特に意見の相違が大きい「エヴァンゲリオン」最終話に関する話題です。 「エヴァンゲリオン」を出汁にして、アニメ一般の作品論を展開しています(笑)
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Subject: Re: [EVA] #26 これもまた一つの逃げの
In-Reply-To: tagawat@csce.kyushu-u.ac.jp's message of 4 Apr 96 14:24:22
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Date: Sat, 6 Apr 1996 08:35:14 GMT
辻村@OTSLです。ようやく名古屋でも最終話が放送されました。
[fj.rec.animationの記事 <TAGAWAT.96Apr4142422@mitsuze.csce.kyushu-u.ac.jp>
で tagawat@csce.kyushu-u.ac.jp (Takahiro TAGAWA)さん]
> 作品は作品、作り手はエンターティナーで観るほうはあくまで観客です。
> この関係から逸脱すれば観客の作品評は作品評たり得ません。
「エヴァンゲリオン」を「娯楽作品」としてみればそうかもしれませんが、
本当に「娯楽作品」だったの?
> 鑑賞し終わったあとに「言いたかったことを掴む」なんて作業を観客がやらなき
> ゃいけないってのは一体どういうことなんでしょうね。作り手の意図に思い入れ
> るなんてのは作品の鑑賞や解釈というのとは全く無縁の行為だと思いますが。
ふつう、「純文学」作品は、読み終わった後に、『「言いたかったことを
掴む」なんて作業』を読者がやるものなんですが。これをやらない読者は
> 対象を一個の作品とはみなさない侮蔑的な見方
をしているのではないですか。
> また、そ
> れを要求するようなものはすでに作品とは呼び難い。
逆に、私は、「それを要求しないもの」を作品とは呼べないと思います。
少なくとも「芸術」ではない。
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Subject: Re: [Eva] Final
In-Reply-To: 木津健介's message of 03 Apr 1996 10:39:00 +0900
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Date: Sat, 6 Apr 1996 09:03:36 GMT
辻村@OTSLです。
[fj.rec.animationの記事 <INETNEWS-1-10-2.16727@niftyserve.or.jp> で
木津健介 <KGG03226@niftyserve.or.jp>さん]
> 私もそうだけど、消化すればするほど空腹感がつのるのね。
「エヴァンゲリオン」って、所詮、同人アニメなんだから、
空腹感が満たされなくても、まぁ、仕方ないかな。
商業ベースの同人アニメとしては、よくやった方だと思う。
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Subject: Re: [EVA] #26 これもまた一つの逃げの
In-Reply-To: shuichiro nakamura's message of Fri, 05 Apr 1996 21:19:57 +0000
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Date: Sat, 6 Apr 1996 10:42:53 GMT
辻村@OTSLです。
[fj.rec.animationの記事 <31658E7D.5377@sofel.co.jp> で
shuichiro nakamura <shu@sofel.co.jp>さん]
>> 視聴者の解釈抜きで,何もかも与えるような作品には,
>> おのずと限界があると,私は思います.
> まるで、”何もかも与えるような作品”が、”言いたかったことを掴む作業が必要
> な作品”より劣っている(限界値が低い?)様に聞こえますが?
その通り。”何もかも与えるような作品”は、”言いたかったことを掴む
作業が必要な作品”より劣っています。
例えば「りりかSOS」の最終話。 いちばん最後のシーンがなけれ
ば、名作になっていたでしょう。あの余分なシーンのせいで、興
ざめしてしまいました。「何もかも与え」てはいませんが、与え
すぎている。
> 本当は、”心の物語”としては、「おにいさまへ…」が、お勧めなんですが、
少なくとも、「おにいさまへ…」は”言いたかったことを掴む作
業が必要な作品”だと思います。だから、名作なのです。
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Subject: Weekly Anime Impression (960401-06)
Date: 6 Apr 1996 16:25:15 GMT
Organization: PC-VAN, japan
Lines: 62
Distribution: world
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Reply-To: tuzimura@otsl.oki.co.jp
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X-Newsreader: PC-VAN INETNEWS Ver 1.13
辻村@OTSLです。今回はPC-VANから投稿しています。
4月になってから名古屋で放送されたアニメ番組の感想みたいなことを書い
てみます。
(中略)
4月4日(木)
「新世紀エヴァンゲリオン」
最終話。想像してたほど悪くはないと思う、実験アニメとして。この
最終話の本質は、DAICONのオープニングアニメと同じ。全く変わって
いない。成長のドラマといいながら、ガイナックスが全然成長してい
ないことを自ら暴露している。1〜25話は全く不要で、26話だけが本
質。岡田斗司夫がいないと、庵野は駄目なことを示唆している。
(以下略)
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From: tuzimura@otsl.oki.co.jp (Hiroshi Tsujimura)
Subject: Re: [EVA] #26 これもまた一つの逃げの
In-Reply-To: tagawat@csce.kyushu-u.ac.jp's message of 7 Apr 96 16:38:09
Message-ID: <TUZIMURA.96Apr9125543@shizuka.otsl.oki.co.jp>
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References: <TAGAWAT.96Apr7163809@mitsuze.csce.kyushu-u.ac.jp>
Date: Tue, 9 Apr 1996 03:55:43 GMT
辻村@OTSLです。
[fj.rec.animationの記事 <TAGAWAT.96Apr7163809@mitsuze.csce.kyushu-u.ac.jp>
で tagawat@csce.kyushu-u.ac.jp (Takahiro TAGAWA)さん]
> えっと、私の意図としましては、解釈作業を否定しているわけではなくって、
> 観客が鑑賞にともなって自然に行う解釈作業*以外*の解釈の作業が強要され
