集中するというと、サッカーの応援に集中するとかとかく元気にエネルギッシュなことと考えられがちです。大声をあげて熱心に応援したり、元気に走ったりすることも集中ですが、静かなる集中があることも確かです。子ども達に静かなる集中も経験させることも大事と思います。
このことに気づいたのも新潟大学管弦楽団の定期演奏会のときです。
オーケストラの人たちは公演の前日の夜練習をします。自由練習の時間になるととてもうるさいのです。ドラムの練習・バイオリンの練習・チューバ・トランペット・コントラバス・シンバルンなどなど人の声など消えてしまいます。
ところが指揮者が手をパチパチとたたくとみんなが次々に「シー」「シー」と伝え合って30秒ほどで全体が静かになります。そこで「今日の練習は8時までです。なにか連絡はありませんか」などと話がきりだされます。180人ほどの団員やOBに話すのに女の人の小さな声でも聞こえる体制になります。マイクを使う必要はないのです。

考えてみるとオーケストラの人たちは「アフリカンシンフォニー」のような元気の良いエネルギッシュな曲もやりますが、バイオリンの小さな音もきちんと聞き分ける人たちです。みんなで静かにして集中できるのも当然と思います。
新潟大学管弦楽団の使う「静かなる集中」を私も使おうと考えました。私は今まで大声をはりあげて、こちらに集中させるタイプでした。でもそれだと声も疲れるし、人数が100人以上だと大変なのです。そこで私が手を「パンパン」と2回たたいたら、こちらに集中し、話をやめることを約束させました。そして聞こえない人は聞こえた人が伝え合うことにしました。手をたたいてしばらくして静かになったら、あえて低い小さな声で大事なことを話すようにしました。すると子ども達は思った以上に話を聞いてくるようになりました。こつはクイズの問題をだし,正解するとラッキーなことがあるようなときにこの手法を使うようにしたことです。子どもは何か面白そうなことが始まると思うと静かに集中してくるものです。
小学校の低学年の子どもが多いのであまり長時間この手法を使うことはできません。せいぜい10分くらいです。けれど5分でも静かにしっかり集中できることは子どもの発達のために大事なことだと私は感じています。
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