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    ■7W4H3E(児童館等活動計画の立て方)              詳細トップ






 


子ども達との活動について6W4H3E(令和5年3月1日)

児童健全育成指導士 田中 純一

子ども達の活動を支援する時の基本的な考え方を整理しておきたいと思って書いています。
 子ども達の活動として提案しているのは、本来、活動は働く・遊ぶ・学ぶと分離できるものではないと私が考えているからです。私は活動のある側面が働くであると共に学ぶでもあり遊ぶでもあると思います。働くは和語の「傍を楽にする」が語源です。活動には人の為に動く要素があります。それが働くになります。遊ぶは「荒ぶ(すさぶ)」が語源で心が高揚しうきうきすることです。学ぶは「真似ぶ」で真似をすることです。遊ぶと言われることも、遊ぶ所を整理整頓して働き、遊び方の真似をして学び、友達と楽しくうきうきと遊ぶとの一連のプロセスであると思います。また私たちが子ども達の活動を支援して働く場合でも、子ども達から学び、子ども達の創発性を感じながら共に遊ぶ(心をわくわくさせる)ことは大切なことです。同様に学習も真似るだけではなくて遊びと働きが包含されています。 昔は5W1Hと言われていました。学生さんたちの授業で支援案の書き方を調べていたら、ビジネスの世界では6WHとの考え方があると学びました。何時(When)・どこで(Where、)・誰が(Who)・何を(What)・何の為に(Why)・どのように(How)やるかだけではなくて、誰に(Whom)とどの位の費用がかかるか(How much)を入れるとのことでした。私はこれに時間(How long)と人数(How many)を入れてみました。また安全教育(Safety education)と緊急事態体制(Emergency situation system)を加えて6W4HSにして提案しました。
 令和5年に入り、子ども達との活動を通して、教える側と子ども達との相互交流が新しいものを産むことが大切と感じ始めて、創発性(Emergenceを追加しました。安全教育(Safety Education)・緊急事態体制(Emergency situation system)・創発性(Emergence)がEなので6W4H3Eとして再提案してみたいと思います。
 W4H3E WhenWhereWhoWhomWhatWhyの6WHowHow longHow muchHow many4Hsafety EducationEmergency situation systemEmergenceの3E=何時・どこで・誰が・誰に・何を・何のために・どのように・どのくらいの時間で・いくらかけて・何人を・安全教育・緊急事態体制・創発性)を考えてやってみようとの提案です。
※3月9日にいろいろ考えていたもう一つWを増やしてみました。それはWayです。一般的に何か活動をやる時は一つの活動にします。しかし多様化する時代になって一つのことに固執するのは難しいとわかってきました。私は放課後児童クラブ担当を31年間やりながら同時に児童館活動もしてきました。児童館活動ではサッカーとかローラースケートとか春休み工作とかをやる場合にやりたい子ども達がやってきてやるものです。やり方としては目的性がはっきりしているので援助や指導が楽です。しかし放課後児童クラブの場合は保護者の都合でクラブに来る場合もあるので、児童館とは違った要素があります。そこでWhat(何を)やるかの時に好きでなくてもやってもらわなくてはならないこともあります。そこで何か活動をやる時に内容を一つではなくてサブチャンネルのWayを用意しておくと楽になると感じます。そこでWayを追加して7Wにしてみました。詳細はWhat の後に追加します。 
Whenへの提案
 日本は四季に富んだ国です。春夏秋冬の呼び名の語源には諸説あるようです。折口信夫さんによると春(はる)は魂張るから来ていてとのことです。春は新しい生命が晴れ晴れと発散拡大している時期のようです。夏(なつ)は魂を撫づが語源でないかとのことです。故に祭りや魂の鎮魂の行事などがたくさんあります。秋(あき)は飽きるほどたくさんの穀物が採れ生命が稔ることにあるとのことです。冬は魂が増ゆるのふゆから来ているとのことです。
 活動をどの時期にやるかによって、春夏秋冬の移り変わりを考慮しながらやるのも大切かと私は思います。仮に折り紙活動をする場合で考えてみましょう。春ならば子ども達の想像力と創造力が思い切って出てくるような多様性のあるものが良いと思います。夏は思い切って発散させるような野外で出来るものをやりたいものです。秋には動くものを創って生命みたいなものを考えたいと思います。冬には魂が増えるような時間がかかるけれど完成して喜ばれるようなものが良いと思います。運動表現遊びでも冬に基本的なダンスの動作などを学んでおいて、春にはそれを生き生きとした自分たちのものへと変容させ、夏に祭りなどで発表し、秋に特別養護老人ホームに慰問に出掛けるような年間スケジュールの中で考えておくのも一つの手法と思います。
 活動をやる時につねに季節性を考えての計画を行うことが大切でないかと私は感じています。俳句の季語や二十四節季なども知っておくのも良いと思います。
 時間帯の考慮も必要と思います。午前中なのか午後なのか夕方かで人の心模様は違ったものになります。午前中なら昼食のことを考えて11時半ころまでに終わりにする。午後なら比較的に時間の余裕があるのでじっくりやる。夕方になればそれなりの配慮が必要となりますし、子ども達も疲れてくればケンカが多くなってくるものです。