> ることを否定しているのですが。
「自然に行う解釈作業」という作業自体が個人差があると思いますが、
私が多川さんからの文章から感じたのは、多川さんにとっては「自然に
行う解釈作業*以外*の解釈の作業」でさえも、「自然」(というか無
意識)に行なってしまう人もいるのだということを考慮されてないので
はないか、と見えたということです。
> もとの議論に即して言えば、一回性の鑑賞はダメで、復習して再鑑賞する必要
> アリというのはおかしな話だ、ということなのです。
単なる「娯楽作品」ならそれ(1回だけの視聴行為)で済むかもしれませ
んが、「鑑賞」ということばには何度も視聴を反復することによって
得られるものを味合うという意味があるとは思いませんか? 娯楽作品
に「鑑賞」ということばを使うのはふさわしくありません。「鑑賞」
ということばを使った時点で視聴行為の反復が含まれる、というのが
私の見解です。したがって、「再鑑賞」という概念はそもそも存在し
得ません。
> 解釈は否定しません。というか、そのレベルでの作り手と観客の相互作用の
> 部分こそ鑑賞だの批評なりが成立する場所だと思います。
要するに、そういうことです。
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Subject: Re: [EVA] #26 これもまた一つの逃げの
In-Reply-To: yamabe@sendai.comtec.co.jp's message of Sun, 7 Apr 1996 06:52:30 GMT
Message-ID: <TUZIMURA.96Apr9181357@shizuka.otsl.oki.co.jp>
Sender: news@lion.otsl.oki.co.jp
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Reply-To: tuzimura@otsl.oki.co.jp
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<TAGAWAT.96Apr4142422@mitsuze.csce.kyushu-u.ac.jp>
<KAGEO.96Apr4224644@celica.hc.t.u-tokyo.ac.jp>
<MURAYAMA.96Apr5095013@harmony2.kobe-u.ac.jp>
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<DpHCFI.115@celery.sendai.comtec.co.jp>
Date: Tue, 9 Apr 1996 09:13:57 GMT
辻村@OTSLです。
私は自分の記事<TUZIMURA.96Apr6194253@shizuka.otsl.oki.co.jp>で、
エヴァンゲリオンについて、何かを書いた訳ではないのです。単に、
「作品」という語に関する一般論を述べただけです。
# fj.books の「ピュアな読書」関連の記事も参照して下さい(もう
# expireされちゃってるサイトもあるかもしれませんが)
[fj.rec.animationの記事 <DpHCFI.115@celery.sendai.comtec.co.jp> で
yamabe@sendai.comtec.co.jp (Nobuhiro Yamabe)さん]
>> その通り。”何もかも与えるような作品”は、”言いたかったことを掴む
>> 作業が必要な作品”より劣っています。
> 私は”言いたかったことを掴む”作品が好きですが、そこで優劣
> まで断言できますか?
「作品」としては劣っていると断言できます。「作品」として以外の
側面(商業的に成功しているか)は優劣がどうなるかはケースバイケー
スだと思います。
まぁ、アニメの場合は、「与え過ぎる作品」はあっても、「何もかも
与える作品」というのは原理的に不可能だと思います(解釈の余地が
全くない作品というのをまだ知らないだけなのかもしれませんが)。
> つまり、製作者が「あとはお任せ」と言って投げちゃうわけです
> から、使い方によってはとんでもないことです。まして、投げら
> れた者が困惑するような暴投では......
これは「何かを掴む作業が必要な作品」じゃなくて、単なる「自慰」
でしょう。で、エヴァンゲリオンは「自慰」だと思うのです。「何か
を掴む作業が必要な作品」どころか、「作品」たりえていない。
> それは”言いたかったことを掴む”作品でもなく”何もかも与え
> る”作品でもないものです。
賛成します。
> 私はエヴァの設定と世界観だけでも満足しますが、作品としては
> 従来の”言いたかったことを掴まなければいけない”作品の域を
> 出なかったということで期待外れでしょう。
私はどうせガイナックスだから、と思って、ほとんど期待してません
でした。最初の数話だけやたらクオリティが高くて、残り大半はクズ
というのが、今までのパターンでしたから。で、エヴァンゲリオンも
そうなりました。予定通りクズになっていますね。
> 大きな反響は残しましたけどね。
そういう意味では、全く無意味なアニメではなかった。
> 偉大なる失敗作ってやつですか。
最初から失敗することが予定されていた、という意味では「成功」
なのかもしれませんよ :-)
>> 例えば「りりかSOS」の最終話。 いちばん最後のシーンがなけれ
>> ば、名作になっていたでしょう。あの余分なシーンのせいで、興
>> ざめしてしまいました。「何もかも与え」てはいませんが、与え
>> すぎている。
> # エヴァの話ではないですが、ついでにちょっと。
> そうでしょうか?
> 私は最後のあのシーンを与えすぎとは思いません。
> 完全に生き返ってみんなとの再開を喜んだり、星になって終わっ
> ていたら、私は容赦無く罵声を浴びせていたでしょうけど。
> あれこそ、どんなラストを選択するかを視聴者に問い掛けるもの
> じゃないんでしょうか。
私は、全てのアニメを子ども向けという枠にはめて評価することは
しないようにしています。最初から、大人の鑑賞にも耐えるアニメ
であることを期待して、評価を行ないます。したがって、最後は、
りりかの生死が不明か、完全に死んでしまったことを暗示する(決
して明示してはいけない)ことで、より名作になっていただろう、
と評価する訳です。少なくとも、生きていることが明示されてしまっ
ては面白み(あるいは余韻)が大幅に減少します。
> 本分である低年齢層の視聴者に安心感を与えながら、ドラマ性の
> 犠牲を最小限に止め余韻を残す。どの年齢層にも配慮したバラン
> スの良い采配だったと思います。
私は、逆に余韻を殺されてしまって、不快感を覚えました。あれさ
えなければ、感動的なラストだったのに。
「りりか」の本来の視聴者(子ども)向けということで、ああいうラ
ストにせざるを得なかったのはわからないでもないですが、世の中、
ハッピーエンドな出来事がそうそうある訳ではありません。不幸な
エンディングを向かえるアニメとしての「りりか」を期待してもい
いと思うのです。
> ”テレビ”アニメの上手な作り方だと思います。
「上手」だとは思いません。妥協の産物にしか見えませんでした。
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From: tuzimura@otsl.oki.co.jp (Hiroshi Tsujimura)
Subject: [EVA] The work which named EVANGERION is art or not ...
