として把握できるようになります。また1376の組み合わせであることも気づくようになります。これを何回も何回も何回も何回も繰り返して練習していると、脳の中で計算しなくてもオートマチックにつながるようになります。ですから、何回も何回も何回も何回も繰り返すことは単純なことではなくて質的変化を生むためにとても大切なことであると私は思います。
 私は字が汚かったので、早くからワープロから入って、パソコンを使うようになりました。たくさんの文字を打っている内に、どこの場所を叩くかを考えないで、自由に指が動くようになってきました。ほぼ、頭の中で考えることと、叩くことは一緒くらいです。これは訓練の賜物であると思っています。今度は字を少しはきれいに書く練習をしようと思っています。
 減法九九の文章問題で、注意が必要なことがあると私は強く思っています。それは1899には二つの場合があるということです。18ヶの飴があります。9ヶ食べたら何ヶになるでしょうというとる引き算があります。これとは別に妹が9ヶの飴を持っています。お姉さんは18ヶの飴を持っています。違いはいくつでしょう?との問題です。この時に飴の数は27ヶあることを忘れてはいけないでしょう。そしてまだマイナスの概念がないからおおきいほうから小さい方を引く作業が必要となり、子どもは間違うことが多くなります。

数の話 17 乗法九九 下り九九もやろう
 加法九九の次は乗法九九となります。これも加法九九と一緒で9×981で一通りなので間違いようが少なくなります。乗法九九の覚えやすいものからやるのが一番ですね。
 1の段・2の段・5の段は簡単ですね。九の段もすごく簡単です。9×19 9×218この時に1818を足すと9になります。同じように9×654ですが、54を足すと9になるとの関係性になります。難しいのがやはり6の段や8の段や7の段となります。教え方はいろいろあると思いますが、基本は頭の中でシナプスがつながって、78五十六と無意識に出るようになることがどうしても必要と思います。もちろん7878回足してみたり、図に描いて、72と5だから、58回で40そして28回で16.足すと56になるとか、87五十六だから78も五十六だとかいろいろな方法があることを学ぶことは必要です。でもその後にきちんと定着を図ることが大切と私は思います。  上り九九だけでなくて、下がり九九を出来るようにしておくことも大切です。反対から言えることは定着を図るためにとても大切なことと思います。79六十三、78五十六、77四十九、76四十二、7・5三十五、74二十八、73二十一、72十四、71が七のように下がり九九が出来ると数の個性がはっきりするように思います。
 乗法九九で大切なことは、かけられる数とかける数をごっちゃにしないことです。数学的には5×77×5は答えは一緒ですが(交換の法則によって)内容はまったく違います。  飴を7人の子どもに一人5ヶずつやると、飴は全部でいくつになりますか?というのが5ヶ×7人=35ヶとなります。これを7×5とすれば、7人の子どもが5ケの飴にそれぞれ詰まっていました。飴を開けたら35人の子どもが出てきましたのような意味に数学的になるでしょう。このことを掛け算の習得段階でしっかりしておかないと、割り算で苦労することになります。多くの算数数学嫌いが出てくるのはこれらから発生します。
 0.2×91.8というのは102リットルの牛乳を9人が飲んだら、全部で18リットル必要との意味で。9×0.2というのは実は数学的にはとても難しいのです。割合として考えて、一つの単位が9リットルの牛乳の入れ物があります。そこに20パーセント入っていたら、何リットルでしょう?みたいなことです。これは中学生になってから本来的には学習することでしょう。
 かけられる数の単位(飴の数であるヶとかが)が答えの単位と一緒になることを間違わないようにすることが必要と思います。
 
 基本的な(整数)の足し算・引き算は小学校1年生に、掛け算は小学校2年生、割り算は小学校3年生までに学習することになります。このように考えますと、小学校の教師でなくても、小学校3年生レベルまでのことは子どもに楽しく教えることが出来るようにしてあげたいなあと思います。つまり1〜100までの数の個性を捉えておくことがとても大切と思います。例えば『57』を考えた時に、56余り1とか、十桁の5と7を足すと12になるから、3で割れる。だから57は3×19となる。1〜20までの数の個性が定着しているから、3も19も素数であるとわかる。こんな感じです。98ならば、100から2遠い。一桁目が偶数だから2で割れる。そこで98は2×49となる。49は加法九九で7×7なので98=2×7×7となる。大きな数になった時に偶数なら2で割れる。10の位と1の位の数を足してその数が3の倍数なら3で割れる。1桁目が0か5なら5で割れる。10の位と1の位が同じなら11で割れる。数を掛け算に直せないなら素数である。などの基本を知っていると100までの数の個性を理解できます。算数ってそんなに難しくないのです。そして100までの数の個性を理解していれば、基本的には社会生活でそんなに苦労することは少なくなります。また数学嫌いになることも少なくなります。こんな風に私は思っています。