Whereについての提案
 どこでやるかは大きな問題となります。屋内なのか屋外なのか広さはどれくらいなのかで活動も違ったものになります。基本的に広さを測る単位としてuを頭に入れておくことは必要です。普通の部屋は6畳間が多いものですが江戸間は9.27u、学校の教室が7m×9mの63u、体育館が34m×24mで816uのようです。公園やグランドもある程度の広さの目安がわかっておくことは大事だと思います。平島公園は6600u、東京ドームは47,000uです。
  活動場所が決まったとしても、活動場所が安全で安心なものであるかが大切な要因であると思います。子ども達を相手にする場合に、職員を含めて安全管理の為のゴミ拾い・石拾い・草取りなどが大切です。また来たときよりも美しくではなくて、始める前に美しくとの考えを定着させて、子ども達と一緒にきれいな環境整備をする活動を取り入れることが大切と思います。また地域の中で活動できる場所を増やしていく為のチャレンジも大切なことです。
 SDGs(Sustainable Development Goals)などと言わなくても日本の国は草や花や川や野原を大切にする国です。自分たちの活動する場所の雑草取りをして腐葉土を作ることは大切です。土が無い所でもプランタにプチトマト栽培したり、多年草を植えたりすれば心が和むものです。環境作りを子ども達と一緒にやりましょう。

    

  Whoについての提案
 子ども達との活動を実施する人が誰であるかとの問題です。一人でやる場合もあるでしょうが、私は基本的にティームティーチングが良いと思います。1人で20人を相手にするよりは2人で40人を一緒に相手にするとの考え方です。人はそもそも多様性の動物です。いろいろな要素があります。それに二つの目で見るよりは四つの目で観察する方がわかる範囲が広がるのではないでしょうか。
 日本には働くとの概念があります。英語訳をするとworkjobになり、中国語では役務するとか使役するになります。しかし働くには英語や中国語には訳せないものがあります。働くの語源は「傍を楽にする」との考え方です。日本人の働くには金銭を貰うために仕事をする、就職する、役務する、使役するとは違ったものがあります。他人に喜んでもらうような活動をするとの意味です。こうした意味を持つ漢字が中国語にはありませんでした。そこで日本人が「人」「動く」の漢字を組み合わせて「人の為に動く」=「働く」との国字(日本の漢字)を創りました。私たちが子ども達の為に活動するのは、児童館や保育園や小学校の職員として仕事をして賃金を稼いだり、それらの職種に就くために実習をするためのものだけではないと私は考えています。子ども達との触れ合って働くことを通して子ども達の為にも自分の為にもなることが一番大切であると思います。
 人間は物によって作られているけれど、物を創ることによって自己実現をはかる絶対矛盾的自己同一の世界を生きる存在であると西田幾多郎哲学では言っています。(私も理解できていないのですが)子ども達に教えるという活動を通して、子ども達が成長し、私たちも成長することが大切であると思います。

 また実習等で出かけた時は子ども達とのふれあいで学生さんたちが学び、子ども達も自分たちと近い世代の学生さんたちと触れ合うことを楽しみ、実習受け入れ先の職員も日常とは違った子ども達の反応から学ぶというwin win winの三者関係が作れるように考えておくことが大切であると思います。win win winの関係性は意図的に考えておいておくべきことだと私は思っています。win winではなくてwin win winを提案するのは二者関係よりも三者関係が強固で確実なものとなるように考えるからです。