Message-ID: <TUZIMURA.96Apr10174130@shizuka.otsl.oki.co.jp>
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Date: Wed, 10 Apr 1996 08:41:30 GMT
辻村@OTSLです。何か思ったより反響があって驚いています。
> > In article <TUZIMURA.96Apr6173514@shizuka.otsl.oki.co.jp>, I wrote:
>>逆に、私は、「それを要求しないもの」を作品とは呼べないと思います。
>>少なくとも「芸術」ではない。
どうも誤解された人が何人かいらっしゃるようです。もう少しきちんと
書くべきでしたね。
私は「エヴァンゲリオン」を芸術だとは言ったつもりはないんです。
「解釈を要求しないもの」は芸術とは呼べないと言っただけなんです。
解釈を要求するからといって芸術と呼べるとは限りません。
要するに、芸術とは何か、ということを簡単に述べただけで、「エヴァ
ンゲリオン」については、あの記事では全く触れなかった(つもりな)
んです。
で、「エヴァンゲリオン」に関して私の思うところをいえば、「解釈
を要求する」という意見には異存はありません。「解釈を要求はする
が芸術と呼べる域には到底達していない」とでもいいましょうか。
ガイナックスは「芸術」を目指している集団だと、私は思っているの
ですが、単に私の思いすごしなのかもしれません。
EVAの25,26話を見て「だまされた」というのは、多くの人がそう言っ
てますし、私もそう思います。人によって期待してたものが違うとは
思いますが、「だまされた」という思いは共通のようです。
25,26話はLD/ビデオ収録時に脚本自体から作り直すそうですが、どう
いう形で決着をつけるのか、興味のあるところです。
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>EVAの25,26話を見て「だまされた」というのは、多くの人がそう言っ
>てますし、私もそう思います。人によって期待してたものが違うとは
>思いますが、「だまされた」という思いは共通のようです。
ここで私が「だまされた」という言葉を使っていますが、 多くのエヴァンゲリオン視聴者がだまされたと感じた理由として、 「数々の謎が解明されずに残ったこと」をあげていますが、 私にとってはそんなのはどうでもいい些細な問題です。 私が「だまされた」と書いたのは、 私が期待する水準に到達しなかった、 単なるくずだった、 ガイナックスに期待するのが間違いだった、 ということで、ガイナックスにだまされただけでなく、 ガイナックスに期待してしまった自分自身に「だまされた」ってことです。 所詮、ガイナックスはガイナックスであって、 それ以上のものを期待するのは間違いだってことがよくわかりました。 もう期待しません。
>25,26話はLD/ビデオ収録時に脚本自体から作り直すそうですが、
きっとくずはくずのままなんだろうな。 いい方向に期待が裏切られること(は、まず無いと思うけど)を祈ります。
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Subject: Re: [EVA] #26 これもまた一つの逃げの
In-Reply-To: tagawat@csce.kyushu-u.ac.jp's message of 10 Apr 96 13:04:19
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Date: Fri, 12 Apr 1996 13:08:37 GMT
辻村@OTSLです。
[fj.rec.animationの記事 <TAGAWAT.96Apr10130419@mitsuze.csce.kyushu-u.ac.jp>
で tagawat@csce.kyushu-u.ac.jp (Takahiro TAGAWA)さん]
>> >> その通り。”何もかも与えるような作品”は、”言いたかったことを掴む
>> >> 作業が必要な作品”より劣っています。
>> > 私は”言いたかったことを掴む”作品が好きですが、そこで優劣
>> > まで断言できますか?
>> 「作品」としては劣っていると断言できます。「作品」として以外の
>> 側面(商業的に成功しているか)は優劣がどうなるかはケースバイケー
>> スだと思います。
>まず、なぜ断言できるんでしょうか?
「何もかも与えるような作品」=
「他に解釈のしようのない作品」=
「受け手の想像力を働かせる余地のない作品」=
「(結果として)受け手に何の影響も与えない作品」=
「最初から作る意味のない作品」=
「くず」
ということです。
>「大人の鑑賞にも耐える」ということを名分として、実は単純に、好みに
>よる評価を行っているだけではないかと思えるのですが。
そのように解釈されても構いません。所詮、評価なんて個人の
主観、好みに支配されるものですから。
# そういう意味で「絶対」評価などという評価はあり得ない。
>> 「りりか」の本来の視聴者(子ども)向けということで、ああいうラ
>> ストにせざるを得なかったのはわからないでもないですが、世の中、
>> ハッピーエンドな出来事がそうそうある訳ではありません。
>「世の中」を持ち出してどうしようというのですか?
