学校お手伝いしましょうか?の意味は詳細トップ    ホームトップ

有明児童センター  児童厚生員

児童健全育成指導士 田中 純一

 有明児童センターの児童クラブの子どもをお迎えに来たお父さんやお母さんはできるだけ児童センター内に入り、児童クラブ室の中にも入ってもらって自分で自分の子どもを探してもらうことにしています。自分の子どもが集団の中でどのような活動をしていて、人間関係がどんなであるかを見てもらうためです。
 
 児童クラブ室ではちょっとお茶を飲みながら、ドングリストラップなどを作ったり、おやつを袋詰めにしたり、チラシを正方形にきったりしています。お迎えのお母さんに「一緒にコーヒーを飲みませんか?」と声かけをします。昨日もそんな声かけがあり、コーヒーを飲みながらドングリストラップ作りを見ていて「お手伝いしましょうか?」との話が出ました。同僚はその言葉を文字通り受け取って「大丈夫ですよ」と言ったので私はすかさず「お願いします」と言った。

 「お手伝いしましょうか?」との意味は「私もお仲間に入れてください」の意味だったからです。ついで「このドングリストラップは祭でいくらで売るのですか?」「いいえ売り物ではありません」私は「50円か100円です」この場合も「いくらで売るのですか?」は「私でも役立つかしら?」の意味なのでたとえば10ヶ作れば500円位になると具体的な数字を示してあげれば良いのです。お母さんが帰ってから同僚のきっとこんな意味だから疑問どおりに答えないほうがベターと一話しました。「そうですね。そのほうが面白いですね。」とのことになった。

 子どもも大人も同じで発する言葉といいたい心は一緒ではないことがほとんどである。そこのところを意図的に感じ取ることが大切であると思う。


  「ゆりちゃんがお菓子で私を叩いた」

 おやつを80人くらいで食べていたときのことである。あかねちゃんが私のところへやってきて「ゆりちゃんがお菓子で私のことを叩いた」と言いつけにきた。私は「あかねちゃん。今日もかわいいね。」と答えた。すると周りでこの会話を聞いていた実習生が怪訝な顔をした。そこで実習生を集めて聞いたみた。「ゆりちゃんがお菓子で私の頭を叩いた。」との意味はなんだか分かりますか。実習生たちは文字通りの意味でしょうと言った。多くの児童館の職員も同様なことが多い。
 「ゆりちゃん。お菓子で人をたたいちゃいけないでしょ」
 「ゆりやってないもん」
 「あかねちゃん嘘言ったの」
 「本当に叩いたんだもん」
 「叩いてないもん」
このパターンに陥ることが多くあります。この場合一番嘘を言っている可能性が高い人や確率のある人がトラブルメーカーと言うことのなり、職員の要チェックリストに入ります。
 しかし本当はトラブルメーカーは職員そのものなのです。実は子どもに「先生。ゆりちゃんがお菓子で私を叩いた」の本当の意味は「先生私のことも注目してください」の意味なのです。その答えは「あかねちゃん。今日もかわいいね」でも「一緒に遊ぼうか」でも「後片付けお手伝いしてね」でも「後でゆりちゃん叱っておくからね」でも良いのです。


  「まさきが馬鹿と言った」

 子どもは遊びの途中で「まさきが馬鹿と言った」「けいがキックした」などと言ってくるものです。それも同様で「後で叱っておくからな」「馬鹿を相手にするな」「おう裕樹君はいつもかっこいいな」という答えで良いのです。その代わり手を出さないで眼を離さないで本当に危険な行為や言動をきちんとチェックすることが必要です。本当に危険な行為や言動の場合は言いつけにくることは少ないのです。そして言いつけに来ることの本音はなにかを考えることが大切と思います。本音に答えるためにいくつかの答えを用意しておくことが必要です。
          

  忙しいときは

 子どもは忙しいときに限ってやって来て「だれそれが叩いた」「仲間に入れてくれない」「意地悪をする」「遊具をとった」などと訴えに来るものです。それを言ったとおりにとらえて相手をすると大変多忙になる。やらなければいけないことができない。(たとえば草取り・ごみ拾いなど子どもの遊び場環境作りや割れたガラスの処理など)そんなときは子どもの訴えは愚痴の一つであると理解しておくことが必要である。愚痴とはその字の通り愚かで病に満ちた知識である。人間は愚痴をこぼすことでその愚かさと病性を少し減らすことができる。凡人は愚痴を我慢するとストレスがたまる。愚痴をこぼすことも大事だし、愚痴をこぼす相手がいることも大切である。ここで大事なことは愚痴は愚かで病に満ちた知識であるから全部を本気にしないことである。話半分以下と思って置けばよいのである。
 「先生。レイちゃんが私のことをキックした。怒って。」
 「私の大好きなゆうちゃんをキックするなど許せない。後でレイをキックにパンチしておくよ」
 「レイちゃん。先生に言ったからね。遊ぼう」
これで話は終わりになるのです。愚痴はこぼすことで消えてしまうのです。忙しい時に子どもの訴えが来ると『忙しいから後で』とか『仲良く遊びなさい』『けんかばかりしないの』『あなたも悪いんでしょ』とか言ってしまうものです。これでは解決にならないのです。訴えてきた子どもの愚痴を受容してあげてでも全部を信じなければ良いというのが私の考えです。子どもの遊びは本質的にルールあるケンカと私は考えています。
子どもと遊びとケンカ
ルールあるケンカですから、ケンカをしないで仲良く遊びなさいなどというのはおかしいのです。ケンカだから楽しいからです。ルールあるケンカから小ゲンカが始まります。小ゲンカは黙って見ている事が大事です。このプロセスでの訴えは愚痴の一つですから受容するだけで良いのです。小ゲンカが中ゲンカになりラフな行為が多くなったら注意をしましょう。大ゲンカになって怪我をしたら困るからです。危険な行為になってきたら遊びをやめさせましょうというのが私の提案です。
 忙しいときの小ゲンカは聞いてやるだけで良いのです。下手に職員が介入して「だれそれが悪い」などと言い出すと小ゲンカが中ゲンカ大ゲンカにしてしまいます。結果として職員がトラブルメーカーになっているのです。