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名前がなくても遊べる・・名前のいらない遊びを増やそう・・ 詳細トップ
■ツーパワー・スリーパワー






 

 児童センターに勤務し、午前中は就園前の乳幼児の集い・午後からは放課後児童のクラブ活動・夕方には中学生や高校生の相手・ボランティアの大人の人との交流等をやってきました。その中で教えられたのは、名前がなくても大丈夫と言うことです。


 友達つくりの第一歩としてグループ紹介・自己紹介があります。また乳幼児サークルなどでも名札をつけて活動することがあります。児童クラブなどでも新1年生が入会すると歓迎会などを行い、自己紹介をします。いつも何か『違うぞ』と思っていました。『名前を名乗ったり、名札なんか必要ないぞ』と思っていました。


 名前が要らないと気づいたのは乳幼児からの学びでした。午前中の乳幼児の集いの子どもが放課後児童健全育成事業のクラブの子どもと遊んでいたときのことです。小学生のやっている積み木にまだ言葉のしゃべれない1歳くらいの子どもが興味を示し、こわそうとするのです。小学生は『ダメだよ』なんていいながら、けっこう喜んでいます。小学生が積み上げ、幼児が壊す光景が続きました。お互いに名前を名乗るわけではないけれど充分に楽しんで遊べるのです。群れ遊びを好む時代には名前がなくても遊べるということがわかりました。

  


 児童センターには不登校の子どもの相談もよくあります。小学校1年生位の子どもですと、みんなと仲良く遊ぶ経験をつむことで元気になることもあります。そこで親子で一緒に遊びに来てもらいます。ちょっと様子をみて、『誰かこの子と遊んで』と声かけをするといくつかのグループから『こっちに来ない』と誘いがかかります。お互いに名前をそんなに呼び合わないで遊んでいますから、『あなただあれ?どこから来た?なにしにきた?』などと聞く子どもはいません。それが不登校気味の子どもには嬉しいようです。自己紹介なしで遊べる空間は大事だと私は思うのです。名前を名乗りあわなくて良いことは、名前がわからなくても遊べるということです。『寄せて』『一緒に遊ぼう』の声かけに『いいよ』『一緒にやる?』と答えが返る関係を作りたいと思っています。

名前のいらない遊びを増やそう運動

 名前を名乗らないでよい関係を作るためには、名前の要らない遊びを多くすることが大事と思います。いい遊びがあります。何でもバスケットです。なんでもバスケットでは、みんなが輪になってイスやブロックに座っています。1人座っていない子どもが鬼となり、「靴下を履いている人」と言ったら、靴下を履いている人がブロックを離れ、違うブロックに移動します。その隙に鬼はすばやくブロックに座り、あぶれた人が鬼になって遊びが継続されます。「女の人」『スカートをはいていない人」「朝ご飯を食べた人」「ゲームキューブの好きな人」など何でもありです。「なんでもばすけっと」と言うと全員が立ち上がり、移動することになります。ここには名前を呼ぶと言うことはありません。個々人の子どもの名前が必要ない遊びなのです。


 なんでもバスケットの要領をうまく使うことにより、名前の要らない遊びを増やすことが出来ます。だるまさんが転んだをファイブパワーでやるときも「赤いスカートをはいた子ども動いた」と言えば赤いスカートをはいた子どもとあと4人の子どもがでてくることになります。同様に「白い靴下の子ども」「茶色のジャンパーの子ども」という言い方でだるまさんが転んだをやることが出来ます。こんな感じで遊べるようになると、名前を知らなくても遊べることが日常的になってきます。そうするとグループやクラブが排他的にならず、誰でも仲間に入れることができるようになります。


 名前の要らない遊びを増やすということは必ずしも名前を呼び合わないということではありません。私はプロとして子どもの名前は覚えるし、できるだけきちんと名前を呼ぶようにしています。子ども同士も必要に応じて、名前を覚えていきます。けれど名前がわからなくても遊べると言うことで仲間の選択肢を増やすことが大事だと思うのです。5〜10人の関係では名前を呼び合うとスキンシップになります。けれど30人以上の遊びをやるときは、名前全部を小学校低学年に覚えさせるのは困難です。名前がなくても遊べる手法を増やしたいと思っているのです。


 缶けりも名前なしで集団で遊ぶことが出来ます。30人の子どもをファイブパワー6グループに分けます。あとは普通の缶けりと一緒です。違うのは名前が分からなくても「赤い服の女の子ケント」というと赤い服を来た女の子どもとそのグループが全員ケントされたことになります。「黒い服きた1年生ケント」で2グループ10人がケントになります。名前なしの手法とファイブパワーの手法で30人の缶けりが簡単に行うことが出来ます。ケントされた子どもも別の遊びを誰かが缶を蹴るまで同時並行で遊んでいます。缶が蹴られると同時にまた缶けりの遊びに戻ります。途中でお迎えが来て一人や二人帰っても6グループをケントするという缶けりは持続することができます。
 児童館・児童クラブでの遊びのあり方をこれからも見つけていきたいと考えています。
 


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