アニメ作品って、圧倒的にハッピーエンドが多いでしょ? 全然、
世の中を反映していない。夢や理想を追いかけてるだけじゃ駄目。
今のままのアニメ作品制作が続いていいの? 私は、今のままじゃ
よくないと思う訳です。
>この可能性は否定できませんが、トータルで見れば
>「大人だからハッピーエンドは嫌い」という得体のしれないという主張を
>されているように見えますよ。
違います。アニメの視聴者に対して、もっともっと不幸なエンディ
ングをも供給すべきです。このままでは、変なアニメばかりが溢れ
てしまいます。
現実を見つめるきっかけを与えたり、想像力を鍛えたりするような
作品があってもいいでしょう。今のアニメは、そういった点が十分
ではないです。
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Subject: Re: [EVA] #26 これもまた一つの逃げの
In-Reply-To: tagawat@csce.kyushu-u.ac.jp's message of 15 Apr 96 11:55:34
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Date: Mon, 15 Apr 1996 11:01:57 GMT
辻村@OTSLです。
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>> 「受け手の想像力を働かせる余地のない作品」=
というのが、「何もかも与える作品」の私なりの定義です。
>(対象物としての)作品に対する想像力とはべつに、受け手には作品(あるいはそ
>こで語られたもの)に対する「意見」というものも存在し得るし生まれ得るのです
>が…ごく普通に。
ですから、「意見」が存在し得るなら、それは「何もかも与える作品」で
はあり得ません。「意見」が存在し得るなら、それは「何もかも与えた」
訳ではなく、受け手の中から「何かを引き出している」訳です。
そういう意味で、アニメには「何もかも与えるような作品」なんて存在し
ないのではないか、と言ったのです。もし、「何もかも与えるような作品」
が存在するとすれば、それはクズ以外の何物でもないでしょう。
>> 「最初から作る意味のない作品」=
>…この「意味」って…^^;;
>受け手に何の影響も与えない作品が、最初から作る意味のない作品であるとする
>のはなにゆえなのですか?
では、作る意味があるんですか? 私には作る意味が全く見い出せないから、
意味がないと言ったんです。
> 意味という言葉の内容は、一体なんですか?
「作品の存在理由」ですね。
>アニメ作品が夢や理想を追いかけることに何の問題があるんですか?
「夢や理想を追いかけることしかできない人間を大量生産してしまう」
可能性が大きいこと。まぁ、現状のままでの解決策として、アニメを見
ないという選択肢もありますが。
どちらにしろ、このままではアニメは滅びてしまう。
>ハッピーエンドが変なのかなあ。
違います。ここ最近のTVアニメを見てると、ハッピーエンドで終わる
アニメしか存在しないのが、変だと言っているのです。偏ってません
か?
>#あー、どっかで見たような議論ですが、アニメって現実を教える責任がある
>#んでしょうか? 可能性が否定されないだけで、「責任」なぞは存在しない
>#と思うけど。
もちろん、「責任」など存在しませんよ。今のままだと、自分で
自分の首(将来性)を締めてしまう、と愁えているのです。
>「あってもいい」というのは可能性として否定しませんが、その一般論から
>「りりか」につながってしまっているのは変ですね。
いや、「りりか」こそは、アンハッピーエンドで終わると期待
したたものですから。最終回のAパートは、それを期待させる
ノリでしたから。
>アニメに変なことを期待されているのでは…?
そうなのかもしれませんね。
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Subject: Re: [EVA] #26 これもまた一つの逃げの
In-Reply-To: ryoichi@ct.njk.co.jp's message of 15 Apr 1996 05:02:34 GMT
Message-ID: <TUZIMURA.96Apr15200359@shizuka.otsl.oki.co.jp>
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<4ksl9a$3vs@sunny.njk.co.jp>
Distribution: fj
Date: Mon, 15 Apr 1996 11:03:59 GMT
辻村@OTSLです。
[fj.rec.animationの記事 <4ksl9a$3vs@sunny.njk.co.jp> で
ryoichi@ct.njk.co.jp (Ryoichi Tanaka)さん]
> −A−
>>「何もかも与えるような作品」=
>> 「他に解釈のしようのない作品」=
これは私の定義です。
> この辺は同意できません。
> 「なにもかも与えるような作品」が「なにもかも与えている」
> とは思えません。また、仮に「なにもかも与えている」作品で
> 別解釈が成り立たないとも思えません。
別解釈が成り立つ場合は、「何もかも与える作品」ではありません。
> −B−
> ところで、最初からきちんと読んでいない私
> が悪いのですが、AとBとの関係が解らない
> のですが?
AとBは今となっては無関係です。元々、エヴァンゲリオンの最
終回の評価に関する議論がありました。その中で「何もかも与
える作品」と「受け手側に解釈を要求する作品」の優劣の話が
出て、私が(エヴァンゲリオンの評価の話とは無関係に)「作品」
一般に関してAの主張を行ないました。
一方、上記の議論の過程で、「受け手側に解釈を要求する作品」
としてエヴァンゲリオンを挙げていた人がいたので、それに対
して、「何もかも与えている訳ではないが、与え過ぎている作
品」の例として「りりかSOS」(の最終回)を挙げたのです。
ということで、
> 「なにもかも与えるような作品」=
> 「ハッピーエンド」
> という主張なのでしょうか?
