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■遊びの発達段階と子どもへの関わり方 詳細トップ






   

 保育園・幼稚園への入園の時期が近づく2月頃になると、子どもが他の子どもと一緒に遊べないのではないかと心配で相談に来られるお母さんが多い。子どもをなんとかみんなと遊ばせようと誘導するが、子どもは嫌がってなかなか一緒にみんなと遊ばない。
 子どもの遊びの発達過程には@見ている・A援助を受けて遊ぶ・B一人遊び・C並行遊び・D連合遊び・Eルールのある協力遊びとある。(遊びの発達理論に私が少しプラスをしたものである。)遊びをうまく誘導できないお母さんや児童厚生員・保育士などはすぐにみんなと遊ばせることに心を奪われすぎることが多いように思う。逆に子どもが一人遊びや友達と並行遊びを始めているのに大人が関わりすぎて遊びの発達を邪魔していることもあるように思う。遊びのそれぞれの発達段階の中でどのように子どもに関与していくのが良いかを考えてみたい。同時にそれぞれの遊びの発達段階が相互にどのような関係性を持っているかも考えてみたい。


 @見ている段階
 言葉の発達を考えてみるとわかるのですが、生まれてすぐに話を始める子どもはいない。しかし周りの大人や仲間に常に声かけをしてもらわないと言葉は出てこない。静かで良い子どもと思っていたら実は難聴で耳が聞こえなかった。0歳から1歳までの大事な時期に聞くことができないと言葉は発達しない。
 遊びも一緒だと私は考えています。大人や他の子どもが楽しく仲良く遊ぶ様子をしっかり見ていなければ、遊ぼうとする意欲は出てきにくいのではと思います。
 他の子どもや大人が遊ぶ様子を見ていることはとても大切な段階と思います。こういうときはお母さんが遊ばせようと思わないで楽しく遊んでみせてやることが大切と思います。お母さんが楽しげに遊べば子どもは興味を示すものです。
 お母さんがドミノや積み木を高く積み上げ、倒して遊びます。子どもはお母さんが遊ぶ様子を興味深く見ています。一日で遊ばせようと思わないで2日でも3日でも一週間でもお母さんが遊んでみましょう。子どもも次の段階へと進んでいきます。
 

 A援助遊びの段階
 
一人遊びへ発展する前に援助遊びの段階があると私は子どもの現場から感じています。そこで援助遊びを一つの重要な遊びの発達段階と考えています。
 援助遊びとはお母さんや大人・友達の援助を受けて遊びを始めたり、持続したりする段階です。ドミノで考えてみましょう。お母さんがドミノを高く積み上げます。子どもはそれを崩して遊びます。積み上げる・崩す・積み上げる・崩すの繰り返しを子どもはとても楽しく遊ぶものです。十分に遊びの楽しさがわかってきたら、積み上げるのをやめましょう。子どもが自分で積み上げるて崩す遊びへと発展させることが大切と思います。いつまでも援助ばかりをしていると、一人遊びへと発展しません。

 B一人遊びの段階
 ドミノを一人で積み上げては崩し、また積み上げる。そんなことをしているうちに違った積み上げ方をしたり、ドミノ倒しにしたり、おうち作りをしたりと子どもは遊びを発展させていきます。もちろんドミノを投げたりもします。危険でない範囲でできるだけ自由に遊ばせることがこの時期は大切なように思います。お母さんがもっと早くもっと早くレベルの高い遊びをさせようとしないほうが良いと思います。一人遊びを十分に楽しむことが遊びの発達段階では大切です。

 C並行遊びの段階
 一人遊びができるようになると、同じドミノ遊びを他の友達と一緒にやることができます。けれど協力して遊んでいるわけではなく、同時並行で違う遊びをしているといった段階です。この並行遊びの段階で他の子どものまねをしたり、トラぶったりします。砂遊びなどでは砂をかけたり、道具の取り合いをしたりします。危険のない範囲でお母さん達は見守ってあげることが必要と思います。あまり「順番に使いなさい」などの指示を多く出さないほうが良いと思います。


 D連合遊びの段階
 並行遊びが続いていくと少しづつ一緒にドミノをつなげて一緒に遊びだすようになります。児童厚生員やお母さんなどがこの段階で「みんなで一緒に大きな背の高い塔を作ろう」とか「おうちをつなげてみよう」などの声かけをして、少しづつ集団の連合的な遊びの段階へと誘導することもあります。小学生くらいになると自分達で一緒に「長いドミノ倒しを作ろう」などと自主的に始めることができるようになります。
 保育園の年長児童位からは大人の声かけで連合して遊ぶことができるようです。

 
 Eルールある協力遊び
 連合遊びから発展して、一定時間にどれだけのドミノをつなげ、何枚倒すことができるかをチームを作って協力して行う。一番たくさん倒せたチームが優勝となる。といったルールのある遊びへと発展していきます。また自分達でルールを作ることもできるようになります。


 遊びの発達段階とその関係
 遊びの発達段階を私は5段階に分けて考えてみました。大切なことはルールある協力遊びが一番大事だというわけではありません。他の人の遊びを見ている段階・援助遊びの段階・一人遊びの段階・並行遊びの段階・連合遊びの段階のそれぞれが価値があるということです。
 見ている段階ではしっかり他人の遊びを見て学習する力を養うことができます。援助遊びの段階ではお母さんや他の人との親和的関係を結ぶことができます。一人遊びの段階では自分自身で十分に楽しむことができます。並行遊びの段階では仲間のことを見ることができます。連合遊びの段階ではみんなで協力して遊ぶことの楽しさを学びます。ルールのある遊びの段階ではルールを守り、その範囲内でいろいろな工夫をすることができます。それぞれの段階がそれぞれ貴重な意味を持つと私は思います。

 ボール遊びでの発達段階の応用
 ボール遊びも五つの発達段階があると考えるとうまく子ども達を遊びへと誘導することができます。
 見る段階が大事ですから、ボールをついたり投げたりとったりして遊んでみせます。子どもは遊ぶ様子を見て遊びを学習します。次にボールを投げてやる子どもがとる。投げてやるとる等の援助をしながら遊び楽しませます。しっかりとれるようになったら、一人で壁にぶつけたり、ドリブルをしたりして遊びます。
 子どもはだんだん他の子どものボール遊びを見てまねを始めます。並行遊びの段階です。次にみんなで中あてなどの遊びへと発展させます。最後に方形ドッジボール遊びとなります。各段階での遊びを十分に楽しむことでボール遊びが仲良くできるようになります。また人数に応じてさまざまなルールを自分で作っていけるようになります。
 子どもの遊びの発達段階を考え、子どもの遊びの輪と和を膨らませませんか。


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