児童の健全育成と環境整備学校トップ    詳細トップ   ホームトップ

 従来児童館・児童クラブの役割は遊びを通して児童の健全育成を図るものと考えられていた。児童厚生員の正式の名称が児童福祉施設最低基準(厚生省令)第38条で児童厚生施設(児童館及び児童遊園)には、児童の遊びを指導するものを置かなければならないと規定されていることからも明らかである。児童厚生員というのは児童の遊びを指導するものの通称である。児童館は遊びを通して児童の健全育成を図る。その内容は財団法人児童健全育成推進財団の資料によれば

  1. 身体の健康増進をはかること
     子どもが日常の生活を営む上で、自立して行動できるような体力(行動体力)を培うことです。その結果として、病気にかかりにくいような抵抗力(防衛体力)も養われます。そのためには経験しないものは発達しませんから、できるだけ多様な体験ができる場を設けるということです。そこで大切なことは、身体を使う遊びに興味・関心を持つような、楽しく面白い刺激を用意することが効果的です。
  2. 心の健康増進をはかること
     子どもが毎日の生活の中で、いたずらに不安感、緊張感、欲求不満感などを持つことがなく安定した状態で、自分が考えたこと感じたことを、できるだけ自由に表現(言語表現に限らない)でき、子ども自身が自己の持つ能力を最大に発揮して、意欲的に生活できるように接していくことです。
     そのためには、子どもが持っている基本的な欲求(活動欲求・被愛情欲求・承認欲求等)を受け入れていく受容的で、かつ親和的(一緒に行動する)な人間関係を保つことです。
  3. 知的な適応能力を高めること
     子どもの能力や個性に応じて可能な限りの知識と技術を獲得させ、社会に適応した生活が営めるような能力を高めることです。子どもが現実生活の中で困難な問題に直面した時、その問題を解決できるように自分の持っている知識・技術を働かせられるように導くことです。そのためには、実生活に役立つことから学習していくことが効果的です。
  4. 社会的適応能力を高めること
     子どもの発達段階に応じて、自分の所属するさまざまな集団生活の場において、自己を失わずに他の子どもたちと協調できるような能力を高めることです。
     そのためには、3歳児、5歳児、小学生なりの個性と年齢に応じて、家庭の中や保育園・幼稚園、学校等の集団生活の中で、共に遊び、学び、作業をすることなどが有効です。
  5. 情操を豊かにすること
     情操とは、美しいもの(美的情操)、善い行い(倫理的情操)、崇高なもの(宗教的情操)、つじつまの合うこと(科学的情操)などを見たり聞いたりした時に素直に感動する心を養うことです。その結果、いろいろなことに気がつく人になれます。
     この情操を豊かにするためには、読書や劇・映画をはじめ絵画・音楽などの鑑賞や、自らそれらの制作や体験活動をすることが大変に役立ちます。

 

とされています。しかし有明児童センターでは、こうした健全育成の大前提として遊び場環境作りがあると考え、平成15年度の重点事項を

◎子どもの遊び場環境作り

    職員・ボランティア・保護者・子どもが協力して、安心して子どもが遊べる環境作りに努める。また、館内外の清掃・草取り・ごみ拾い・後片付け等の活動を通じ、環境美化の習慣が身につくように働きかける。

    地域の団体と協力して遊び場環境作りのボランティア活動の推進を援助する。

 

  ◎安全管理の徹底とクラブ等への登録化

    事故等を防ぐため建物及び遊具の点検に努め、また、遊び方のマナー等の指導を通し、安全管理の徹底を図ると共に、安全管理上の観点(緊急時の連絡等)から、利用者の登録化を図る。また、危険防止のため保護者等にも児童センターの仲間に入ってもらい、一人でも多くの大人の目が届くようにする。

 

    地域との連携と仲間作り

・地域の様々なグループや団体と協力して児童健全育成の仲間作りを図る。

としました。とかく児童館の仕事を子どもの遊びの指導に限定すると子どもの遊び相手が主体となり、子どもの遊び場環境作りよりも遊びの指導が優先してしまうこともあります。また掃除や草取り・ガラス拭き・トイレ清掃などを用務員の仕事と考えたり、業者委託するのがよいなどと考えてしまう児童厚生員もいるかもしれません。

 有明児童センターでは児童館の仕事の主軸に環境整備・安全管理・地域との連携があると考えています。こうした3点の重点事項がクリアーされると、まず第一に子どもが安心して遊べる環境作りができます。このことで子どもたちは自ら遊び始めます。その遊びをサポートするのが職員の仕事となるのです。草取りをしないと犬の糞をそのままにしておかれても分かりません。サッカーをやっていて犬の糞を踏んづけて「くそったれ」「こんちくしょう」ということになります。木の枝を剪定しなければ木の下では遊べないし、遊んでも伸びて枝で怪我をすることもあります。トイレが臭ければ嫌な気持ちになります。廊下にガムが捨ててあれば館内は汚くなります。第一に遊び場環境作りが大事と有明児童センターでは考えています。職員やボランティアが遊び場環境作りをしていると、一部の子どもは仲間になってきます。ときに全員で草取りや清掃をすることで、自分達の遊び場を汚さない子どもが育っていきます。

 児童厚生員の仕事は子どもの遊びの援助・仲間作り・地域の健全育成活動の援助(ケースワーク・グループワーク・コミュニティーワーク)があげられます。うまく遊べない子どもには直接の援助活動が必要です。こうしたケースワークは実は子ども同士の遊び仲間の中に遊べない子どもを仲間に入れていくことでもあります。

グループワークというのは指導員が子どもを遊ばせるというのではなく、子ども同士の人間関係がよりよいものになるように援助するというものです。その意味で指導員が遊びの主体ではないと考えることが必要です。最初は先頭に立ってもりたてていても、いつの間にか子ども主体になり、指導員は退くようになるのが理想的な姿と私は思います。

地域での健全育成活動の援助(コミュニティーワーク)が一番児童館活動で遅れている部門のように思います。私は子どもの遊び場環境作りというテーマを地域に提供していけば地域の児童健全育成の方向が見えてくるのではないかと考えています。地域には小さな公園があります。集会場もあるところもあります。しかしながら公園や集会場は手入れがされておらず、草がぼうぼうだったり、建物があるだけで花壇や花がなく、特定の日だけ鍵が開けられるというところが多いようです。公園の草をとり、花を植える・ゴミを拾う・犬の糞の始末をする。集会場を毎週土曜日にあけ、花壇をみんなで整備する。清掃をし、マンガや絵本を置くなどすれば子どもたちが集まってきます。児童館はそうした活動のノウハウを児童の遊び場環境作りの実践から提供することができます。

たんに子どもの遊びを指導しているだけでは、児童の健全育成が地域全体に広がっていかないと私は思います。児童の健全育成を難しいものと考えないで、草取り・清掃・犬の糞の始末・花壇の世話・マンガ集め・フリーマーケットなどが基礎と考えると誰でもが実践することができるのです。有明児童センターにボランティアが多いのは、身近な活動にこそ児童健全育成があると主張し、実践しているからでもあると私は思っています。

 

 5年前から有明児童センターの活動を平島公園クラブでも始めています。2千坪の広い公園をボランティア活動で毎月きれいにする活動を実施しています。公園のフェンスの下の草をとり、花壇を作り、花を植える人・毎日ごみを拾う人・梅の木の剪定をする人などボランティア活動の輪が広がっています。遊び場環境作りの方針はとても有効です。

         

    公園の草取りの仲間たち・バンダナが私です        みんなで今後の打ち合わせ               広い公園を芝刈り機が行く
       5月の日記帳