という主張はしていません。
> りりかの場合は「なにもかも与えているような」&
> 「ハッピーエンド」だから不満、と言うように
> とれたのですが。
「りりかSOS」は結果的に「ハッピーエンド」となったが、不幸
な結末 (を連想させるだけで、明示はしない状態のまま=要する
に、最後のカットが省略された形)で 終わっていた方が、(芸術
的に)よかったのではないか、と主張しているに過ぎません。
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From: tuzimura@otsl.oki.co.jp (Hiroshi Tsujimura)
Subject: Re: [EVA] #26 これもまた一つの逃げの
In-Reply-To: endo-h@zizi.cs.uec.ac.jp's message of 13 Apr 1996 10:10:02 GMT
Message-ID: <TUZIMURA.96Apr15222753@shizuka.otsl.oki.co.jp>
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<ENDO-H.96Apr13191002@tremaine.zizi.cs.uec.ac.jp>
Date: Mon, 15 Apr 1996 13:27:53 GMT
辻村@OTSLです。
[fj.rec.animationの記事 <ENDO-H.96Apr13191002@tremaine.zizi.cs.uec.ac.jp> で
endo-h@zizi.cs.uec.ac.jp (Endo Hideyuki)さん]
>>「何もかも与えるような作品」=
>> 「他に解釈のしようのない作品」=
>> 「受け手の想像力を働かせる余地のない作品」=
>> 「(結果として)受け手に何の影響も与えない作品」=
>> 「最初から作る意味のない作品」=
>> 「くず」
>>ということです。
> この世の中には、泣き叫ぶ受け手の襟首をひっつかんで、暗闇の中に引きずり
> 込んでしまうような作品もあるのですけど。
あると思います。
> 受け手の想像力をはるかに凌駕するような作品もあるのですけど。
はい。私は、そのような作品のことを「何もかも与える作品」とは
言ってないつもりなんですが。
この一連のスレッドでは、「何もかも与える作品」とは「受け手に解釈
を要求する作品」に対する言葉として出てきました。それで、このスレッ
ドに関しては、「何もかも与える作品」とは「全く他に解釈のしようの
ない作品」すなわち「受け手に一切解釈の余地を与えない作品」(もし
くは想像力とは全く無縁の作品)と自動的に定義されるもの(と私は理解
しています)として扱っています。つまり、「何もかも与える作品」とは
「単なる論理的な事実の列挙のみが記述され、一切感情に訴えるものが
なく、かつ、それ自体で閉じている作品」に過ぎません(と理解していま
す)。
> 上に引用した=の連鎖は、ごくごく狭い特定の可能性を指摘しているだけで、
> 「何もかも与えるような作品」のうちの特定のもの、つまり「くず」について
> 規定しているだけではないですか?
「何もかも与える作品」の定義を示してください。私の定義と他の人の定
義が違っているようですので。
> 「何もかも与えるような作品」のある評価軸と、「くず」のある評価軸は、直
> 交しているのだと思います。
確かに「くず」は「何もかも与える作品」であるとは限りませんが、
私のいうところの「何もかも与える作品」は例外なく(芸術作品とし
ては)「くず」です。
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From: tuzimura@otsl.oki.co.jp (Hiroshi Tsujimura)
Subject: Re: [EVA] #26 これもまた一つの逃げの
In-Reply-To: yamabe@sendai.comtec.co.jp's message of Mon, 15 Apr 1996 14:27:48 GMT
Message-ID: <TUZIMURA.96Apr19203423@shizuka.otsl.oki.co.jp>
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Reply-To: tuzimura@otsl.oki.co.jp
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<DpwquC.A1q@celery.sendai.comtec.co.jp>
Date: Fri, 19 Apr 1996 11:34:23 GMT
辻村@OTSLです。
この話題の大元の shu@sofel.co.jp さんが全然反応してくれないのが残念。
「何もかも与える作品」を言葉をどういう意図で出したのか説明していただ
けると、すっきりするんですけど。
[fj.rec.animationの記事 <DpwquC.A1q@celery.sendai.comtec.co.jp> で
yamabe@sendai.comtec.co.jp (Nobuhiro Yamabe)さん]
> でも、痛快に明快な「娯楽作品」を「くず」と分類しかねない言葉には納得でき
> ません。
そういう風に受け取る人もいるだろうとは思いましたが、「娯楽作品」
はそもそも「作品」ではなくて、別の尺度で評価するというか楽しむも
のだと思っています。
> tagawatさんに先に言われてしまいましたが、「何もかも与えた上で意見を喚起
> させる」ようなもの、あるいは、「何もかも与えて別の物事を想起させる」もの
> も良い作品にはなり得ます。このへんを見過ごしたのはTsujimuraさんの凡ミス
> ではないかと思います。
「何もかも与える作品」という言葉を文字通り解釈すれば、上記の
Yamabe さんのおっしゃりたいことはよくわかるのです。しかし、
最初に shu@sofel.co.jp さんが使った意味での「何もかも与える作
品」という言葉を、そのような可能性のある作品だとは、私には解
釈できないのです。
# 早い段階でヘッダの References行を削ってしまったのがまずかっ
# たですね。
> 本当にわかってるかなぁ。
> 私の言うのは、ストレートに明らかに「わかる!」という感覚を呼び起こす、
> 音楽で言えばロックのようなメッセージが欲しいってことです。
> 作品ですらなくてもいい。
それはそれでわかるのですが、そういう方向での議論じゃないと
認識してたんです(私だけなのか)。純粋に「解釈を全く要求しな
い作品」という意味で「何もかも与える作品」という言葉を使っ
ていると理解したので、その理解の上での議論を展開しているん
です。
で
> tagawatさんに先に言われてしまいましたが、「何もかも与えた上で意見を喚起
> させる」ようなもの、あるいは、「何もかも与えて別の物事を想起させる」もの
そのような作品は、shu@sofel.co.jp さんのいうところの「何も
かも与える作品」には含まれない、と理解しています。
>> 私はどうせガイナックスだから、と思って、ほとんど期待してません
>> でした。最初の数話だけやたらクオリティが高くて、残り大半はクズ
>> というのが、今までのパターンでしたから。で、エヴァンゲリオンも
>> そうなりました。予定通りクズになっていますね。
>> 最初から失敗することが予定されていた、という意味では「成功」
>> なのかもしれませんよ :-)
> それを言ってしまったらルール違反でしょう。
ルール違反ですか? そうは思わないんだけど。エヴァンゲ
リオンを見て感じたことを素直に書いただけなんですが、
> # 素直にノリに乗ることはできない?
