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■静かなる集中             詳細トップ






    

 集中するというと、サッカーの応援に集中するとかとかく元気にエネルギッシュなことと考えられがちです。大声をあげて熱心に応援したり、元気に走ったりすることも集中ですが、静かなる集中があることも確かです。子ども達に静かなる集中も経験させることも大事と思います。


 このことに気づいたのも新潟大学管弦楽団の定期演奏会のときです。
 オーケストラの人たちは公演の前日の夜練習をします。自由練習の時間になるととてもうるさいのです。ドラムの練習・バイオリンの練習・チューバ・トランペット・コントラバス・シンバルンなどなど人の声など消えてしまいます。
 ところが指揮者が手をパチパチとたたくとみんなが次々に「シー」「シー」と伝え合って30秒ほどで全体が静かになります。そこで「今日の練習は8時までです。なにか連絡はありませんか」などと話がきりだされます。180人ほどの団員やOBに話すのに女の人の小さな声でも聞こえる体制になります。マイクを使う必要はないのです。


 


 考えてみるとオーケストラの人たちは「アフリカンシンフォニー」のような元気の良いエネルギッシュな曲もやりますが、バイオリンの小さな音もきちんと聞き分ける人たちです。みんなで静かにして集中できるのも当然と思います。


 新潟大学管弦楽団の使う「静かなる集中」を私も使おうと考えました。私は今まで大声をはりあげて、こちらに集中させるタイプでした。でもそれだと声も疲れるし、人数が100人以上だと大変なのです。そこで私が手を「パンパン」と2回たたいたら、こちらに集中し、話をやめることを約束させました。そして聞こえない人は聞こえた人が伝え合うことにしました。手をたたいてしばらくして静かになったら、あえて低い小さな声で大事なことを話すようにしました。すると子ども達は思った以上に話を聞いてくるようになりました。こつはクイズの問題をだし,正解するとラッキーなことがあるようなときにこの手法を使うようにしたことです。子どもは何か面白そうなことが始まると思うと静かに集中してくるものです。


 小学校の低学年の子どもが多いのであまり長時間この手法を使うことはできません。せいぜい10分くらいです。けれど5分でも静かにしっかり集中できることは子どもの発達のために大事なことだと私は感じています。   

 
 「静かなる集中」を意図的に取り組むためには、騒ぐときは大いに騒いでよい前提があります。群れ遊びを好む保育園・幼稚園の年中児位から小学校3年生位まではうるさく騒ぐのが商売みたいな時代です。発散させるときは思い切って発散させたほうが良いと思います。サッカー・野球・ドッジボール・缶けり・木登り・縄跳び・ターザンごっこ・一輪車・ローラースケート・おやつ・けんかをしながら、泣いたり、怒ったり、おしゃべりをしたりしています。それを自由に出せるように保証しておいて、ときに静かなる集中をやることが大事だと私は思います。



 上の写真は新潟大学管弦楽団の新1年生による歌と寸劇です。静かな曲を聞いたあとに「オカマ」のお姉さんが出てきて元気に歌って踊って聞いている人以上にやっている人・演奏している人たちが喜んでいます。
 新潟大学管弦楽団の良さは大いに騒ぎ、でも静かに集中することもできるということです。
 児童館・児童クラブの子ども達にもこの両方の集中力を身につけさせることが大事と思っています。

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