Whomについての提案
 子ども達といっても0歳から18歳までは本当に多様です。

 

 体重だけでみてみても、お母さんのお腹の中にいて2ヶ月で1gだった胎児が3sで誕生し、3歳児で14s・小学校1年で20kg.・3年生で30kg.・中学生で42kg.・高校生で60kg.となります。精神的発達段階や言語的発達もいろいろです。一人の子どもを見てもその時期で違います、集団となればまたいろいろです。しかも児童館や児童クラブでは同一学年だけではなくて異年齢・異世代を相手にすることになります。乳幼児相手に手遊びや色遊びをするのと、保育園児位を相手にかけっこや鬼ごっこをする場合と、小学生相手にゲーム運動遊びをするのと、中高校生相手にバスケットをするのとでは大きく違ったものになります。また乳幼児とお母さん相手と、保育園児と小学生相手、小学生と中学生相手、全世代を一緒にやるなどやり方のパターンはとても多様です。それぞれの発達段階を理解すると共に、いろいろな世代が一緒の時にはどうしたら良いかなどを考えておくことが必要となります。
 ピアジェの感覚運動期(0歳〜2歳)・前操作期(2歳〜7歳)・具体的操作期(7歳〜11歳)・形式的操作期(11歳〜)等の考え方とエリクソンの獲得課題である基本的信頼(0歳〜1歳半)・自律性(1歳半〜3歳)・積極性(3歳〜6歳)・勤勉性(6歳〜13歳)・自我同一性(3歳〜22歳)・親密性(22歳〜40歳)・世代性(40歳〜65歳)統合性(65歳〜)などを考慮する必要性があると思います。

 Whatについての提案
 多様な子ども達の活動を相手にすることを考えると何をやるかはとても大切となります。私はユニバーサルデザイン的な活動をたくさん出来るようにすることを提案しています。
   
 折り紙は日本の伝統的な遊びです。動く簡単面白いものをたくさん創作して、2歳児くらいから小学生や大人まで楽しく遊べるものにしたいと思っています。また小学生中学生がキラキラシャボン玉など楽しいものを作って、乳幼児や特別養護老人ホームなどへ出かけるのも良いと思います。カプラブロックもユニバーサルデザイン的な遊びです。概ね3歳児から大人までが十二分に遊び込むことが出来ます。これ以外に全ての活動や遊びを異年齢・異世代が共通して遊べるユニバーサルデザイン的なものに変革していくことが私たちの仕事ではないかと私は思っています。
 ツーパワー・スリーパワーの手法は遊びをユニバーサルなものにするために開発した手法です。リレーをする時に23人を1013人に分けます。(仮に男10人・女13人とします)男子は2人組5チームにし、女子は2人組2チーム、3人組3チームの5チームとします。男5チーム対女5チームでリレーをしますが、最初のチームの一人が次のチームにタッチすれば次のチームは全員スタート出来ます。これだと最後まで楽しくリレーが出来ます。足が極端に遅い子どもがいたとしてもチームとしては何ら障がいになりません。トランプの七並べをやる時も一緒です。13人がスリーパワー・スリーパワー・スリーパワー・フォーパワーの4チームでやります。4人の場合は、トランプを持っている係・カードを出す順序を教える係・カードを出す係・応援する係などで役割分担をしてゲームをやります。