そもそも、ガイナックスのプロダクツは、ノることを拒否
することから(味わうとか楽しむとかが)始まることを前提
に作られていませんか? ノってしまっては、終わりだと思
います。
以下、「りりか」について。
> 幼児向け娯楽作品であるりりかを芸術的な面や演出面で過大評価
> するつもりは全くないのです。
なるほど。私と前提自体が違っているんですね。私は、「りりか」
は娯楽作品だとは思っていません。「りりか」の前の番組である
「チャチャ」は非常によくできた娯楽作品として評価しています
が、「りりか」は第1クールが終わった時点で、娯楽作品たること
を拒もうとし始めています。そしてあの第26話に至る訳です。
>> 「上手」だとは思いません。妥協の産物にしか見えませんでした。
> そうです。妥協です。テレビを“”にしたのはそういう意味です。
> 私にとってりりかはちょっと面白目のテレビアニメであってくれればよ
> かったので、そこに作品価値を問おうとは思いません。
なるほど。
> 私にとってりりかは純粋な「娯楽」「息抜き」の番組であったので、り
> りかに「作品性」だのを問う人の心情がわからないのです。
「りりか」の第26話は「作品性」を徹底的に追求した結果もたらされた
ものだと理解していますので、私は、逆に「息抜き」として見ることが
できるというのが信じ難いです。
> この点で、別の記事に書かれているtagawatさんの意見に全く同意します。
> 「名作」アニメはどんどん作って下さって結構ですが、りりかは基本的
> には「幼児向け娯楽作品」だったろうと思います。
「名作」アニメについては、また違う話でしょう。名作アニメも娯楽作
品も、「作品性」としてはどれだけ評価できるか。私の主張している「作
品」とは、名作アニメでもないし、単なる娯楽作品でもない。娯楽作品
であってもいいけど、それだけでは駄目。単なる息抜きで終わるような
作品が大量生産されるのを想像するだけで、息苦しくなってしまいます。
> だから、生きているりりかを望む人もいたはずです。
> それに、あのまま死んだら単なるカミカゼであって、お国のためにの美
> 談でしかなく、芸術的にもどうなんだか。あの場のノリとしては死んで
> よかったでしょうけど、それで「名作」ですか?
> # ま、どっちでもいいけどね。
いや、生きているか、死んでいるのか、全く手がかりがない状態
で終わる方が、受け手の想像力をかきたてて、「傑作」になって
いたと思うんです。
# ちなみに、「名作」アニメは嫌いです。アニメの持っている可
# 能性を全力で否定しようとしているように見えるからです。
「作品」としてすぐれたアニメを求めているのであって、「名作」
アニメを求めている訳ではありません。
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From: yamabe@sendai.comtec.co.jp (Nobuhiro Yamabe)
Subject: Re: [EVA] #26 これもまた一つの逃げの
Message-ID: <DpwquC.A1q@celery.sendai.comtec.co.jp>
という記事に対する現時点での私の意見を書いておきます。今ごろ、newsに 投稿しても遅すぎますよね。ってことで、newsには投稿しません。
:)> エヴァンゲリオンについて、何かを書いた訳ではないのです。単に、
:)> 「作品」という語に関する一般論を述べただけです。
:)そうでしたか。
:)でも、痛快に明快な「娯楽作品」を「くず」と分類しかねない言葉には納得でき
:)ません。
私には「娯楽」はそもそもくずなんですよ。 「娯楽」はあくまでも「娯楽」であって、「作品」たり得ない。 一級の「娯楽」は「娯楽」に徹するべきで、 「作品」なんてことを意識した時点でもはや「くず」なんです。 「娯楽作品」が存在するなんてのは、幻想にすぎない。 そんなものは存在しないのです。
なんで、多くの人と意見が食い違うのか、今から振り返ってみると、 私はアニメを「娯楽」とは思ってない、というところに大きな原因があるようです。 「娯楽」じゃなければ何なんだ、と言われそうですが、適当な言葉が思い付きません。 私にとって、アニメを見るのは趣味であって趣味ではないですから。 見なきゃいけないという義務意識が頭のどこかにあって、 無理矢理(だけど嫌なわけではない)見ているという気がしないでもない。 アニメについて何か語っておくことは、 TVアニメ誕生とほとんど同時にこの世に生まれた私の義務だ、 みたいな意識があるのかもしれません。自意識過剰ですかね (^^; でも、 昭和35年〜40年頃に生まれた世代には、多かれ少なかれそういう傾向があると、 分析しているのですが。 昭和34年以前の生まれの人たちとの意見の対立は日常茶飯事だし、 昭和47年以降の生まれの人とはメンタリティ自体が違うような気がしてならない。
:)> 最初から失敗することが予定されていた、という意味では「成功」
:)> なのかもしれませんよ :-)
:)それを言ってしまったらルール違反でしょう。
:)# あなたが大人なのはわかってますよ。
:)# それとも、お化け屋敷でお化けの人形を壊して回るひねくれた子供?
:)# 素直にノリに乗ることはできない?
