人に学ぶ
ともちゃんから学んだ新しい遊びの手法
有明児童センター 田中純一
有明児童センターは新潟市の西地区の住宅街にある民間の社会福祉法人の運営する児童センターです。午前中は就園前の乳幼児が利用し、午後からは留守家庭児童のための児童クラブやサッカー・ローラースケートクラブなどの小学生で毎日200人程の利用で賑わっています。
ともちゃんはダウン症の障害を持っていました。児童センターの隣の小学校の障害児学級に12年前に新1年生として入学しました。ご両親が働いていたので、放課後は児童センターの児童クラブに入会し、お母さんがお迎えに来るまで児童センターで遊んでいることになりました。
ともちゃんは入会したばかりの時は言葉がはっきりしないこととみんなとうまく遊ぶことができず、トラブルも多くありました。そこでできることはさせるけれど、できないことは無理をしないで、本人の発達をじっくり待つことにしました。
小学校2年生の夏休みを過ぎました。午後5時から行う児童クラブのキックベースをやっていた時のことです。ともちゃんもやりたそうな顔をしていました。
「ともちゃん。ボールをキックしてみる?」
と尋ねるとやるというのです。でもキックするだけで走ろうとしないのです。これでは試合になりません。そこで私も一緒にともちゃんと一緒に走ることになりました。私が1塁にセーフになればともちゃんもセーフとなるというルールにしました。
ツーパワー・スリーパワー遊びへの発展
ともちゃんに私は学びました。それはともちゃんとの遊びの手法をみんなに活用させることです。キックベースをやる時に最初からツーパワー=2人組・スリーパワー=3人組のグループを作っておきます。例えばスリーパワーで5グループ対5グループで戦えば15人対15人でキックベースができます。満塁の場面なら一塁に3人・二塁に3人・三塁に3人・ホームで蹴ろうとしている人が3人待っている人が3人となります。守備は15人です。
子どもたちは3人で協力して遊ぶことになり、子どもの人間関係も深まります。初めての子どもでもルールの分からない子どもでも下手な子どもでも遊びながらキックベースのルールが分かってきます。子どもは子ども同士の仲間関係で学んで成長していくものです。ともちゃんから学んだツーパワー・スリーパワーの遊びの手法はみんなに有効な遊びの手法でした。
ともちゃんは卒業して高校生になっていますが、ツーパワー・スリーパワーの遊びの手法は健在です。トランプなどの室内遊び・ドッジボールやリレー・ジャンケン陣取りゲームなどにも活用ができます。最近の子どもは負けることを極端に嫌う子どもも増えています。でもツーパワー・スリーパワーで遊べば負ける悔しさが分散し、勝った喜びは倍増します。そして子どもたちの学び合いが深まっていきます。
ともちゃんありがとう。
http://www.na.rim.or.jp/~tomoyan/
(yahooでtomoyanで検索できます)
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ツーパワーでバックギャモンを遊んでいます。サイコロを振る係とコマを動かす係が協力して遊んでいます。一人で遊ぶよりも楽しいです。
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トランプをやるときも二人組で8人で遊んでいます。新潟市での研修会での様子。
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