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児童館の運営とコスト意識   

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 児童館・児童クラブの運営とか福祉というととかく「お金のことをとやかく言うな」という「正論」が巾をきかすことが多い。もちろん老人福祉とか福祉と名前がつくと金銭を問わないでやるのが正しいとの考えが強いのである。この「正論」はあたかも勝ちそうである。でも私は反論したい。
 金銭に執着することとコスト意識をきちんと持つことは別であると私は思う。資本主義の国であれ、社会主義の国であれ、現在は貨幣を通じて動いている。貨幣価値をきちんと認めて、その上で金銭に固執執着しないことが大事ではないかと思うのである。

 福祉に金銭のことをいうのはとよくないと言う人は私から言わせれば一番金銭に固執している人ではなかろうか。自分がどれだけの給与を税金等から支出してもらっているかを自覚していない人ではなかろうか。年収250万円の人なら300万円は事業者負担分も含めて費用はかかる。現在は週休二日制だから1年に240日働くことになる。1日単価は1万円以上となる。それで20人相手にすれば一日あたりの一人の単価は500円となる。実際には建物の維持管理費・電気・ガス・水道とかかるから児童館・児童クラブの一人当たりのコストは1人1日500円では終わらない。多分1000円はかかるであろう。最低500円の仕事をしている自覚があるのだろうか?
 特別養護老人ホームでの一日のコストは要介護4で一人9000円にもなる。これはみんな国民の介護保険料等の税金である。これを自覚した上で老人福祉にお金をつぎ込むことを大事と判断することが大事ではなかろうか。同様に福祉はみんなただと言ってのけて、自分は十分な仕事をしないことが問題ではないかと私は思うのである。


 コスト意識をもつことで事業面でも大きな変容をもたらすことができるように私は考える。児童館では事業を実施して人を集めることが多い。その事業費をどう捻出するかである。
 子ども祭りを計画するとする。盆踊りの地方とやぐらを組む。フリーマーケットをする。出店をだす。宣伝のポスター・チラシを作る。スタッフの打ち合わせやする。200人規模の祭りを考えても費用は5万円くらいはかかってしまうだろう。コストは参加者一人当たり250円である。この不景気・事業見直しの時期にこのような新規事業が認められる可能性は少なくなる。逆に今までこのような事業をやったいたら、経費見直しで削減されることになる。
                            

         子ども祭りのアイディア
 発想を転換してみよう。ポスターやチラシは乳幼児のサークルのお母さんに作成してもらおう。もちろん共催事業だから、乳幼児サークルのサークル費の中から支出してもらう。カレンダーの裏を使えば紙を買う必要はない。フリーマーケットには出店料を500円程度いただくことにしよう。20件の出店があれば、にぎやかになる。1万円の資金もできる。1万円の資金で綿菓子機やカキ氷機を借りる。
 子どもの小遣いは500円くらいである。午後からのクラブ活動の子どもとその仲間や家族が参加してくれれば200人程度の参加が可能である。綿菓子50円・ポップコーン50円・水玉ヨーヨー50円・カキ氷50円・お楽しみお菓子袋100円やフリーマーケットの買い物をすることができる。
 工作の好きなお母さんやお父さんも多い。手作り風車・ドングリネックレスなどを材料費50円で作っておいて100円で売れば50円の利益となる。
 公民館等で太鼓・カラオケ・ダンス・マジック・大正琴・パネルシアターなどのサークルがある。ぜひ共催になってもらおう。サークルの人たちには発表の機会になるので無料で出演してくれるであろう。
 ダンボール迷路・お化け屋敷・くじ屋・ゲーム屋・ヨーヨーすくい・金魚すくいなどのゲームの好きなお父さんがいるものである。参加を募ろう。自分で全て道具を用意してくれて、一回50円程度で子どもを遊ばせ、帰りにその売り上げを寄付してくれる「へんなお父さん」はいるものである。
 地元の商店街とも仲間になろう。焼き鳥屋の出前出店・焼きそば屋が出てくるかもしれない。
 こうした運営にすれば子ども祭りは成功し、しかも売上金で儲けが出る。地域組織活動や(父親クラブ・母親クラブ等)サークル連合会の収益金にし、その収益金で綿菓子機や子どもの遊具を買うことができる。  
                        


    クラブ活動や乳幼児サークルの運営
 コスト意識があると乳幼児サークルや小学生のクラブ活動の運営においても参加者に喜ばれて、事業費を減らすことができる。
 クラブ活動や乳幼児サークルではおやつが喜ばれる。そのおやつまでも児童館で用意することは難しい。おやつ代を集めてそれで対応しよう。おやつにしろ他のものにしろ数が集まれば安くできるものである。箱単位で買えば100円のジュースも半値で買うことも可能である。一人のために綿菓子機を出すのは面倒だが、20人以上のためなら出せる。200円分の砂糖で40ヶ以上の綿菓子でできる。
 ポップコーンも圧鍋で簡単に安く作れる。料理やお菓子作りの得意な人もいる。手作りおやつボランティアグループを結成すれば、みんな大喜びである。万が一の食中毒に備えて、地域組織活動の保険「未来」に加入してもらおう。1年300円程度の保険で事故に備えることができる。もちろん保険料は各自持ちである。自分で保険料を払ってボランティア活動をするから、意欲的なボランティア活動になる。


   児童館・児童クラブの運営とコスト意識といった難しい言い方をしてしまった。児童館・児童クラブ職員は地域の人材や物の発掘コーディネーター的な役割が大事ということになると思う。コーディネーターということになると、クラブ活動・乳幼児サークル・行事活動等をうまくコーディネートし、それらの活動から自主運営の費用も捻出していくことをうまくサポートしていくことが大切ではないかと思うのである。もちろん社会福祉医療事業団・子ども未来財団等々の補助金をうまく利用することもできるようになることも大事である。
 コスト意識を持つことにより、「子どもを遊ばせるのが児童厚生員の仕事。遊びのために予算を獲得する」といった狭い考えから、地域作りという大きな考えへと飛躍することが必要と思うのである。


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