Wayへの提案
一つの活動ではなくてサブチャンネルとして二つか三つ用意しておきます。でも最終的には一つの活動をやり遂げるとの考え方を私は提案してみたいと思います。今の時代はとても多様化が進んでいます。また子ども達もタブレット・SNSYouTube・テレビなどでいろいろな情報を手に入れることが出来ます。その反面一つのことに集中することが難しくなっています。何か活動するときに一つの方向(Way)だけではみんながついてこないことが多いものです。保育園児までならまだまだ同じ方向を向かせることが出来ますが、小学2年生くらいからは難しくなります。そこで活動をやる時にメーンのものとサブのものを最低二つくらい用意しておくのが良いと私は考えています。具体的なことで考えてみましょう。
 キラキラシャボン玉を作る活動をするとします。40人の1年生から4年生を相手にするとします。40人中10%はやらないかもしれないので4〜5は完成品を用意しておきます。これは最終的に作らなかった子どもや欠席用と考えておくと良いと思います。(創らなかった子どもも最後に回して遊べばキラキラシャボン玉活動に参加したことになります)同時に折り紙や絵本などを用意しておいて、キラキラシャボン玉作りをしなくても良いことにします。やる活動を2Wayにしておくことで、上手く展開できるように思います。小学校低学年の子ども達は他の子どもが熱心にやっていると、最初はやりたくないと思っていてもだんだんに参加したくなるものです。いつも途中から参加出来るようにしておきます。もちろん絵本や折り紙に熱中していたら其れはそれで良いとことにします。最後にみんなでキラキラシャボン玉を回す時に仲間になってもらうのが良いように感じます。
 NHKのテレビ体操を見ていると、座っての体操もやっています。私は養護学校に勤務していたのですが、体育の時間に走れる人・立てる人・車いすの人・ベッドの人などがいました。多様な形態で運動が出来るような工夫がされていました。音楽などでも歌う人・楽器を演奏する人・タンバリンを叩く人・鈴を鳴らす人などいろいろな形で音楽活動をしていました。一つの方法に拘らないでいろいろな手法を駆使していくのが良いと感じています。

 Whyについての提案
 何のために活動をするのかを考えておくことは大切と思います。
 私はガードナーの多重知能理論の考え方が好きです。ガードナーによれば人間の知能はIQのように単一に測れるものではなくて多重であるとの考え方です。言語的知能・論理数学的知能・空間把握的知能・身体運動的知能・音楽的知能・対人的知能・個人内的知能・博物的知能などがそれぞれ独立して有機的関連を持ちながら存在しているとの考え方です。子ども達との活動をするのはこうした知能を発達させるためにあると私は考えています。
 ユニバーサル的な活動をしていると、同じ活動でありながら別々の知能を一緒に動かすことがよくあるものです。日本のわらべ歌などがそうだと思います。有明児童センター時代に子ども達と創った味噌ラーメンジャンケンです。
 ■みそラーメンジャンケン(https://www.youtube.com/watch?v=Zzesc3rqBGc
    せっせせーのみそラーメン
    おてらのおしょさんが かぼちゃのたねをまきました
    めがでて みがなって
    おてらのなかから ゆうれいさんがユーユー
    ゆうれいさんのあとから どろぼうさんがかねだせかねだせ
    どろぼうさんのあとから おまわりさんがバッキュンバッキュン
    おまわりさんのあとから コックさんがジュージュー
    コックさんのあとから おすもうさんがドスコイドスコイ
    おすもうさんのあとから 
    ももたろさんももたろさん
    おこしにつけたきびだんご
    ひとつわたしにくださいな 
       

 言葉遊び・身体運動遊び・対人関係遊び・音楽表現的遊びなどを通して、複数の知能が活性化されることになります。また言葉がよく出て来なくても最後のジャンケンが出来て勝った負けたで楽しくなるものです。
 ポジティブ心理学の考え方も大切と思います。心理学は悩める人を救ったり問題行動の原因を探って解決するために使われてきたことが多かったようです。ポジティブ心理学では行動そのものをネガティブと捉えるのではないようです。まずは人間的衝動があり、その衝動を良い方向に熱中させ、実現させるための人的物的環境的要因を探して関連付けて活動し、その活動の意味を考え、達成感となり、次の活動へと向かっていくとの考え方です。(PERMAとは P=ポジティブ感情 Positive emotion E熱中 Engagement R=人間関係 Relationship M=意義 Meaning A=達成感 Achievement
 私流に解釈すると「男の子は閑になると悪い事をするから、閑を作らないで熱中するものを用意する」ことが大切だということになります。閑だと感じるのは何かをしたいという衝動(emotionがあることです。衝動の発散の方向がネガティブになると女の子を突いたり嬌声をあげたりします。衝動(emotion)を積極的な良い方向性になるように提案して(だまくらかして)、熱中(Engagement)させることが大切です。
 子ども達との活動において、子ども達の持つ衝動が何であるかを見つけることが大切であると思います。その衝動をポジティブなものにしていくことが子ども達の能力を高めより良く生きる(well being)ことになればと思います。その為には子ども理解が必要となります。子どもを理解するためには子どもの下側に立つことが大切です。なぜならば理解するはunder stand=下側に立つだからです。下側から見てみないと理解は出来ないものです。