数の話 18 除法九九
 乗法九九に対して除法九九がある。割り算である。基本的に掛け算の反対となる。乗法にはかけられる数とかける数がある。そして答えの数の単位はかけられる数の単位である。割り算のこの乗法の反対であるから、答えの単位は二つあることになる。この点がとても大切であると私は思う。
 35÷75には35ヶ÷7人と35ヶ÷7ヶの二つの意味があります。前者が等分除で後者が包含除です。35ヶの飴を7人で分けたら、15ヶずつの飴になりますというのと、35ヶの飴を15ヶずつ分けたら、7人に分けられるというのでは答えの単位がヶと人で違うのです。このことが理解できていると少数の割り算がとてもよく理解できることになります。
 0.5÷0,15というのは0,5リットルの牛乳を一人0,1リットルずつ飲んだら5人が飲めることを表している包含除の問題です。これを等分除として、0,5リットルを0,1人で分けることは出来ないのです。包含除を使わないのであれば、割合として考えて、0,1リットルを1と考えた時に0,5リットルはいくつになるでしょうかとの高校の数学の問題となります。中学生の段階では包含除の考えを使った方がベターだと思います。そのためには『35÷75には35ヶ÷7人と35ヶ÷7ヶの二つの意味がある』とのことを小学生の段階でしっかりと理解しておくことが必要です。そのためには5×77×5は答えは一緒ですが、内容はまったく違うことを乗法九九で理解して、除法九九で定着を図ることが必要となると私は思います。

 数の話 19 数の意味そして多重知能理論
『おれは5だよ』と言ったときに、この5には様々な意味があります。数というのはとても抽象的な概念です。逆に数の抽象概念がわかると、多くの理解が進むことになります。5にはどんな意味があるでしょうか?
 一番目として、みんなで魚何匹釣ったとかお菓子何個持っているとの意味で、5匹だよとか5ヶだよと個数を表す場合です。
 二番目にマラソン大会で5位になったとか、背の高さがクラスで5番とかといった順番を表すことです。この場合、数が多くなっても良いことがありませんね。
 3番目が個数ではなくて、量を表す場合です。牛乳が5リットルとか、ガソリンが5リッターとかいいます。この場合には量としての数は個数と違うので、2.32リッターと2.68リッターのように細分化できます。
 5だよ言うときに、良い意味で5段階評価の一番高いクラスを意味する場合もあります。 また55パーセントとか5割とか5倍というように割合を示すこともあります。
 ガードナーは多重知能理論の考え方で人間の知能は概ね8つの多重知能に分けられるといっています。言語的知能・論理数学的知能・身体運動的知能・空間的知能・音楽的知能・博物的知能・対人的知能・個人内知能の知能です。
 一人の子どもの中にもこのように多重な要素があります。同様に、数にも多重な要素があると私は思います。知能指数のように一つで表して割り切ることができないのが、数であり、人間ではないかと感じています。

数の話 20 補数のこと 小グループ作りの工夫
 ある数を考える時に、他の数との関係で考えると数の個性がよくわかる。グループワークで5人を一グループと考えると、26313641465よりも1大きい補数として同じことになる。29343944495よりも4大きい補数と考えることが出来る。逆に2631364146よりも−4の補数で、2934394449は−1とも考えることも出来る。一見無関係であるかのような数も補数という点から考えてみると共通点があるものである。
 1526374859708192などの無関係みたいな数にもそれぞれの関係性を見出すことが出来るのである。
 補数は難しい概念のようであるが、グループを作ったときに、何人が余るかとか足りないかとの問題になる。この解決方法には3つのやり方がある。どうしても同じ数にしたいなら、グループワーカーを足りない数の分だけ入るようにすることである。51グループであるなら、ワーカーを4人にして、足りないグループに充当する。ちょうどの時は(5の倍数であるなら)ワーカーは一人も参加しなくてもよいことになる。もう一つのやり方は4人1組のグループの中の一人はツーパワーにすることである。例えばグループ対抗でジャンケンゲームをやるとすると、4人の中の1人が2回ジャンケンを出来ることにするのである。反対に6人と人数が+1となった時は、6人のうちの2人が合わせて1人分の力となり、ジャンケンのグループとしての力は他のグループと同じになるというものである。
 38人で5人組のグループワークをするときには、55556(1)6(1)6(1)といった7グループを作り、3っのグループは6人なのだけれど、5回しかジャンケンが出来ないようにする。または5555554(+1)・4(+1)8グループを作って、4人のグループにはそれぞれジャンケンを2回できるようにすれば良いのである。
 同様な手法でおやつやお土産やおもちゃにあまりがあるときは、ジャンケンをして、負けたものから順番に早くとり、一つずつとり終わったら、買った人から残りをもらえるようなツールを作れば、けっこう公平感が出てくる。手つくりのキャンディーを4ヶ3人で分けるのなら、例えば二番目に勝った人が最初にとり、一番負けた人が次にとり、最後に一番勝った人がとることになる。また5ヶを3人で分けるのなら、一番負けた人が最初に選び、次に2番が選び、一番勝った人が続けて2つ選び、2番が最後を選ぶとかするのである。6ヶを3人なら、勝った人が最初に選び、2番が次に選び、負けた人が続けて選びとかいろいろな手法があるだろう。でもジャンケンをする前にルールをしっかりと決めておけば、楽しく活動できるように思う。

 終わりに 数の個性、子どもの個性
 1は孤独でもすぐに91をやれるチョー良い子。2は怖いけれど1についでよい子。3はたくさんの意味もあるし、とてもバランスが良い。4は難しい数字だけれど、英語圏での片手の指の数ですし、四季や四方や四天王などにも使われる。5は日本人の片手の指の数で安定系。6はしっかりとしたバランス。7は幸運の数。8は末広がり。9は泣き虫だけれど10進法では一番大きい。10は人間の指の数などと本当に10人十色で個性的です。子ども達のことを考えてみると、泣き虫だけれど最近たくましくなり始めた子ども。優しくて思いやりがあるけれどちょっと積極性に欠ける子ども。無鉄砲な子ども。本当にいろいろです。数も子どもも個性を見極めて、よりよい手法を見つけたいと思って、数についての考察をしてみました。