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昆虫達の戦略に学ぶ・・相互伝達・相互援助・・ 詳細トップ






   昆虫達の戦略・自己決定・自己責任の原則・・・・自己決定できる子どもを作る手法を考える

 NHKのテレビで昆虫達の戦略という番組がありました。アリやハチというと女王がいて、ピラミッド形のヒエラルヒー秩序で築かれているように思われています。アニメ映画「バグズライフ」でも女王を中心にきちんとした社会になっていて、それが子どもにも大人にも当然のように思われています。そしてピラミッド形の支持命令がきちんと機能していると効率的で能力が発揮できそうだという誤解が出ています。


 女王アリは実は子どもを産むのが仕事で、外に出ていないので外のことは何にも分からないのだそうです。ハチも一緒で女王バチは、巣別れの時に空を飛んで出発するけれど、それ以後は子どもを産むのに専念しているので、外部のことは分からないでしょう。それではハチやアリはどのように仕事をしているのでしょうか。実は相互援助・相互伝達が基本なのだそうです。日本ミツバチは美味しい蜜のある場所を見つけると、ハチダンスを踊り、太陽からの方向と距離をみんなに知らせます。他のミツバチはそのダンスを見て、蜜のある場所を分かるのだそうです。

 言葉や名前なんか要らないね。美味しい蜜を探しにみんなで散らばって探し、見つけたものがみんなに相互伝達して教えるのですから、実はとても効率的なのです。日本ミツバチの巣にスズメバチが襲ってくると、ミツバチ達はスズメバチをみんなで囲んでおしくらまんじゅうをするそうです。その過程の中で何匹かのミツバチはスズメバチに殺されます。でもそのうちに完全に囲んでおしくらまんじゅうをすると温度が上がり、50度くらいになるとスズメバチは死んでしまうのだそうです。日本ミツバチは50度くらいまで生きれるので、スズメバチをやっつけることができるのだそうです。このときも女王バチは別に命令をしていません。ミツバチたちの自発的なボランティア精神の本能が働くようです。協力して大きな巣を作る昆虫達の戦略は、相互伝達・相互援助・自分の能力に応じた仕事を自分の意志でやることにあるようです。


 ハチやアリにできることが、なんで高等動物である人間に出来ないかと思います。指示命令のピラミッド形でないと仕事が出来ないというのは大きな誤解でないかと思うのです。本当は自発的精神と相互援助・相互伝達でほとんどのことはできるし、ボランティア精神というのはそういうことではないかと思います。


 私の家の前におおきな平島公園があります。この公園をボランティア活動で草取りをし、子どもが安心して遊べる環境作りをやっています。10年間の活動で除草剤で真っ赤、犬の糞の多かった公園が花と緑の公園になりました。今年の4月27日には国土交通大臣表彰を受賞しました。この公園のボランティア活動を昆虫達の戦略を使ってやっています。


 毎月第3日曜日午前7時〜8時に30人くらいの仲間が草取りに集まります。6時半頃から道具を出して準備をする人もいます。早く来た人から適時、自分が必要と思う仕事を始めます。後から来た人は場面場面に合わせてまた草取りや,とった草を集めをします。人手が足りないところから『ちょっとこっち手伝ってください』と声がかかり、みんなで手伝います。8時近くなると『そろそろ終わりにしましょう』の声かけでみんなでコーヒーやジュースを飲んで終わりとなります。コーヒーを飲みながら、情報交換がなされます。第3日曜の草取りだけではなく、公園の周りにすんでいる人が、家の前の公園の部分に自主的に草をとり、花を植えています。また毎日ゴミ拾いを協力してやっています。指示命令を基本としないで、相互伝達・相互援助・自主的な活動を軸にすることにより、とてもよい関係ができ、長続きできているように思います。


 昆虫達の戦略はいろいろなことに使うことができます。私は新しい遊びやゲームを習ってくると、1週間くらいでみんなに伝えようと考えます。例えばおこんばんわの折紙の場合で説明してみます。おやつのあとに折紙の好きな子どもを3〜5人誘って、おこんばんわを作ります。そのときに『できるようになったら、他の人に教えてあげてね』と言っておきます。5人くらいで遊んでいると、その周りによってくる子どもがいますから、その子どもも仲間に入れて10人くらいで遊びます。次に清掃終了後、40人くらいの子どもと一緒に体性感覚を使って、おこんばんわの作り方を伝えます。もちろん子ども同士の相互伝達・相互援助をうまく活用します。続いて土曜日の昼食終了後のみんなで工作のときに80人くらいの子どもと一緒にやります。すでに最初に核となる子ども10人くらいは上手くなっているし、半分位の子どもはやったことがあるので、ずいぶん楽に伝えることができます。

 自分ひとりでみんなを動かそうとするのではなく、子ども同士の相互援助・相互伝達をうまく利用すると、子どもの人間関係も豊かになります。おこんばんわを何度も作って飽きないかとのことも考慮しておくことが必要です。一回目はシンプルに基本的なことをします。2回目には絵を書いたりして変化させます。3回目には子どもの面白い発見を取り上げてうまく伸ばしていきます。子どもも自分の自由な発想が自由にできるので飽きないで楽しくやることができます。

 遊びは基本的に子どもの表現遊びにならなくてはいけないと思います。ふと考えてみると、ハチもハチダンスを踊ってきっと楽しいのではないかと思うのです。子どもも一緒でやらされるのではなく、みずからやろうとする意欲とその子なりの表現を大切にすることが必要と思います。

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