なぜ、ルール違反なのでしょう? 斜に構えてアニメを見るというのが、 そんなに排斥されることなんでしょうか? そもそも「エヴァンゲリオン」は素直に見られることを拒否する思想で作られていたはずです。 どちらかというと素直に見る方が間違ってます。 素直に見ちゃ、いけないんです。 ましてや、ノってしまってはいけません。
# 「乗っているのは彼」常に冷めた目で突き放すように観察しなければなりません。 そういう態度が、上記でいうところの「義務」から生じていることは確かですが、 今回はアニメ自体がそれを要求していました。 「エヴァンゲリオン」が本当にアニメの総決算を目指していたのなら、 当然、そういう見方をされることを考慮しないはずがありません。 製作しているのは、他ならぬ「昭和35年」世代なんだし。 ガイナックスの事前宣伝には、 むしろ、そういう見方を推奨している節さえありました。
:)私にとってりりかは純粋な「娯楽」「息抜き」の番組であったので、り
:)りかに「作品性」だのを問う人の心情がわからないのです。
アニメを「娯楽」や「息抜き」程度のものとしてしか見ない人とは、 意見が合うはずもありませんね。 アニメって、その程度のものなのか。 確かに、現状のアニメを見てると、否定するのは困難ですけどね。 悲しいなぁ。
さらに追加。 「幼児向けアニメ」だからといって、本当に「幼児向け」な作り方をすべきか、 というと、そんなことはない、 特定の年齢を意識することのない作り方をすべきだ、 場合によっては「大人向け」の作り方をしておいて発表するときは「幼児向け」ということにする(騙す)、 なんて方法も容認されると思います。
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From: tuzimura@otsl.oki.co.jp (Hiroshi Tsujimura)
Subject: RIRIKA SOS + Re: [EVA] #26 これもまた一つの逃げの
Message-ID: <TUZIMURA.96Apr19220706@shizuka.otsl.oki.co.jp>
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References: <4knes3@news.casio.co.jp>
Date: Fri, 19 Apr 1996 13:07:06 GMT
辻村@OTSLです。newsにフォローを投稿するつもりが厚目さんにmailで
リプライしてしまいました。改めて、投稿し直します。
# 「りりかSOS」の話題が盛り上がるとは思っていなかったので
# ちょっと嬉しい
:Date: Mon, 15 Apr 96 17:56:53 JST
:From: tuzimura@shizuka.otsl.oki.co.jp (Hiroshi Tsujimura)
:Message-Id: <9604150856.AA01986@shizuka.otsl.oki.co.jp>
:Subject: Re: [EVA] #26 これもまた一つの逃げの
[fj.rec.animationの記事 mumble で
atsume@casiogw.rd.casio.co.jp (Masato-lilica-Atsume)さん]
>> 「何もかも与えるような作品」=
> まあ、何もかもってのが難しいですが、
ううむ。「何もかも与える作品」の定義として、私は
>> 「他に解釈のしようのない作品」=
>> 「受け手の想像力を働かせる余地のない作品」=
というのを考えているのですが、他の人は別の定義を考えてるんでしょうね。
> その解釈が受け手の想像力を超えるものだった場合でもですか?
そういうのは、「何もかも与える作品」とは呼ばない、というのが
私の意見です。
> 一つの事象を取ってみても、全ての人が同じ行動を取るわけでは
> ないから、自分とは違う考え行動をとっている作品の登場人物に
> 受け手が何の影響もされないとは言い切れないと思いますが。
だから、そういう作品は「何もかも与える作品」ではありません。
で、アニメはどこかに必ず受け手側の解釈が入る余地があるので、
「何もかも与える作品」は存在しないのではないか、とも考えてい
ます。
「何もかも与える作品」とは例えば、
1 + 1 = 2
のような数式がそうです。数学的には意味があるでしょうが、
「芸術」あるいは「娯楽作品」としての意味があるでしょうか?
それを「芸術」あるいは「娯楽作品」として提供することを
>> 「最初から作る意味のない作品」=
>> 「くず」
と表現した訳です。
> 例えば、受け手に何の影響も与えないとしても、息抜きになる
> だけでも作る意味はあるのでは?
「何もかも与える作品」ということば自体の受け取り方が各人で違
うみたいなので、話が噛み合わない訳ですね。
> で、その世の中を反映しなくちゃいけないのですか?
> 私は、世の中がこうであるからこそ、音楽やアニメでは希望が
> あって欲しいですが。
それはそうなんでしょうが、「絶望」を与えるアニメも
もっと存在していいのではないかと、思うのです。現状
では少な過ぎます。
> でも、それぞれの作品のどっちが劣っているなんて断言するのは変
> だし、できないと思う。
「希望」を与えるアニメが劣っているなんていってないのに。
「ウェディングピーチ」や「あずきちゃん」は優れた作品だと思うし、
いろんな人に見て欲しいです。
###
「りりか」は「バレンタインデー」の回で娯楽作品として十分に成功し
ているし、第26話のようなこともできるんだから、最終回は、すごいこ
とをやってくれるという期待が大きかったんです。
> また、「りりか」に関しては、あそこで死ぬ事に意味があると思わないし、
> 生きていた事により、作品として劣ってしまったなんてことはない。
これは趣味の相違でしょうね。生死不明のまま(死んでいる可能性の方
が高い)終わることで、効果的な余韻が残ったと思うのです。芸術の域
に到達していたはずです。
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<_/ (辻村 浩)
Newsgroups: fj.rec.animation
From: tuzimura@otsl.oki.co.jp (Hiroshi Tsujimura)
Subject: Re: [EVA] #26 これもまた一つの逃げの
Message-ID: <TUZIMURA.96May9194645@shizuka.otsl.oki.co.jp>
Organization: Oki Technosystems Laboratory, Inc., Nagoya, Japan.
Date: Thu, 9 May 1996 10:46:45 GMT
References: <TAGAWAT.96Mar30181037@mitsuze.csce.kyushu-u.ac.jp>
<31812641.1B64@sofel.co.jp>
辻村@OTSLです。
[fj.rec.animationの記事 <31812641.1B64@sofel.co.jp> で
shuichiro nakamura <shu@sofel.co.jp>さん]
> こんにちは、中村です。
>> この話題の大元の shu@sofel.co.jp さんが全然反応してくれないのが残念。
>> 「何もかも与える作品」を言葉をどういう意図で出したのか説明していただ
>> けると、すっきりするんですけど。
> これは、私が言いだしっぺではありませんよ。
> たしか村山さんが言い出した事だと思いますが?