 Howについての提案
 どのように活動を持っていくかが技として必要とされます。一般的には最初にやり方を一通りやる全習法と少しずつ分解してやる分習法があります。男の子には分習法が良いようです。小学生くらいまでは分習法の方がやりやすいかなあと思います。
 子ども達の様相は多様です。その為に一斉にみんなとやろうとしても上手くいかないことが多いものです。最初は全員が一緒でなくても良いと私は思います。折り紙でもカプラでもゲームでもドッジボールなどのゲームでもやりたい子ども達から始めて、次第にほとんどの人たちが参加出来るように最初からプログラムを組んでおくことが必要となります。
 ヴィゴツキーの最近接領域との考え方があります。子ども達の発達段階を見ていくと、子ども達が今出来ていることを提案しても意味があまりありません。子ども達の能力にそぐわないことを提案しても難しすぎてついて来ません。子ども達が今は出来ないけれど明日出来るかもしれない最近接領域に関わることを提案していくことが大切だとの考え方です。
 「今日は折り紙で飛行機を作ろう」と言われても自分は作れないかもしれないから参加したくない子どももいるものです。また折り紙を折ることが嫌いな子どももいるものです。とりあえずわからないから見ておこうという子どもが一番多いものです。25人の子どもの内、5人の子どもが飛行機作りに参加してくれたらそれで良いとのやり方です。折っているとこのくらいなら自分でも出来そうだと見に来る子ども達がいます。その子ども達用に私は教えながら紙飛行機の折りかけを10枚くらい用意しておきます。見ている子ども達に渡すとやり始めるものです。これで25人中13人くらいが参加してくれるようになります。一機折れた子どもには「折り方を覚えるために友達の分も二機か三機折ってね」と頼みます。最終的に飛行機飛ばしをします。最初から余分に作っておいて、飛行機作りをしなかった子ども達にもプレゼントすると喜んで飛ばすことが多いものです。飛行機飛ばしをする子ども、飛行機に絵を描く子ども、何機も作る子ども、違った飛行機を作りたいという子ども、違う折り紙を折って見せてくれる子どもが出てきます。これで折り紙工作教室とのパターンになります。約小一時間の活動となります。
 子ども達との活動の中では必ず運動遊びを入れておくことも必要だと私は考えています。折り紙を折りながら、折り紙を自分の身体の周囲で回したり、空中に放り上げてキャッチしたり、遊戯室までかけっこさせたりです。分習法でやる合間に運動遊びを入れることで能力の差を上手くうずめるようにしています。また男の子は閑になるとつまらない事をするものです。閑を与えないで身体を動かせることは大切なことです。
 子ども達の活動を一つの工作とか運動遊びとかゲームに限定させないで、身体を動かすダンスなどの遊び・工作・クールダウンの為のゲームなどを組み合わせてやることも大切かと思います。

 How longについての提案
 子ども達との活動において時間的な問題を考慮することはとても大切です。授業時間は小学校45分・中学高校50分・大学90分です。私は小学生の場合、概ね60分くらいで活動しています。60分を5分・15分・20分・15分・5分に分けてみんなで会場の準備・運動遊び・折り紙遊び・飛行機飛ばし遊び。後片付けみたいな感じでやっています。もちろん最初は見ていて参加する子ども達もいるし、最後の飛行機飛ばし10分だけ参加の子どももいます。いろいろなことをやりたいと思って出かけるのですが、思っていることの半分が上手く出来れば良い方だと思います。考えていたことの3分の1が出来たらよしとすると考えています。
 時間というのは思った以上に速く経過するものです。説明に手間取っていると何もしないうちに時間が無くなってしまいます。極端な話、最低飛行機遊びをするとだけ考えておいて、25人分全部作っておいて、余裕があったら自分で作らせるくらいの気持ちでやることが良いと考えています。
 ただ子ども達は思った以上に能力があるものです。やっている間にそれぞれの個性が出てきて、創発性が誘発されることもあります。ある保育園でカプラを90分頼まれました。完全に子ども達がはまってしまって、120分続いたことがあります。私もびっくりしました。

