2001年分です。とりあえず、購入CDをリストしておきます。 感想は少しづつ書いていきます。
私の評価点は低めだが、オーケストラ演奏によるしっかりした内容のサウンドトラック。
恐怖を演出する曲は、非常にバリエーションに富んでいて、 作品を雰囲気を盛り上げるのにも成功している。 日本の怪談のBGMにはやはり生楽器がよく似合う。
しかし、一方で、この作品の至る所に見られたコミカルなシーンに合う曲が少なすぎる。 そして、コミカルな曲にしろ、恐怖の曲にしろ、 印象に残るような曲があまりないなーと感じる。 つまり、「そうそう、この曲、よくかかってたよなー」というものがあまりないのである。
だからと言って、音楽が作品の雰囲気を壊したかというと、 アニメを観ていた時にそんな印象を感じたことは全くなかった。よく合っていた。 劇伴音楽としては文句ない出来だと思う。 でも、映像と切り離して、音楽だけを独立して楽しむ時には、 やや物足りなさを感じるのである。 どの曲も、少々オーソドックス過ぎるというのも、そう感じる理由の一つかもしれない。
ご存じでない方もいると思うので一応補足すると、 RUN=DIMは、フル3DCGアニメーション作品。 3DCGの人物キャラクターがメインの作品としては、 国内のテレビシリーズでは初めてのものだったのではないかと思う。 そういう先進的なこの作品、その人物のモデリングとかコスチュームデザインとか、 他の3DCG作品と比べても、なかなかいい感じに仕上がってはいたが、 格好いいという領域にはまだ達していないと思う。 そして、その3DCGキャラクタの感情表現の演出もまだまだ、 途上段階と言ったところだった。 その結果、正直言って、作品からは、 少々格好悪いという雰囲気がにじみ出てしまっているのである(そうはいうものの、 この作品を私は大いに高く評価しているのだが…。そもそも、少々格好悪いのは、 嫌いじゃないし)。
ところが、このRUN=DIMのサントラときたら、 格好いい風な曲とか、少々小難しい系な曲が主体なのである。 そしてどれも無機質的。作品に合う筈がない。 映像完成度の高いアメリカ系の壮大なSFスペクタクル系な作品には、 結構合いそうだなと思う曲が多数あったが、 RUN=DIMはそういう作品ではない(…などと言ってしまっていいものか。笑)。
作品には結構コミカルなシーンも少なからずあったが、 このサントラが用意したコミカル系な曲は非常にわずかで、 それもフレーズとか地味すぎる。 人情味を感じるシーンもわりと多かったが、 そういうのに合わせるような曲がない。
RUN=DIMは放送時、わりとちゃんと観ていたのだが、 印象に残った曲はまるでなかった。 そんなわけで、サントラを買うのは相当迷ったが、 聴いてみると、やっぱりと思わせる予想通りという内容だった (誰もあまり買わなそうと思い、 天の邪鬼的心理で買っているサントラも結構多い。正直言って、このCDもその一枚)。
せめて、オープニングやエンディング曲をフルコーラスで収録してくれたら良かったのに、 残念ながらTVサイズ。 エンディングは水樹奈々が歌っているがなかなかいい感じ。
場所は南国。基本はコミカルでトロピカル。 それに、ちょっとシュールな雰囲気も醸し出しちゃってちょうだい。
そんな依頼を受けて作った感じのサントラ。 はっきり言って、作曲者はとてもやりやすかったのではないかと推察する。 南国には参考になりそうなユニークな民族音楽がたくさんある。 そして、例えば、スチールドラムという、普段は、 その楽器が楽曲に与える印象が少々はっきりしすぎて使いにくい楽器も、 この曲ではすんなり使える。 それに過去には「パプワくん」のような解りやすいお手本も存在する。 アニメ自体が、シュールな内容だから、南国という枠も踏み越えてまくって構わないし。
そんなこともあってか、 いろんな楽器を駆使した非常に多彩で面白い曲集に仕上がっていると思う。 陽気な曲の中に時折顔を覗かせるシリアス調な曲も生き生きしている。 そしてどの曲も親しみやすいフレーズ。 監督は「わかりづらい音楽」を依頼したというが、 どの曲もすげー解りやすい曲だなーと思う(笑)。
どれも好きな曲ばかりなのだが、少々地味だがM-14(トラック2最初)など推したいな。 ちょっとブレがちに演奏するラッパ風の音色がおもしろい。 あとはM-47(トラック20最初)のいかにもRPGゲーム音楽っぽい曲。 そのわざとらしいほどの「いかにもさ」がどうにもたまらん。