あ、そうでしたか。私が今回の話題に関して最初にフォローした記事が
shu@sofel.co.jp さんのものだったのは覚えているのですが、大元は村
山さんでしたか。
> 一応、私が解釈した「何もかも与える作品」の意味を(いまさらですが)述べておき
> ますね。
> (真の大元の意味は、村山さんのみぞ知る、ですが。)
> 話の発端は、エヴァから派生したので、「何もかも与える作品」という意味を以下の
> 様に解釈しました。
> 1:全ての伏線に決着をつける作品
> 2:他に解釈しようのない作品(ストーリーそのままという事?)
> あくまで、エヴァと対比する形で始まった、というのがポイントかと。
> (エヴァは、全ての伏線に決着をつけていない。また、人によってさまざまな解釈が
> 発生した、という事なのでしょう。)
で、1の意味なら
> 「何もかも与える作品」が常に「受け手に解釈を要求する作品」より劣っ
> ているわけではない
と言えると思いますが、2の意味だと
「何もかも与える作品」は常に「受け手に解釈を要求する作品」より劣っ
ている
と言えるのではないか、というのが私の主張です。「他に解釈しようのない
作品」すなわち、「誰が見ても同じ解釈になる作品」というのは単なる事実
の羅列にすぎませんから、そもそも作品ですらない。創作性が少しでもあれ
ば、人によって(創作物によって程度の違いがあるにせよ)解釈が違ってくる
はずだし、そういう意味では「受け手に解釈を要求する作品」になると思う
のです。
> …で、上記の条件を満たし、かつ面白い作品として、おおすみ正秋監督の『走れメロ
> ス』をお勧めしたわけです。
> (他にも、『美女と野獣』や『おにいさまへ…』等も条件を満たしていると思います
> ん!?ディズニーアニメは、ほとんどそうなのかな?)
ですから、私にとっては上記の作品群も「解釈を要求する作品」であり、
それ故に「何もかも与える作品」という訳ではない。特に、「おにいさま
へ…」は「解釈を要求する作品」の最右翼といってもいいでしょう。
> (誰かが、はっきりと「劣っている」と断言していたので、一言、そう言っておきた
> かったのです。)
断言したのは私ですが、結局、「何もかも与える作品」という言葉自体の
解釈が違ってたんですね。それで話が全然噛み合わない訳です。
「解釈を全く要求しない作品」というのは、そもそも原理的に不可
能なのではないでしょうか、アニメにしても小説にしても。なんら
かの創作性がある限り、解釈は一意に定まらず、人によって評価が
異なるものです。人によって評価が異なる以上、絶対的な評価とい
うものは存在し得ず、「絶対的評価」なんて言葉をふりかざす愚を
指摘したりもしました。
私が言いたかったのは
「何もかも与える作品(誰が評価しても同じ結論になるもの、
すなわち、文字通り絶対評価が可能なもの)」はそもそも存在
しない。もし存在し得たとしても「受け手に解釈を要求する作
品(人によって評価が異なるもの)」より(面白みに欠けるとい
う意味で)劣っていることは確実であろう
ということです。
> 私は逆に、”「何もかも与えた上で意見を喚起させない」もの”なんて見た事がない
> です。
私もそれと同じことを主張してるんです。本当に何もかも与えるこ
とが可能かどうかはさておき、 「意見を換気させる」 というのは
「無意識のうちに(作品の要求に応えて)解釈を行なう」ことに他な
りませんから、該当作品は立派に「解釈を要求する作品」なのです。
# 結局、人によって、言葉の使い方が違うだけで、言いたいことは
# 極端に違っているのではない、ということですね。
> ぜひ一度、『走れメロス』等をご覧になってみて下さい。
> 「何もかも与えるような作品」が、必ずしも「(結果として)受け手に何の影響も与え
> ない作品」ではないと、理解できると思われます。
「走れメロス」は「何もかも与えるような作品」でしょうか? 「解釈
を要求する作品」の1つだと思うのですが。
「何もかも与えるような作品」の例として推理小説を挙げていた人が
いましたが、本当に「何もかも」与えている例がありますか? ある程
度、読者の解釈に任せる部分や、小説中の事件の本質とは関係ないと
ころで思わせぶりな記述を入れたりするといったように読者に「何も
かも与えている訳ではない」部分が、必ず含まれています。小説やア
ニメで本当に何もかも与えようと思ったら、すごいページ数、コマ数
が必要なんじゃないかな、記述・描写に一切の省略が許されなくなる
んだから。少しでも省略したら、その省略した部分をどう解釈するか
人によって違ってきますよね。
>> # ちなみに、「名作」アニメは嫌いです。アニメの持っている可
>> # 能性を全力で否定しようとしているように見えるからです。
> ディズニーアニメもお嫌いなのでしょうか?
> ディズニーアニメは、昔はアニメの可能性を拡げていたのですよ。
そう、昔はね。最近のディズニーアニメは、もはや見るだけの価値が
ない。
> で、時がたち、それが普通になってしまうと、今度は保守勢力に見なされてしまうの
> ですよね…。
ディズニーが保守勢力? それは違うと思うな。何か新しいものをつくり
出そうと努力してるのは認められるから。ただ、全部失敗してますけど
ね。
ちなみに、『「名作」アニメ』というのは、ディズニーのことじゃない
です。日本製のアニメのうち、教条主義的なもの、自ら「名作アニメ」
と銘うっているもの、テレビ東京系のテレビ局では決して放送されない
類のもののことです(フジテレビ系のテレビ局でしか放送されないもの、
と言ってもいいかもしれない。そういう意味では、『「名作」アニメ』
という言葉にリンクして「保守勢力」という言葉が出てくるのも自然か
もしれませんね。フジテレビって、アニメに関してはいちばん保守的な
テレビ局だから)。
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<_/ (辻村 浩)
すべての記事が上記のNetNewsアーカイブに保存されている訳ではなく、 いくつか抜けがあるようです。 私の投稿した記事のうちいくつかも、 上記アーカイブでは発見することができませんでした。
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