  How muchについての提案
 福祉の世界では費用対効果との考え方がなかなか受け入れられて来なかったように思います。しかし活動をする以上は人件費・会場費・宣伝費・材料費・保険料等々の様々費用がかかるのが事実です。費用がいくらかかるのかをしっかりと把握しておくことはとても大切なことです。とくに子ども達の活動においては不慮の事故が起きる可能性があります。成人とは違って子どもの事故では指導者の賠償責任が問われることもあります。保険料も含めて費用がいくらかかるかをきちんと知っておくことが必要となります。
 材料については実際にかかる費用は自己負担の原則が必要と思います。ただより高いものはないとの考え方もあります。内容のある活動をするためにも有料であることも必要と思います。購入しなくてもチラシを正方形に裁断して折り紙にしたり、背が高くならないうちに草を刈り取って腐葉土を作り、プランタの培養土の購入費を少なくするなどの工夫は大事だと思います。

 How manyについての提案
 活動の対象の人数が5人・10人・20人・40人・80人・100人以上と増加すると運営の仕方は違ったものになってきます。材料費は人数が多くなればなるほど単価は安くなります。キラキラシャボン玉を作る場合、材料費は10人なら1人当たり55円となります。60人なら10円となります。材料の用意の関係です。ただ10人に教えるのはとても楽ですが、60人に教えるのはとても大変です。
 人数が多くなった時は教え方の工夫が必要です。5人くらいのグループを12グループ作って、代表者に材料を運んでもらったり、グループワーク的手法を活用し、グループ内でそれぞれ教えあうパターンを導入することが良いと思います。私は新しい工作やゲームや折り紙などをする時に、興味を持ちそうな子ども達にまずは3人〜5人に教えます。そのプロセスで教え方の研究もしますし、子ども達のアイディアも取り入れます。教え終わった5人の子ども達をグループの核になってもらって25人くらいに覚えてもらいます。ここまでくると60人になっても100人になっても何とかやれるものです。

 Safety Educationについての提案
 子ども達との活動をする時は必ず危険性のあることについてきちんと事前注意指導が大切となります。保育園児位までは記憶を保持する時間が短いので安全対策をきちんとしておいて、その都度の声掛けが必要となります。小学生となると民法上も事理弁識能力があると認められていて、保護育成の段階ではなくなります。事理弁識能力とは基本的に自分の生命を自分で守ることを判断できる能力です。(中学生になると責任弁識能力があると言われています)異年齢異世代を相手にする場合には活動中に危険な場面があったら「ちょっとストップ・きちんとアドバイス・さっと再開」することが良いと私はやっています。指導者には活動をする時に事前注意指導義務・活動中注意義務・事故等があった時の事後処置義務があります。また事故等に備えてどのような保険に加入しておくかを確認しておくことが必要となります。
 活動中における立ち位置も大切となります。複数で見る場合は死角が出来ないように連携することが必要です。集団全体を確認し危険がないかを観るためには少し高い位置から鳥の目のように観察できることが必要です。ケースワークなどの場合は相手の目線よりも下になって理解する(under stand)ことが大切です。対等な立場で遊ぶときは同じ視線になると良いと思います。安全管理は鳥の目・ケースワークは虫の目・グループワークでは仲間の目でと思います。鳥の目・虫の目・仲間の目であっても壁を背にして子ども達全体を視野に入れて活動することが基本となります。
 一般的な「暴力はいけない」「いじめはダメ」などよりは「犯罪をしない・させない・巻き込まれない」との学びが必要と思います。刑法上の暴行罪・器物損壊罪・傷害罪・名誉棄損罪・侮辱罪・恐喝罪・強要罪・詐欺罪・強制わいせつ罪等々を大人も子どもも「しない・させない・まきこまれない」為の手法を学ぶことが必要と思います。

       

  Emergency situation systemについての提案
 事件や事故に備えていたとしても、予期せぬ地震や大災害などが起きる確率は存在します。世界に占める日本の国土面積は、0.25% であるにもかかわらず、マグニチュード6以上の地震回数は22.9%、活火山数は7.1%にものぼる地震・火山大国です。(ネットより検索。地震災害の確率は世界の平均ので90倍になるかと思います)となっています。緊急事態はめったに発生することがないし、予期せぬ場合が多いものです。しかしその被害は甚大になることが多いものです。予め緊急事態に対応する体制を確立しておくことは必要となります。同時に緊急事態には臨機応変自由自在な対応が必要となることも多いものです。私はどんな緊急事態があるかを学ぶために防災士資格の取得と日常生活の中で楽しみながらの防災訓練を実施していくことが大切と考えています。また家屋等の倒壊に備えて、バール・ジャッキ・ノコギリなどを用意しておくことが必要だと思います。また日常的にも使うことも大切と思います。食糧と水も保存食でなくても日常食の賞味期限を考えながら上手く回転させていくことが良いと思います。電気・ガス・水道も自家発電や乾電池蓄電池・カセットコンロやプロパンガス・ペットボトルの水などの常備も必要と思います。児童館・放課後児童クラブ・保育所・学校などでもこうした体制が必要と思います。
 レジリエンスとの考え方があります。レジリエンスとは、困難や脅威に直面している状況に対して、「うまく適応できる能力」「うまく適応していく過程」「適応した結果」を意味する言葉だそうです。予測できないこともある緊急事態に精神的強靭性(レジリエンス)を持つことも必要と思います。私は精神的強靭性を持つ一つの手法としてメタ認知することも良いのではないかと感じています。メタ認知とは、理不尽なことや辛いことが起きた時に「苦しい」「悲しい」「辛い」などと思う気持ちをネガティブに感じてはいけないと思ったり、無理矢理にポジティブにしようと思わないで、ありのままの自分を客観的に認知することのようです。カウンセリングでカウンセラーが愚痴を含めて傾聴してくれることを自分でやることではないかと思います。愚痴は愚かで病に満ちた知と書きます。愚痴をカウンセラーに聴いてもらったり、自分自身をメタ認知することは精神的強靭性を高める一つの手段になるのではないかと思います。 

Emergenceについての提案
 創発(そうはつ、英語:emergence)とは、部分の性質の単純な総和にとどまらない性質が、全体として現れることである。局所的な複数の相互作用が複雑に組織化することで、個別の要素の振る舞いからは予測できないようなシステムが構成される。(ウィキペディアより)
 子ども達と活動していて創発性を考える必要性があると思います。同じ準備をしていって同じくらいの人数に対して同じくらいの時間で同じように活動しても、活動の中で醸しだされてくるものは違ったものとなります。活動をするWhoWhomの関係性と実際に活動する子ども達の相互関係の中で新しいものが紡ぎだされる時に活動は充実したものになります。子ども達との活動においては必ずこうならなくてはならないというようなものではなくて、活動の中で思いもよらない何かが創られていくものです。創発性が発揮させられるように意図的な働きかけが必要であると思います。
 人間は物によって作られ物を創ることによって自己実現をするとの絶対矛盾的自己同一の存在だとの西田哲学の考え方があります。同時に西田哲学では過去があるから現在があり、現在のあり様が過去を規定し、現在があるから未来があり、未来があるから現在もあると考えているようです。そして現在はすぐに過去になり、未来はすぐに現在となる存在でもあります。過去と未来は現在を通して繋がる絶対矛盾的自己同一の存在であるようです。(私の勝手な解釈です)WhoとWhomは過去の学びから現在を創り未来を構築していく存在でもあると思います。その意味でも子ども達との活動はたんに文化と文明の伝達ではなくて創発性を伴ったものであると私は思います。
 緊急事態がEmergencyと言われ、創発性がEmergenceと言われることもとても興味があることです。Emergentには出現する・緊急の意味があるようです。あることが悪い方に出れば緊急事態=Emergencyになるし、良い方向性になれば創発性=Emergenceとなるのではないかと私は思います。
 子ども達の衝動(emotion)をネガティブなものにしてしまうと緊急事態的処置が必要となることもあります。逆にポジティブなものへと変換できれば創発的なものになるのではないかと思います。
 
創発性が発揮できるようにする為には、安全安心な物的人的な環境整備をしておくことが一番大切です。きれいな環境と切磋琢磨が出来る人間関係を創ることをたくさんの人々と協力してやっていくことが一番だと思います。

 

 



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